紫陽花の露西亜(11)

フランス 2-0 ウルグアイ
7月6日(金)。夏休みの海外出張に関わるを書類作成に熱中していたら夜になっていて、気がつくと、ネットもTVも「数十年に一度の災害をもたらす大雨」について報道している。「大雨特別警報」の対象地域がヤフーのトップページにでていて、クリックすると我が鳥取市の美保地区もそこに含まれているではありませんか。この地域は大路(おおろ)川に近接しており、しばしば「避難勧告」の対象になるのですが、今回の場合、生命にかかわる災害ということで「避難指示」に格上げされ、電話で3ヶ所から連絡あり「早く逃げて」と言われ、荷物をまとめることになってしまった。しかしながら、避難指定場所の小学校に行くのは躊躇われたので、高台にある大学に行こうと決めて、着替えや食料、パソコン、ハードディスクなどを車に積みこんだ。
それにしても不気味な雨だね。将校たち七人が死刑執行された日に大雨が降る。先進国のなかで死刑制度を残す国は日本とアメリカだけだそうです。座頭市2003のラストシーンを覚えていますか。「・・・思い残すこたぁない、さぁ切れ(殺せ)」と開き直るくちなわの首領に対して、市は「だれが殺すかい」と啖呵を切って首領の両目を十字に切った。死ぬより辛い想いをさせてやろうというわけです。命を奪うことなく、命を奪う以上の刑罰を考え出すことができるならば、死刑制度は廃止できる。

それにしても、よりによってW杯準々決勝の2試合がある夜に大降りしなくてもよかろうに、神様だか将校だか知らないが意地悪なふるまいで俗人を苦しめるではないか。しかし、文明は進歩しています。我々にはカーナビがある。校舎の玄関ポーチに車を停め、ガードマンさんに予め怪しい者ではないことをお知らせした。炭酸水を飲みながら、画面をみつめる。前半はウルグアイのプレスが強く、フランスは自慢の中盤が機能しなかった。カンテとボクバがビルドアップできない。しかし、前半40分にコーナーキックからのヘッドでフランスがあっさり先制。
いったん車から外に出て、雨を観察するに、たいした降りではない。どうしても 大人しくしていられなくなり、パトロールを兼ねて市街地へ出発。蹴球酒場は開いていました。お客は3名。大画面のモニターでは、すでに後半が始まっていた。ウルグアイは前半でエネルギーを使い果たしたのか、うってかわってフランスに中盤を支配されている。そしてまもなくグリーズマンのミドルをGKが弾いて2点目を失い、勝敗は決した。PSG理論に従う場合、やはりカバーニの負傷欠場が響いた。カバーニがいたら、もう少しもつれる展開になったでしょう。予想どおり、ンバッペが勝ち上がった。


ベルギー 2-1 ブラジル
蹴球酒場での主人はスマホで各地の水位をチェックしている。用瀬の千代川が洪水寸前の状態になっていたが、我が大路川はまだ余裕があるし、雨はますます小降りになっている。良くないことと思いつつ、いつも市立病院に通う大路川の土手まで車を走らせた。いちばん上の写真がそのときの状況です。
これは大丈夫だと判断し、「避難指示」に反して家に戻りました。駐車場にはたくさん車が残っていて指定場所に避難している気配はありません。家に入るとほっとする。少し仕事して、ブラジル対ベルギー戦が始まった。しかし体力を消耗しており、ベルギーの先取点を確認したところで眠りに落ちた。
目覚めると2-1になっていた。ベルギーがリードしている。残り15分でブラジルが猛攻をしかけるが、要所要所でアザールがボールキープし、反則を誘って時間を稼いだ。日白戦と似た展開で、後半30分近くまで2-0だった。日本はベルギーに3点奪われて逆転を許したのに対して、ベルギーはブラジルの猛攻を抑え込み、2-1で勝ち切った。このあたりが16強チームと8強以の違いでしょうね。

白伯両チームともタレント揃いだが、ベルギーのほうが個性的かつ組織的であり、弱点とされたディフェンスもムニエを下げ4バックにすることで修正してみせた。再びPSG理論に戻ると、ネイマール+シウバのブラジルがムニエひとりのベルギーを上回るかと思われたが、ムニエは対面するネイマールとのマッチアップに負けていなかった。正直、ブラジル辛勝かと予想していたのですが、心情的にはベルギーを応援していたので、たいへん満足な結果です。ただし、ムニエは二枚目の黄紙で次戦出場停止です。白仏決戦はンバッペ擁するフランスに軍配が上がるかも?
ちなみに、学生諸君の優勝予想は2学年ともブラジル1位、ドイツ2位、スペイン3位でしたが、すべて敗退しました。次の仏白戦が事実上の決勝戦かもしれません・・・いやいや、クロアチアもがんばれ!!
