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2018年度 公立鳥取環境大学学内特別研究費に新規採択!

 6月15日(金)、表記研究申請について採択通知がありました。今年も満額回答でして感謝しております。以下、研究申請の概要です。

【研究課題名】
  登録記念物「摩尼山」の景観整備に関する基礎的研究-賽の河原と地蔵堂の復元を中心に-

【申請額】
  1,165,000円

【研究の背景】
  砂丘に近接する摩尼山(鳥取市覚寺・標高357m)は大山・三徳山と並ぶ県内天台宗の拠点的霊山として信仰を集めてきた。中腹の境内地は仁王門・本堂などの歴史的建造物が建ち並び、山頂に近い「奥の院」「鷲ヶ峰」は巨巌・岩窟の奇景に優れている。鷲ヶ峰の立岩から一望する鳥取砂丘・山陰海岸等の眺望景観もみごとである。また、山内には百体を超える石仏群が点在し、霊山に独特の風致を添えており、周辺には落葉広葉樹と照葉樹の混交林がひろがっている。摩尼山・摩尼寺に係わる活動は「奥の院」遺跡の発見(2009)に始まり、翌2010年に4ヶ月をかけて約200㎡を発掘調査した結果、円仁(794-864)開山伝承の縁起とは異なって「奥の院」造営は10世紀後半に下り、18世紀初に境内を中腹に移したことなどが明らかになった。2013年から境内建造物の調査に移行し、その成果によって本堂・山門・鐘楼が2014年末に国登録有形文化財になり、さらに2016年には山の南半が国の記念物(名勝地)に登録された。登録記念物「摩尼山」の対象は面積約367,000㎡に及び、日本最大の登録記念物が鳥取県内に誕生した。
 この成果を受け、昨年度(2017)より国・県・市の助成を受けて「摩尼山-歴史性と景観の回復」を主題とする活用整備事業が始まった。ところが、いざ事業が始まってみると、「奥の院」遺跡と境内建造物のデータは整えられているものの、未調査の鷲ヶ峰立岩エリアで積み残しの研究課題が著しく露呈してきている。


【研究目的】
 縁起によると、須弥山の喜見城に住む帝釈天が摩尼宝珠をもって立岩に降臨したと伝承される。摩尼山の山号「喜見山」は帝釈天の住む「喜見城」に因み、また、鷲ヶ峰の名もブッダが弟子たちに説法したインドの鷲峰山に由来する。さらに、立岩正面には「賽の河原」と呼ぶ平場があり、平場と立岩の間に地蔵堂と鐘楼の建物跡が残っている。それらは昭和13年(1938)に失火のため焼失したが復旧され、昭和40年ころまで立岩の脇に姿をとどめていた。賽の河原とは、夭逝した子供らが父母を偲び石積みして小塔をつくる三途の河原で、鬼が塔を壊しにやってくるのだが、地蔵菩薩に救われて子供はまた石を積む。神道系民間信仰の側からみると、「賽の河原」とは死んで往き場を失った子供らがたむろする彼岸との境界であり、そこに「賽の神」を祀る。摩尼山の場合、『因幡志』(1795)立岩之図に「財河原 石仏」とみえ、周辺に石積みの様を描く。現在は平場に近い山の斜面に大きな陽物(男根)の木彫を安置している。このエリアは神仏習合に傾いた摩尼山独特の仏教的世界観(あるいは他界観)を具体的に表現する信仰上最も重要な場所であるにも拘わらず、これまで本格的な調査をおこなっていない。景観整備の基本となる地蔵堂等の復元にも手をつけていない。登録記念物「摩尼山」活用整備事業を成功させるためにも、立岩周辺の歴史考古学/建築史学/仏教民俗学的調査研究が急務となっている。本研究では、鷲ヶ峰において失われた地蔵堂・鐘楼等の遺構を詳細に分析し、往時の上屋構造を復元するとともに、賽の河原の原風景をあきらかにする。また、その原風景を再現するためのイベントを開催して地域住民の理解を深め、景観整備の方針を確固たるものにすることをめざしている。

【研究の独創性と意義】
 鳥取県は「三徳山とその文化的景観」を主題とする世界文化遺産申請(2006-07)の国内審査で惨敗し、申請対象の再構成の必要に迫られていた。そこで、2010年2月に倉吉未来中心で国際シンポジウム「大山・隠岐・三徳山-山岳信仰と文化的景観-」を主催し、鳥取・島根の複数の霊山と大山隠岐国立公園を「文化的景観」として連携させる方針を提言した(報告書2011)。鳥取県内に未だ世界遺産は誕生していないが、その後、三徳山は大山隠岐国立公園に編入され、大山と大山寺は日本遺産・国史跡になり、隠岐・島根半島は世界ジオパーク・ネットワークに加盟し、摩尼山は日本最大の登録記念物(名勝地)になった。山陰地方において霊山の景観整備と連携は必要不可欠の課題であり、鳥取県東部において最重要の文化財意義を担うのが摩尼山である。一方、山陰海岸ジオパークについては、2008年に日本ジオパーク・ネットワーク、2010年に世界ジオパーク・ネットワークに加盟したとはいえ、海岸線に偏向した整備・広報が続いており、「山のジオパーク」エリアは軽視されがちである。巨岩が山頂付近に露出する摩尼山は注目度の低い「山のジオパーク」の目玉となりうる複合的な遺産であり、地質学的価値とともに、帝釈天降臨や賽の河原などの宗教文化史的理解は避けて通れない。本研究は今後のジオパーク整備・名勝地整備にむけて重要な学術的意義がある。

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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