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年末ゼミ(1)

1218黒田02実測演習01


 12月18日(火)。火曜午後はほんらい4年の卒論ゼミの日なのですが、年末の追い込みということもあり、指名された3・4年数名が活動報告をおこないました。会場は郡家のカフェ黒田。発表順は以下のとおりです。

 1)谷「ブータンの魔女とファルス信仰
 2)野表「魔力と戦うフライング・ファルス(翻訳)」
 3)佐々木「河本家住宅の家相図(卒論中間報告)」
 4)岡崎「倉本家住宅の家相図」=病欠
 5)佐藤「環オホーツク海諸民族の罠技法の比較研究(卒論中間報告)」

 発表後は、新年に控える稲常西尾家住宅の実測の事前演習として、黒田家間取りの実測・採寸にも取り組みました。


1218黒田02実測演習02


ブータンのファルス信仰について 

 まずブータンのファルス信仰について、3年生の谷さん、野表くんが発表しました。チベット周辺のヒマラヤ山麗地域ではボン教の魔女が支配していて、それを中世の高僧ドゥクパ・クンレーが各地の谷筋を遍歴しつつ自らの金剛によって調伏し、仏教側の守護神として再生していったという谷さんの話は、私は初めて聞く文化情報でありとても面白そうだなと感じました。特にブータン特有のファルス信仰にはかなり驚かされました。谷さんは実際に夏休みにブータンに教授と調査にいっており、その時の活動の様子も聞くことができました。現地での雰囲気や文化の差、ファルス信仰についての現地人の認識など生で実感できていることがすごく良いことで、羨ましいと思いました。
 野表君はブータン王立航空(ドゥク・エアー)の機内誌『タシデレク』(2017)に掲載されていたエッセイを夏休みあけにみずから和訳しており、さらにプロジェクト研究2&4で1・2年生と教授が翻訳したテキストをパワポでまとめて発表してくれました。著者は1947年ニューヨーク生まれのポール・スペンサー・ソチャチェフスキーというジャーナリストです。英語、インドネシア語、フランス語、タイ語を使いこなし、現在はタイに住んでいます。エッセイのタイトルは「魔力と戦うフライング・ファルス」。ブータンのファルス信仰がタイでも通用したか否かを軽妙に描いた随想です。翻訳されたテキストは結構直截的な表現が多く面食らう場面もありましたが、独特の信仰に興味を惹かれました。ブータンの人びとはファルスを魔除けとして家の外壁に描き込んだり、彫物を軒先に吊るしたりということも珍しいと思いましたが、特にファルスより魔除けの力が強いのは僧侶の裸踊りだという部分は面白かったです。またブータンの魔除けであるファルスが、結局バンコクのソイ(小路)でも効果があったというオチは、著者の人柄を感じさせてくれました。3年生は二人ともレベルの高い発表であり、それを聞いてタジタジしながらも、4 年生はそれぞれ卒業論文の現状報告をしました。


1218黒田01教師01




報告ゼミ①


河本家の家相図

 佐々木さんは「河本家の幕末家相図をめぐる基礎的考察」の現状報告として、主に家相図にみえる家相図の方位観について発表しました。方位観というのは、絵図に示された基準点からみた場合の施設や部屋の配置に吉凶の意味を読み取れるか否か、という問題です。風水的な観点から不吉とされる鬼門となる場所には水回りをもっていくことがはタブーとされたり、「陰」と「陽」の切り替わる地点では邪気が溜まりやすいということがあるようです。それを琴浦町の河本家ではどのようになっているかを幕末の家相図から読み取ろうというわけですが、絵図の分析よりも参考文献を基準に考察していたため、教授から手順が逆だと指摘され、今後、河本家で家相に関わるヒアリングをおこなうことになりました。


1218黒田01佐藤02 


環オホーツク海諸民族の罠技法

 私の現状報告は「環オホーツク海沿岸狩猟民族の罠技法に関する比較研究」です。11月に智頭町の板井原集落の山菜レストラン「火間土」での伝統的罠具についての聞き取り調査をおこない、その後、罠具の実用実験における申請や製作、実験結果を主に発表しました。板井原では、伝統的罠具を実際に使用していたご主人のお話を生で聞くことができるという貴重な経験ができました。具体的には、罠具をどのように、何を対象に、何を目的とし、いつ頃まで使用されていたのか等を聞くことができました。実用実験では北海道アイヌのウサギを対象にしたくくり罠をモデルにし、罠具を10体製作し、大学裏山と宝山に設置したのですが、捕獲成果は0でした・・・その結果から考えられることと、今後の課題についての認識と課題を示しました。
 4年生2名とも教授からご指導を受け、残された時間がのこりわずかであることを痛感して、これからラストスパートに向けて頑張っていこうと思いを固めました。

 最後はマダムと一緒に記念撮影をしました。その直前に学生全員のお願いで、黒田家の猫ちゃんとの面会を希望したのですが、女子勢があまりの可愛さに騒いでしまったため、あえなく逃走・・・。もうすぐ誕生日を迎えるであられる浅川教授の誕生日プレゼント、可愛い猫の絵が描いてある箸置きを3年生がサプライズで渡し、和やかにゼミは解散。しかし、翌日も活動は続きます。(ゆずまる)


1218黒田02記念撮影01

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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