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今年も、寅さんの風景(5)

第38作(1987)「知床慕情」01 第38作(1987)「知床慕情」02裏


 2年生2回めの感想文です(5月17日)。マドンナ竹下景子の2回目。1回め(口笛を吹く寅次郎)はきらめくような透明感のある可愛らしさに溢れていましたが、今回のりん子役では結構大人っぽくなっている。少々若々しさは失われたものの、相変わらず好感度は高いですね。キャストでは、とにかく三船敏郎の存在感が凄い。桁違いのオーラを発していますが、三船に対抗するだけの風景を寅さんももっている。こういう個性的な俳優が2名、カメラの回らないところではどんな接し方をしていたのでしょうかね。煙草吸いのスナックママ、淡路景子もまた存在感があります。竹下の3回めのマドンナ役でもウィーンのマダムとして淡路は再登場します(寅次郎 心の旅路)。
 ロケ地の知床は2005年に世界自然遺産に登録されました。寅さんは環境省にも先行しています。


    第38作「男はつらいよ 知床慕情」(1987) 
    マドンナ(りん子)  竹下景子  


他人の恋愛にはアドバイスするが、自分の恋となれば別人になる寅さん

<映画のあらすじ>
 とらやのおいちゃんが入院して、寅さんが代わりに店の仕事をするが、すぐに飽きてしまう。おばさんは、そんな寅さんを見て、まじめに働くのがばからしい、店をやめたいと言い出す。それを寅さんが耳にしておおいに反省し、北海道に旅に出る。そこで、頑固な獣医の男(三船敏郎)や、漁師たちやスナックのママ(淡路景子)と出会う。獣医の娘のりん子は、だまって家を出て結婚し父として怒っていた。その間、男やもめの獣医はスナックのママに色々と面倒を見てもらっていた。りん子は結婚に失敗したので、東京から出戻りしてきた。獣医は相変わらず怒りっぱなしだったが、りん子さんはまもなく寅さんやみんなと楽しく暮らし始める。そんな中、寅さんが獣医に対して、スナックのママと付き合え、と冗談交じりに言ったことで、二人の関係は険悪になる。獣医はママに恋をしていたのだ。ところがママは、スナックをやめて新潟に帰ると言いだした。獣医は、寅さんに後押しされて告白する。寅さんが、りん子に結婚の相談に行ったとき、寅さんは、りん子が自分に惚れていると気づき、翌朝知床から姿を消してしまう。

<映画の感想>
 知床の海や山、滝や大きな岩など、大自然がとても雄大で美しかった。また、バーベキューをしていた大草原などは、東京にはないよさがあった。寅さんは、人の恋愛にはアドバイスなどをして、積極的に応援しているように見えたが、自分の恋愛となればまるで別人だと感じた。惚れられているのに気づき、姿を消すのは、惚れた側からすれば切ないと思うが、少しかっこいいとも思った。漁師たちと仲よく話していたりお酒を飲んでいるシーンを見て、初対面の人になじむのがとても上手だと感じた。それは、寅さんが自分をつくったりせず、自然体でいるからなのかと感じた。(経営学部2年MA)



不器用な順吉と寅さんが愛される理由

<映画のあらすじ>
 はじめは、寅さんのおじさんが風邪で倒れ入院した。大黒柱がいなくなり、とらやは一時休業していたが、そこに寅さんが帰宅し、お見舞いに行った。とらやを手伝うと決意した寅さんだったが、つまらないのですぐに飽きてしまった。家にいるのが悪く思った寅さんは北海道の知床に旅に出た。そこで、不愛想な老獣医の順吉にお世話になり、やもめ暮らしの彼の世話をしているスナックのママ悦子とも知り合った。次の日、順吉の娘りん子が突然東京から帰ってきた。りん子が結婚に失敗したと順吉が知り、りん子を責めるが、寅さんが間を取り持った。それから数日、寅さんは知床の大自然の中、近所の人たちと楽しい生活を送っていた。りん子は一度東京に戻り、とらやに赴き挨拶をして知床に戻った。りん子の歓迎バーベキュー大会を行い、その中で、寅さんに背中を押され、順吉が悦子に想いを告白した。その後、寅さんはりん子が自分に気があると察し、身を隠すように東京に人知れず帰っていった。

<映画の感想>
 今回の舞台である知床は冬の雪に覆われたイメージがありますが、映画の中では木々が生い茂った夏でした。しかし、夏の知床の美しい大自然が背景になっており、とても素晴らしく、なんとも贅沢だと思いました。特に、知床の海がとてもきれいで、夕日が沈む海はとても幻想的でした。また、寅さんはとても優しく、人想いのとても素晴らしい性格ですが、今回出てきた順吉さんのように、寅さんもまた不器用であり、人前になるとどうしても素直になれず面倒くさくなってしまいます。ですが、そこが人から愛されるところであると思いました。私には弟がいるのですが、根はいい子なのですが迷惑ばかりかける子で、なぜか憎むことができないところが寅さんに少し似ていると勝手に感じていました。
 そして、この映画から学ぶことがたくさんあると思いました。私も言いたいことがあっても、人目を気にしたり、相手の反応が怖くなったりして、言うことができないことがあります。そういう時に、勇気をもって発言していきたいと思いました。(2年環境学部SA)


煙たがられて愛されて

<映画のあらすじ>
 季節は春。長旅から帰ってきた寅さんだが、とらやが休業になっている。おいちゃんが肺炎で入院していたのだ。おいちゃんの代わりに働くが、全然役に立てない。不満をもらす家族の会話を聞いてしまい、北海道、知床に旅立つ。そこで、獣医の上野順吉、上野の世話を焼くスナック「はまなす」の女将たちと出会う。ある日、上野の娘、りん子が結婚に失敗し帰ってくる。最初は険悪な雰囲気だったが、寅さんのおかげで穏便にすむ。そんな中、女将が店を辞めて故郷に戻ると順吉に告げる。本当の気持ちを伝えることができない順吉だったが、寅さんのおかげで告白に成功する。次第に寅さんとりん子も相思相愛となるが、寅さんは想いを伝えることなくまた旅に出てしまう。

<映画の感想>
 冒頭に桜が満開の河川敷のシーンがあったことから、季節は春だということが分かった。前回観た作品も映画の序盤に江戸川の河川敷のシーンがあった。これにより、寅さんの聖地は東京の下町ということが印象付けられた。今回の舞台は北海道だったので、北海道を象徴する広大な土地・草原、オホーツク海に沈む夕日のシーンなどが映っていた。北海道では、酪農、漁業も盛んなことから、牧場や漁港のシーンも度々あった。前回は大洲城下町を舞台としていたから、大洲城など歴史的建造物が映っていたが、北海道編では、寅次郎の手紙にもあったように、大自然の風景が主となっているように感じた。また、寅さんは旅先で出会った人には好かれるが、家族から(特におばさん)からは煙たがられているように思えたが、それは、家族だからこそそういう関係になれているということだった。(2年経営学部MS)

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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