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能海寛生誕150周年記念シンポジウム 速報!

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天頂山浄蓮寺

 大雨の翌日にあたる7月8日(日)、浜田市で開催された能海寛生誕150周年記念シンポジウムに参加しました。連日の大雨により、行くかどうかぎりぎりまで悩まされましたが、私の卒論の題材ということもあり、決行することになりました。朝7時に集合し、島根県浜田市金城町波佐の会場(ときわ会館)に着くまで5時間を要しました。波佐は典型的な里山地域であり、コンビニが1軒あるだけで、レストランなどはまったくないため、コンビニでお弁当を買おうとしたのですが、災害のため流通が遮断されており、みんなでカップラーメンを買って食べました。それから、能海寛の生まれ育った浄蓮寺を訪ねました。先生の見立てによれば、本堂・山門などは近代の和風建築だそうです。このほか浄蓮寺の境内には能海寛の顕彰碑や歌碑などがあり、改めて彼の偉業を感じることができました。


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 会場では、ASALABのOBでもある大田市教育委員会のタクヲさんとも合流し、6人で講演などを拝聴しました。第1部は江本嘉伸氏による基調講演。江本さんは『西蔵漂泊 チベットに魅せられた十人の日本人』(1993-94)や『能海寛 チベットに消えた旅人』 (1999)などの業績で知られるジャーナリスト&探検家です。
 第2部はパネルディスカッション。パネラーは、岡崎秀紀氏、奥山直司氏、飯塚勝重氏、高本康子氏、能海教信氏の5名を予定していましたが、高本さんは豪雨の影響により不参加ということでした。それぞれ違った観点で話をしていただき、勉強になりました。私が興味を持ったのは、奥山さんの以下の発言です。

  能海寛を調べているほとんどがチベット学者ということで、能海寛=チベットというイメージが
  ついているけれども、そうではなくてチベットは彼の一部であることに注意すべきだ。


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0708浄蓮寺04里山 浄蓮寺顕彰碑



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宇内一統宗教の問題

 私たちが口語訳を進めている『世界に於ける佛教徒』では、能海寛のチベット探検に対するかなりの熱意を読み取れるので、私自身も、能海寛=チベットのイメージを持っていたかもしれません。また、チベットにたどり着く前に消息を絶ったということも、不運な死を遂げた偉人として、かえって能海寛=チベットという印象を強めている気がしました。しかし能海寛は、若い人材の教育にも力を入れていたそうで、もしも入蔵を果たし生きて帰ってきたとすれば、最終的には浄蓮寺に戻ってきて故郷のために貢献するような人間だったのではないか、と想像されていました。結局、どんな人間にもいろんな側面があるので、表沙汰になっている事がらだけで判断しようとしないで、いろんな面を知ることが大切なんだな…と、能海寛からはずれてしまいましたが、ちょっと考えさせられました。


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 また、教授も言っておられましたが、能海寛の主張する「仏教を世界の一統宗教にする」という考えは、当時としては斬新で、革新的であったとは思いますけれども、そういう発想の場合、他の宗教・宗派を認めないことになってしまうので、一概にこれを正しいとすることはできません。今回のシンポジウムは、能海寛という革新的な人物を記念して彼の故郷で開催されたものであり、「一統宗教」については前提として肯定されていますが、客観的な論議はありませんでした。しかしながら、このシンポジウムに参加したことで卒論を書くにあたっての新たな手がかりを得ることができました。ありがとうございました。そして、みなさん、お疲れさまでした…! (あやかめ)


0708シンポ01会場04 シンポジウム会場

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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