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2018人間環境実習・演習B期末発表会(4)

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第九章「仏教国の探検」概要(2)-チベット探検

 第9章の後半では「チベット探検」について詳しく述べています。上のスライドの右側にみえる少年はラモ・トンドゥプ、すなわちに後にダライ・ラマ14世(法名テンジン・ギャツォ)となる人物です。1935年、アムド地方(青海省)の農家に生まれました。


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 能海は、まず入蔵(チベット入り)すべき理由について述べています。

【原文】漢文読み下し調の文語体
 かつこの国はアジア洲中の最も仏教盛にして僧侶多き地なり。故に蒙古の人民此を霊地として、隔遠の地方より来り、巡拝する者常に多し。(略)其首府拉薩は、(略)又壮麗なる寺院、堂塔及び広大なる弥陀堂ありて、其中無数の仏像、金銀宝玉を満す。(略)又、国内都邑に住する人民は、礼譲に厚く、文学を研究する者多く、星学暦法の如きも この国自ら発明あり。
【口語訳】
 そして、この国はアジア大陸の中で最も仏教が盛んであり、僧侶の多い地方です。ですから、(チベット仏教を信仰する)モンゴル人民の聖地として、はるかに遠いところから巡礼しにくる人が常に多いのです。(略)その首都ラサは、(略)壮麗な寺院、堂塔や広大な阿弥陀堂もあり、その堂の中に無数の仏像、金銀宝玉が満ちています。(略)また、国内の街や村に住む人たちは、礼儀に厚く謙虚で、文学を研究する者も多く、天文学なども独自に発明したものがあります。


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 仏教の再興に必要な要件について以下のように述べています。

【原文】漢文読み下し調文語体
 又今日は宇内宗教の形勢が新仏教の勃興を促し、将来に於ける宇内一統宗教は仏教たらざるべからざるの気運に際し、之に対して一大準備をすべきの時代なること、屡々論ぜんしが如し。其準備中最も要用なるは、あるいは仏陀真聖なる経典の梵本を探り、或は釈尊の正伝を求め、其真説を発揚するにあり。然れば印度よりして直伝せる西蔵仏教の研究、原本の探索、其必要なる論を俟たず。
【口語訳】
 また近年、世界宗教の形勢が新仏教徒の勃興を促進し、将来に於ける世界統一宗教はまさに仏教であるという気運に際し、その一大準備をすべき時代であることについてはしばしば論じてきました。その準備の中で最も肝要であるのは、一つはブッダの真聖なサンスクリット経典を探しだすこと、いま一つはブッダの正しい歴史を求め、その真説を発揚することです。従って、インドより直伝したチベット仏教の研究、サンスクリット語の原本の探索などはその必要性を論じるまでもありません。


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 チベットをめぐる軍事的緊張が高まっています。

【原文】漢文読み下し調文語体
 特に今日一日も西蔵国探検の猶予すべからざるは、北に魯国ありてアルタイ、崑崙山を越えとんし、西よりは雪山を超えて英国之に迫らんとし、南よりはカンボジアの河に沿って、仏国之に入らんとし、而して支那は東よりして揚子江を遡り、彼等を退けんとし、今日東方問題は、愈々切迫し来り。中央亜細亜パミル高原、将に一大戦場たらんとす。
【口語訳】
 とくに今日、一日もチベット探検を猶予すべきでないのは、北にロシア軍がいて、アルタイ・崑崙山を越えようとし、西からはヒマラヤ山脈を越えてイギリス軍がチベットに迫ろうとしています。南からはカンボジアの河に沿って、フランス軍がチベットに入ろうとし、さらに中国軍は東から揚子江を遡ってきています。それらの国々を退けようとしているのですから、今日東アジアの政治問題は、いよいよ切迫してきています。中央アジアのパミル高原はまさに一大戦場になろうとしているのです。


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 西洋人のチベット探検についても述べています。

【原文】漢文読み下し調文語体
 特に又西洋各国に於ける仏教進入の影響、及東洋学研究の結果は、続々西洋中に西蔵探検者を見るに至れり。海外仏教事情の報に依るも、独乙国人にして仏教研究の為め入蔵せる者五十四名ありと云うに非ずや。
【口語訳】
 とくにまた西洋各国に仏教が侵入した影響、そして東洋学研究が進んだ結果、続々と西洋人の中にチベット探検者をみるようになりました。海外仏教事情の報道によるものですが、仏教研究のためにチベット入りしたドイツ人は54名もいるというではありませんか。


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 チベット探検の利益については以下のようにまとめています。

【原文】漢文読み下し調文語体
 此国の探検は此の如く仏教上に利益あるのみならず、又学問上、社会政治上に於いても其益すること大なり。世界中今日、最闇なる国は恐くは此国ならん。爾れば地理学上の有益は云うに及ばず、其国の人種、言語、習慣、風俗、政体等の調査、皆人類学、歴史学、社会学の好材料となり、世間一般の業として考えるも有益なること、論を俟たず。
【口語訳】
 チベットの探検はこれまで述べたように、仏教上に利益があるだけではなく、学問上、社会政治上においても利益を得ることが大きいものです。今日世界で最も情報が乏しい国はおそらくチベットでしょう。そうであるならば、地理学上の有益は言うに及ばず、チベットの人種、言語、習慣、風俗、政治組織などの調査は、いずれも人類学、歴史学、社会学の好材料となり、世間一般の仕事として考えても有益であることは言うまでもありません。

 たしかに能海のいうとおりですが、探検や民族学的調査は軍国主義的な植民地支配の下調べとして発展してきた歴史がある点も気にかかるところです。(嘎嘎嘎)


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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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