過去への旅路-みんぱく訪問記(1)


太陽の塔
6月4日(水)、大阪府吹田市の万博公園にある国立民族学博物館(みんぱく)に行ってきました。先生が中国民族学関係でお付き合いのある河合准教授にお世話いただきました。この場を借りて深く御礼申し上げます。先生以外のゼミ生は万博公園の「太陽の塔」を初めて実際に見たことで、テンションがあがり写真を撮りまくります。


罠にワナワナ
今回、私の卒業論文作成のため民博所蔵狩猟用罠具について調査しました。事前にネット公開されている収蔵品リストから北海道(アイヌ)、樺太(ウィルタ)、ロシア(ナーナイ・ヤクート)、中国(ホジェン・ダフール)等の罠具27点を熟覧し、うち常設展に使用中の2点をのぞく25点について撮影・略測・スケッチなどに取り組みました。河合先生のご尽力のおかげで、普段は入ることができない収蔵庫(↓)に入ることができました。先生も収蔵庫は初体験だったそうです。目新しい標本がたくさんあって新鮮でした!
4年生は初めて調査らしいことをして、不慣れながら作業を進めていきます。


調査の手順は以下のとおりです。先生や先輩によれば、ブータンで多用している方法で、ポラロイド(インスタントカメラ)を有効活用します。
①まず「罠」をポラロイドで撮影します。
②ポラロイドの余白に標本番号・名称・民族名などの基礎情報を書き込みます。
③ポラロイド写真をゼロックスコピー(白黒)します。ここで作業はニ班に分かれます。
④A班は一眼レフカメラでポラロイドを写しこんだ後、標本を複数の角度から撮影します。
最初にそのまま撮影、次にコンヴェックスや間竿を画面にいれてスケール感を映し出します。
⑤B班はコピーに基本寸法を書き入れます。
⑥今後再現可能性と思われる罠については、私と先輩で3点詳細にスケッチし、
法量も細かく書き込みました。
(絵が得意な方ではないのですが、描くことは楽しいです!)

民博に到着したのは、予定時刻を10分すぎた11時10分で、さっそくお叱りを・・・「20分前到着が常識」だということで、先生も先輩も早くから来館されていたとのことです。結果、午前中は①のポラロイド撮影で終了。お昼休憩でも、一般の人は使えない職員用レストラで安く食べさせていただきました。先輩のみうどんでしたが、他の4人はそろって鶏のフォーを注文しました。あっさり味で麺がいっぱい入ってて美味しかったです。


↑左:かけす罠 右:実測中 ↓実測中(収蔵庫)


ポラロイド写真に必要不可欠なものは油性の黒マジックです。写真に文字情報を書き込む道具です。しかし、収蔵庫内には油性のマジックやボールペンを持ち込むことはできないという指示がありました。そこで、収蔵庫内ではお借りした付箋に鉛筆で仮書きし、昼休憩後、4階の演習室に移動しマジックで写真に情報を書き写しました。その後、文字を含むポラ写真をゼロックスコピーして、昼休憩は早々に終わりました。
午後1時から収蔵庫での調査を再開。25点の標本に対して、④~⑥の作業を続け、午後2時半に無事終了しました。調査に不慣れなもので大変でしたが、先生を含め5人で分担できたので効率が上がり、無事時間内に終えることができました。協力ってありがたいです^^

作業終了後は河合先生に民博の常設展示をご案内いただきました。地域ごとに世界の諸民族の物質文化が展示されていて、じっくり見たら丸一日では終わらないほどのボリュームと見応えがありそうでした。民博は2011年に大規模な展示替えをしており、先生は「ここが変わった、こちらは元のまま」などの感想を繰り返していました。全体的に新しい展示は、伝統的な文化よりも現代文化を表現しようという傾向が強いようです。リストアップしていた残りの2点の罠も常設展のアイヌとナーナイのコーナーで発見し、無事撮影できました。
民博での一日で卒論の情報収集がグッと前進し、とても充実した時間を過ごすことができました。収蔵庫管理の職員の皆様、河合先生、大変お世話になりました。本当にありがとうございます。(ゆずまる)


ミュージアムショップ前