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雲のかなたへ-白い金色の浄土(13)

梅里雪山5 梅里雪山


朝焼けに輝く金色の浄土

 9月17日(月)早朝。前日から引き続き飛来寺神韵大酒店に泊まり、今日こそは朝焼けに輝く梅里雪山の全貌が見たいと、どきどきしながら目を覚ましました。部屋のカーテンを開けてみれば、少しだけ空が明るくなり始めています。急いで準備して屋上まで行くと、薄暗い空気のむこうに梅里雪山が頂上まで姿を現していました。夢中でシャッターを切り、カメラにその姿を収めます。昨日も何枚も写真に撮りましたが、雲に巻かれていた姿とは全然ちがう。そう思って、ずっと撮影していました。


梅里雪山3
↑↓主峰カワクボ(太子峰)
梅里雪山2 梅里雪山


 そうこうしているうちに反対側の山から朝日が昇ってきて、ついに待ちわびた瞬間がやってきました。梅里雪山の峰々が朝日を映し出し、金色(こんじき)に輝く姿へと変わったのです。関空水没から昨日までに起きた事故や渋滞などの不運な出来事がすべて吹き飛んでしまうほどの感動的な光景でした。最初からずっと屋上にいたホテルのマネージャーさんが語りかけます。「もう2ヶ月以上、このような姿をみていません。雲南省の知事(省長)は3度ここに来て、いちども遥拝できませんでした」。わたしたちがどれだけ幸運だったかということです。
 一通り写真を撮り終え、皆満足した様子でした。私はあと一時間ぐらい撮りたい気分でしたが(笑)、ずっと撮っているわけにもいかないので、撤収して朝食会場に向かいました。
 朝食後、荷物をまとめ、ロビーにいると、会長さんからホテルを出て、道路を渡って雪山の方を見てごらんなさいと言われました。表にでてみれば、通りの奥にまたまたきれいな梅里雪山を仰ぎ見ることができました。こちらは雲一つない真っ青な空に雪山が浮き上がっています。二日間でいろんな表情を見せてくれた梅里雪山でしたが、どれも本当に美しかったです。


0917町からカワクボ001 梅里雪山
↑街からみた主峰カワクボ


梅里雪山 梅里雪山


梅里雪山八峰

 さて、梅里雪山は雲南省デチェン・チベット族自治州に位置する連山の総称です。チベット語ではミンリンカンリといい、梅里(メイリ)はミンリンの漢字表音です。チベット、四川、雲南を貫く横断山脈のうち、一番西に位置する怒山山脈の最も高い部分をなしています。雲南省の三江併流域一帯は世界自然遺産に登録されており、もちろん梅里雪山もその範囲に含まれます。梅里雪山は多くの峰から構成されていますが、代表する八峰を評して「梅里雪山八峰」と呼ばれることが多いようです。梅里雪山国家公園の案内板に従うと、以下の8つの峰からなります。「 」付は漢語の呼称です。ウィキペディアは主峰を七座としており、案内板にいう「八峰」と必ずしも一致しないのですが、整合する峰については呼称を赤色で示しておきます。看板のアルファベットはどうやら漢語ピンインのようであり、チベット語の呼称は赤色が正しいと思われます。

 メツモ峰(Miancimu Peak 6054m)  「神女峰」 メツモ
 ジワレンアン峰(Jiwa Ren' an Peak 5740m) 「五冠神山」ジャワリンガ
 バウバメン峰(Bawu Bameng Peak 6000m) マーベンゼンデウーショ
 カワクボ峰(Kawagebo Peak 6740m)  「太子峰」 カワクボ
 ツグイラカ峰(Cugui Laka Peak 5993m)
 マンカンラカ峰(Mangkuang Laka Peak 6400m)
 ナイリディンカ峰(Nairi Dingka Peak 6379m) スグドン
 シュルアツァンクイマリツ峰(Shuola Cenggui Mianbu Peak 5295m)


梅里雪山01名称01web 

梅里雪山01名称02web

梅里雪山01名称03web 

梅里雪山 梅里雪山 梅里雪山


神の山

 宗教的にみれば、カイラス山と並ぶチベット仏教の聖地であり、五体投地により山麓に巡礼者を集める信仰の山です。チベット仏教信徒による巡礼登山は数百年前から行われてきましたが、いずれも山腹にある寺院までにとどまっていました。ところが、1991年1月4日、日中合同学術登山隊17名(日本11名、中国6名)が登頂を目前に控えた第3キャンプ地で、突然の降雪と雪崩の直撃を受けて全滅する遭難事故が発生します。地元では「神聖な山を汚す存在」として登山隊を嫌う風潮が根強く、「登山隊の遭難は当然の天罰」とみなす者が少なくなかったと言います。もともと地形・気候などの条件が非常に厳しく、連山すべてが未踏峰でしたが、中国登山史上、最悪の遭難という結果を踏まえ、2000年の徳欽県人民大会において、将来に渡り登山活動を禁止する法律が制定されました。【続】


0917メツモ04 0917メツモ05sam

↑↓神女峰メツモ。二日間を通して山頂をなかなか見せなかった。中国語の「神女」とは日本の「女神」とほぼ同義だが、「神女」の語感には「魔女」の匂いがしないでもない。

0917メツモ01 0917メツモ03

0917metumo100.jpg 0917metumo101sam.jpg
↑これもメツモ峰。


【連載情報】
雲のかなたへ-白い金色の浄土(1)
雲のかなたへ-白い金色の浄土(2)
雲のかなたへ-白い金色の浄土(3)
雲のかなたへ-白い金色の浄土(4)
雲のかなたへ-白い金色の浄土(5)
雲のかなたへ-白い金色の浄土(6)
雲のかなたへ-白い金色の浄土(7)
雲のかなたへ-白い金色の浄土(8)
雲のかなたへ-白い金色の浄土(9)
雲のかなたへ-白い金色の浄土(10)
雲のかなたへ-白い金色の浄土(11)
雲のかなたへ-白い金色の浄土(12)
雲のかなたへ-白い金色の浄土(13)
雲のかなたへ-白い金色の浄土(14)
二人の感想-ブータンから西北雲南の旧チベット領まで
雲のかなたへ-白い金色の浄土(15)
雲のかなたへ-白い金色の浄土(16)

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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