ペルセポリスの夜(1)

よみがえれ、源平茶屋
摩尼山「賽の河原」トレックから下山して、ひとり会計を済ませ、3年ぶりに門脇茶屋の喫茶店で珈琲を飲んだ。話題は源平茶屋に及ぶ。源平茶屋が店を畳んでしまったこと、おばちゃんもおじちゃんも残念がっている。参拝者の数は決して衰えていないというし、翌日、門前を再訪した際にはちょうど昼時で人出が多く、紅葉にも恵まれ、門脇茶屋は賑わっていた。若いカップルが「満席だ」と断られているのをみて、正直、驚いた次第である。
こうした参拝客数の維持もしくは増加が、「日本最大の登録記念物」になったことと関係あるのかどうか分からないが、山寺や茶屋が観光資源として決して見過ごせない潜在力をもっていることを軽くみてはいけないと思う。おばちゃんは言うのだ。「源平茶屋には店をもういちどあけてもらいたい」と。おじちゃんも言う。「やっぱり二軒が門前で競争しとるようじゃないといけん」と。せっかく登録記念物になって勢いを取り戻そうとしているときに、一方の茶屋が店を畳むなんてイメージに悪影響を与えかねない。


行政が動かなければいけない、と思う。後継者がいないとすれば、企業誘致と同じで、全国的に公募をかけ、後継者を誘致する必要があるのではないか。公募すれば必ず人は集まる。集まった人に対して、できれば審査会のような組織を設けて、新しい経営者がどのようなビジョンをもって古い茶屋を再生させるのか、そのビジョンを示してもらい、最もふさわしい方を経営者にするか、あるいは経営陣のリーダーになってもらえばよいのではないかな。
ともかく、このまま捨て置けない問題である。わたしはいま記念物の整備について少々落胆しているところがあり、あとは行政に任せようと思っているのだが、むしろ源平茶屋の再生こそが生命線になりつつあるように思えてしかたない。

ハロウィーンと赤鬼
喫茶店を離れ、そのままダウラに移動した、もちろん一人で。キームンとタルトタタンを注文した。窓際の席で、ずっとトレックの写真を整理し続けた。地蔵尊の仮装をあそこまで凝るなら、赤鬼の衣装も高木ブーの雷さんぐらいまでもっていくべきでしたね。鬼の仮面は3枚がイオンの節分豆まきのおまけで、1枚のみアマゾンでなまはげの面を取り寄せたのだが、子どもたちは全然怖がらなかった。むしろ、1名の中学生女子が地蔵を気味悪がりましてね。なんどか説得したのですが、ついに地蔵との記念写真に応じませんでした。その母親も「夢にでてきそう」と嘆いてましたから、遺伝なのでしょうか。日本の伝統社会においては、獅子舞の獅子やナマハゲが怖くて泣く子供は幸運に恵まれて成長するとよく言ったものですが、その中学生に地蔵を近づけようとすると、父親のほうが「怖がってますから(やめてください)」という。少し複雑な気持ちになりました。
考えてみれば、ハロウィーンが大流行する時代ですからね。ハロウィーン当日にはできないかもしれないけれど、来年は「紅葉の摩尼山ハロウィーン・トレック-賽の河原で地蔵祭り」のようなイベントを開催すればブレイクするかもしれません。じつはネタも尽きたし、今年で摩尼山イベントも主催者としては最後にしようか、と考えていたのですが、本心を打ち明けますと、今年のイベントがこれまでで一番良かった。さしてお金をかけたわけでもないのに、参加者はみんなとても喜んでくれたと思っています。こういうイベントは続けたほうがよいのではないかと思う次第です。


【連載情報】
・大学HP
紅葉の摩尼山トレック-「賽の河原」石積み塔づくりレポート
http://www.kankyo-u.ac.jp/tuesreport/2018nendo/20181212/
・LABLOG
ヒマラヤの魔女(8)~(10)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-1947.html
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-1954.html
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-1960.html
浜湯山センチメント
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-1944.html
ペルセポリスの夜(1)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-1942.html

鹿島のペルセポリス
帰宅してどっと疲れたのですが、眠りもせず、ずっとテレビをみていました。夜中の12時から鹿島対ペルセポリスの第2戦(アウェイ)の生中継がある。それを待ちきれなくて、午後10時ころからホームの初戦(3日)を録画で見直していました。ペルセポリスはダエイやマハダビキアを輩出したイランの名門チームですが、さすがに鹿島スタジアムでは球まわしについていけない。レオシルバとセルジーニョの2ゴールで鹿島が完封勝利しました。球のよく動く、視ていておもしろい試合でした。エキサイトする場面も含めて。
この試合で注目を集めたのは鈴木優磨という若手のフォワードです。いまや大迫に次ぐ日本№2の実力者との呼び声も高くなってきました。実際、球がよく納まる。前線で2~3秒のキープができる。タメが作れる、というヤツです。もう一人、背番号30の安部裕葵選手はU-19日本代表の10番で、小笠原や遠藤や永木を抑えて鹿島中盤のレギュラーを奪ってしまった。ファンタジスタ・タイプではなく、運動量が多く、デュエルに強い中盤ですね。鈴木も安部も中東選手の激しいあたりに負けない体力がある。二人ともいずれは欧州に渡っていくことになるのかもしれません。
鹿島の試合運びは、ジーコ、アルシンド、レオナルド、ジョルジーニョがいた全盛期の派手さはないが、なんか知らんけど、終わったら勝ってしまっている。そうだなぁ、のらりくらりとした受けの上手さという点では、プロレスで言えば、猪木でもないし、ファンクスでもない。ブローディやハンセンでもない。ハリー・レイスかな、敢えて似ているとすれば・・・
ホームで2-0の勝利は大きい。アウェイで仮に1点取れば、アウェイゴール2倍のルールにより、敵は4点とらないと勝てないわけで、それが不可能とまでは言わないが、守りに入ったときの鹿島の底力からみて、かなり有利になっているのは間違いなかろう。【続】