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今年も、寅さんの風景(7)

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 5月24日の続編。2年生の感想文をお届けします。

    第44作「寅次郎の告白」(1991) 
    マドンナ(及川泉・聖子) 後藤久美子・吉田日出子  


<映画のあらすじ>

 高校を卒業した泉は、楽器店への就職を希望し、上京する。しかし、父母の離婚や母の水商売が障壁となっていた。そんな泉をみて、満男はどうすることもできず歯がゆい思いでいた。泉が名古屋へ帰ると、母の再婚問題でさらに悩まされ、家出してしまう。それを知って満男は泉のいる鳥取へ向かう。泉はたまたま倉吉で寅さんと再会し、駄菓子屋に一泊した後、砂丘で満男とも合流。寅さんの昔なじみの料亭、新茶屋へ行き、女将を訪ねるが、夫が亡くなり、その夫の浮気に苦しまされたことを寅さんに打ち明ける。女将は昔寅さんを選ばなかった後悔の念を伝え、寅さんに迫るが・・・結局結ばれることなく、次の旅に出る。(環境学科2年AS、一部改訂)


<映画の感想>

人の気持ちに寄り添う大人の寅さん
 満男も大学生になり、寅次郎たちもすっかり年を取っていた。いつものけんかも微笑ましく、どこか寂しいように感じた。泉に恋をする満男を見て、「恋を長続きさせるためには、ほどほどに愛するということを覚えておかなきゃならない。しかし、若すぎる満男にはそれが出来ない」という寅さん。その言葉通り、恋に熱く燃える満男に対して、大人の恋愛をする寅さんが対照的に描かれており、若い青春の恋の甘酸っぱさと、大人の恋愛の深さを対照的に感じた。
 泉は家出し、まるで寅さんを追いかけるかのように鳥取へ向かった。泉が出歩いた倉吉は、昔ながらのお店が並んでおり、どこか懐かしく感じる風景だった。また、豆腐の御遣いを任されるシーンの背景では、人通りの少ない町の裏側で子供たちが川遊びをしていた。私はそれを見て、何の不安も恐れもない、無邪気で純粋な、幼い頃の気持ちを思い起こさせられた。だから、泉と寅さんが出会ったとき、自分の出来事のように嬉しかった。また、泉に対して家出した訳も聞かず、泉が話したくなるまでじっと待つ寅さんが印象的だった。私は、何か悩んでいる人がいたら、その人のためにどうにか解決してあげたいという思いが先走って、つい話を聞きたがってしまう。でも寅さんを通して、相手にとって嬉しいことは、何か解決しようとする以上に、人の気持ちに寄り添うことなのかなと考えさせられた。これから家族や友人との間で、もっと人の気持ちに寄り添ってあげられるよう努力していきたいと思った。(環境学科2年AS)


鳥取らしさ満載-満男と寅さんの「男はつらいよ」
 今回は鳥取が舞台ということで親の顔ほど見た景色がたくさん出てきた。今ではあまり見ない豆腐を買うシーンや、倉吉から鳥取へむかう途中の白兎海岸など鳥取らしいところがたくさんみれた、また、季節外れのしゃんしゃん祭り、倉吉のおばあちゃんが鳥取弁を話すなど、映画の演出として「鳥取らしさ」を感じることができて、それもよかった。主役は寅さんから満男になっていたが、今までのように「男はつらいよ」が出来上がっていた。寅さんは病気ながらも寅さんを演じきっていて面白かった。.(環境学科2年OH)



日本海の多様な心理風景
 自分が今住んでる鳥取が、これまで見てきた寅さんの世界に登場してきたので、不思議な気持ちになりました。しゃんしゃん祭りや鳥取砂丘など、自分が知ってるものや行ったことのある場所が撮影に使われていることに感動しました。鳥取にきたばかりの泉がみた荒々しい日本海と、鳥取砂丘から満男がみた絶えることなく波が押し寄せてくる日本海。それらは泉のやりきれない強い感情と寂しさ、泉を想う満男の心配や鳥取砂丘に来てくれるかわからない不安感をそれぞれ表しているようで、強く印象に残りました。
 また、今回は親の離婚や母の生き方などナイーブな問題にも触れ、シリアスなシーンも出てきたけれど、重くなり過ぎないようコメディの要素もあり、満男の気持ちはとても丁寧に描かれていて、すごく素敵な映画だなと思いました。(経営学科2年OR)

満男も寅さんのようになるのかな
 前回までの作品では映画の冒頭に江戸川の河川敷を使っていたが、今回は旅先での風景が映っていた。また、寅さんがナレーションで「河(川)」という言葉を連呼しており、その後のシーンで度々、河(や日本海)のシーンが登場していた。最初のナレーションからこのような水辺のシーンがたくさん出てくる予感がした。鳥取砂丘で満男が泉ちゃん待っているシーンでは、砂丘の広大さが画面を通して伝わってきた。砂丘と日本海が同時に映っており、まさに鳥取を象徴する場面だと感じた。風景だけではなく、鳥取伝統のお祭り、しゃんしゃん祭りのシーンもあった。私は、鳥取のイメージが砂丘しかなかったので、白壁やしゃんしゃん祭りなど映画を通して、鳥取の新しい魅力を知ることができた。満男が成長し、寅さんの気持ちが分かるようになったことで、満男も寅さんのようになるのかなと思った。長年、この映画のシリーズを観ている人はこの満男の成長について感慨深いものがあるのだろう。(経営学科2年MS)

倉吉の和風な街並みと街中の小自然
 倉吉の和風な街並みが、たいへん私好みでとても気に入りました。また、鳥取の砂丘や日本海などの大自然が何度か訪れて実際に見たことがありますが、映画で見るとより美しかったです。しかし、私が一番心に残ったものは大自然ではなく、街中にありふれている水路などの小自然が良かったと思いました。
 今回の映画の舞台が鳥取なので、今までの映画よりも興奮して見ていました。私でも知っている鳥取の有名なものが作中に出てきたときは少し嬉しくなりました。また、寅さんを演じている渥美清さんはこの時すでに癌に侵されていたと聞いていましたが、私のような素人目からするといつもの寅さんにしか見えませんでした。ただ、寅さんの出番が減っているように感じ、少し寂しい気持ちになりました。
 今回の映画でも人の温かさがよくわかり、家族や親子の愛、また、赤の他人でも自分の家族や友人のように接してくれる人びとの姿にとても人情が溢れていると思い、私もそうありたいと思いました。(環境学科2年SA)


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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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