ヒマラヤの魔女(11)
1・2年生のプロジェクト研究2&4では、短いブータン民話(英文)の和訳にも取り組んでいます。いずれもREADブータン(農村教育開発局)という組織による活動成果であり、スタッフの若者が年配者から民話を聞き、英語とゾンカ語で絵本を2017年に出版しています。READはもちろん「読む」という意味もあり、読書による過疎地域の活性化をめざしているようです。第4代国王の最年少王妃が組織した財団法人であろうという情報も得ています、確認はできていません。わたしたちは、今夏の調査時にティンプーの書店で購入しました。以下、基礎情報です。
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書名原題: How TURNIPS came to Haa - An etiological tale from Haa -
執筆編集: READ(Rural Education and Development Bhutan) 2017
登録ナンバー: 1000000434
資金提供: ジョン・ロバート・グレッグ財団(NYコミュニティ信託内)
印刷: クエンセル株式会社、ティンプー
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今夜は1年の中間成果から紹介します。

カブはどのようにしてハにもたらされたのか
-その ゆらい をさぐる-
むかしむかし
アシ・ジャサという
インド人のおひめさまがおりました。
おひめさまはまほうの かがみ をもっていました。
その金の かがみ をのぞきこむと
どんな人でもじぶんの うんめい がうつしだされます。
ある日、アシ・ジャサがかがみをみると
かがみは うんめい をうつしだしました。
うんめい はとおいチベットにありました。
かみの毛は ゆき よりもしろく
はぬけの おとこ と めおと になっていたのです!
アシ・ジャサはぞっとしました。
かがみをてにとり、ちかくの川になげすてました。
なぜ水が すがた をうつしだすのかわかりますか。
アシ・ジャサのかがみが
水のなかのどこかにしずんだままになっているからです。

アシ・ジャサはかがみの よげん をうれしくおもっていませんでしたが、
チベットにいくことをきめました。
王と王妃(おうひ)はむすめの けっしん に はんたい し、
チベットにいかないよう たのみました。
しかし、アシ・ジャサのきもちはゆるぎません。
がんこなむすめにいかった王と王妃は
「もしおまえがチベットにいくのなら、おやこのえんをきるよ!
おまえとわたしたちはなんの かんけい もなくなるからね」と
おどすようにいいました。

王女は いえ をでるだんになって
てぶらのままチベットにいくのは
よくないとおもいました。
まわりにだれもいないとき
アシ・ジャサはチベットにもっていく
カブのタネをそっとひろいあげました。
むすめがカブのタネをぬすんだとしり
母の王妃は、はらわたが
にえくりかえりました。
王妃はのろいました。
「そのタネは、もちはこぶなら岩よりもおもく、
水っぽいあじのするようにそだちなさい」と。
チベットにいくとちゅう
アシ・ジャサは(ブータンの)ハ地方をとおりました。
ハにいるあいだ、しらぬまにカブのタネがおちて
土にうまってしまいました。
いまのハでは
おおきくそだったカブがたくさんたくさんみられます。
たしかに、そのカブは、もてば岩よりもおもく
水っぽいあじがします。

語り手: サンゲじいさん(Ap Sangay)
若者ボランティア: クンサン・ジクメ(Kinzang Jigme)
ペマ・ヤンチェン(Pema Yangchen)
カルマ・ヤンゾム(Karma Yangzom)
ニマ・デマ(Nima Dema)
ナムゲ・ペルサン(Namgay Pelzang)
イシェ・ラモ(Yeshe Lhamo)
ツェリン・ラデン(Tshering Lhaden)
タシ・チョデン(Tashi Choden)
サムゲ・テンジン(Sangay Tenjin)
デマ・ヤンチェン(Dema Yangchen)
テキスト指導: ソナム・デキ(Sonam Deki)
イラスト指導: ジャナ・ツォク(Jhana Tshog)
装幀: チェ・ドルジ(Che Dorji)
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書名原題: How TURNIPS came to Haa - An etiological tale from Haa -
執筆編集: READ(Rural Education and Development Bhutan) 2017
登録ナンバー: 1000000434
資金提供: ジョン・ロバート・グレッグ財団(NYコミュニティ信託内)
印刷: クエンセル株式会社、ティンプー
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今夜は1年の中間成果から紹介します。

カブはどのようにしてハにもたらされたのか
-その ゆらい をさぐる-
むかしむかし
アシ・ジャサという
インド人のおひめさまがおりました。
おひめさまはまほうの かがみ をもっていました。
その金の かがみ をのぞきこむと
どんな人でもじぶんの うんめい がうつしだされます。
ある日、アシ・ジャサがかがみをみると
かがみは うんめい をうつしだしました。
うんめい はとおいチベットにありました。
かみの毛は ゆき よりもしろく
はぬけの おとこ と めおと になっていたのです!
アシ・ジャサはぞっとしました。
かがみをてにとり、ちかくの川になげすてました。
なぜ水が すがた をうつしだすのかわかりますか。
アシ・ジャサのかがみが
水のなかのどこかにしずんだままになっているからです。

アシ・ジャサはかがみの よげん をうれしくおもっていませんでしたが、
チベットにいくことをきめました。
王と王妃(おうひ)はむすめの けっしん に はんたい し、
チベットにいかないよう たのみました。
しかし、アシ・ジャサのきもちはゆるぎません。
がんこなむすめにいかった王と王妃は
「もしおまえがチベットにいくのなら、おやこのえんをきるよ!
おまえとわたしたちはなんの かんけい もなくなるからね」と
おどすようにいいました。

王女は いえ をでるだんになって
てぶらのままチベットにいくのは
よくないとおもいました。
まわりにだれもいないとき
アシ・ジャサはチベットにもっていく
カブのタネをそっとひろいあげました。
むすめがカブのタネをぬすんだとしり
母の王妃は、はらわたが
にえくりかえりました。
王妃はのろいました。
「そのタネは、もちはこぶなら岩よりもおもく、
水っぽいあじのするようにそだちなさい」と。
チベットにいくとちゅう
アシ・ジャサは(ブータンの)ハ地方をとおりました。
ハにいるあいだ、しらぬまにカブのタネがおちて
土にうまってしまいました。
いまのハでは
おおきくそだったカブがたくさんたくさんみられます。
たしかに、そのカブは、もてば岩よりもおもく
水っぽいあじがします。

語り手: サンゲじいさん(Ap Sangay)
若者ボランティア: クンサン・ジクメ(Kinzang Jigme)
ペマ・ヤンチェン(Pema Yangchen)
カルマ・ヤンゾム(Karma Yangzom)
ニマ・デマ(Nima Dema)
ナムゲ・ペルサン(Namgay Pelzang)
イシェ・ラモ(Yeshe Lhamo)
ツェリン・ラデン(Tshering Lhaden)
タシ・チョデン(Tashi Choden)
サムゲ・テンジン(Sangay Tenjin)
デマ・ヤンチェン(Dema Yangchen)
テキスト指導: ソナム・デキ(Sonam Deki)
イラスト指導: ジャナ・ツォク(Jhana Tshog)
装幀: チェ・ドルジ(Che Dorji)