囍来登記(1)

↑↓南禅寺(重建) 原寸大のレプリカです


無錫旅情
『無錫旅情』は尾形大作が1987年に大ヒットさせた ど演歌 だが、上海から同行してきたガイドのシーさんによれば、尾形は一発屋だそうである。私的には、以前書いたような記憶があるけれども、故M部長がカラオケで愛した曲のひとつであり、よく聞かされた。地元無錫でも、もちろんこの歌はよく知られていて、太湖畔に歌碑があり、歌詞は中国語に翻訳され尾形自身が唄っている。
1983年の秋、浙江から江蘇まで約2ヶ月間にわたってフィールドワークに携わった。そのとき無錫も訪れている。水路に沿う都市住宅の内部で実測をしていたとき、白い制服を着た公安官が突然入ってきて血の気を失った。取り調べから投獄かと一瞬観念したが、実態はその真逆であり、警察官は「何か手伝えることはないか」と申し入れてくれた。留学先の同済大学が文書で正式に援助を依頼していたのである。


あのころの無錫は「上海、蘇州と汽車に乗」って数時間を要した水郷の小都市であり、小河に沿って古い建物が軒を連ねていた。いまは新幹線で上海から45分。古い町並みは河沿いの一部を除いてほとんど削られてしまい、ビルの林立する大都市となって、人口は600万人に及ぶ。人口600万人と言えば、日本では大阪クラスだが、中国ではB級なのだそうである。北京・上海・天津・重慶が特別区の超A級、各省都がA級(江蘇省の場合は南京)、蘇州・無錫らはB級にあたる。
B級とはいえ、都市の変化は凄まじい。無錫も蘇州も国家歴史文化名城(国指定の歴史的著名都市)など名ばかりであり、開発の波は広範囲に及び、歴史的にみえる町並みも重建(古いものに似せて新しく立て直している建築)がほとんどである。雲南の大理・麗江でもそうだったが、蘇州・無錫はわたしたちの知っている街ではすでにない。


↑(上2枚)城濠に沿う古い町並み地区がライトアップされていて、レストランなども少なくない。これが怪しい。古い建物の改修ではなく、重建(再建)が幅を利かしている。
・无錫旅情 (中文版)
https://www.youtube.com/watch?v=soBA-6Om4mE


質素なクリスマス
年末年始の江南の冷え込みは大変なもので、日が暮れると零下にまで気温が下がる。日本に比べてマイナス10℃の体感があった。それだけ日本の太平洋側が暖かかったということなのだろうが、年末から日本海を覆う寒気団が東シナ海沿岸にまで及んでいるという天気予報を思い出した。こんな寒空のなか、大半の旅客は京杭大運河のナイトクルーズにでかけていったが、我が家は頑としてホテルに居残り、無錫シェラトンの夜をくつろいだ。1階のラウンジでシャンパンを楽しんだのだが、そこもまた暖かくはなく、買い物好きの若者は近くのスーパーで分厚い大き目のジャンパーを買ってきてくれた。
それにしても、今年のクリスマス飾りには派手さがない。シェラトンにして地味であり、昨年末の和平とは大違いである。年末のニュースで聞いてはいたのだが、クリスマス(聖誕)に対して中国共産党の介入が厳しく、信者の多い河北省では収監者まででたという。共産主義者はチベット仏教やイスラム教だけでなく、キリスト教まで弾圧し始めたということであり、それだけ民衆の信仰の多様化を恐れているのであろう。自分たちはマオイズムという宗教の甲冑をまといながら、そのじつ中国的共産主義などという思想を信じてもいないのに、価値観の多様化が怖くて仕方ないのである。


太湖のほとり
一夜あけて美魔女があらわれ、雰囲気が一変した。地元の女性ガイド、陳さんが乗車して話し始めると、車内の空気はやわらかになった。結構、中国や無錫の自慢話をしているのだが、嫌味に聞こえないのはわたしがおじさんだからなのだろうか、それとも彼女の人柄なのだろうか・・・まずは太湖だが、湖岸の整備が進み、じつに総長50キロに及ぶグリーンベルトが形成されていて、その規模は世界最大なのだという。たしかに湖畔を歩けば快適そのもの、寒気のなかジョギングを楽しむ地元の人たちもいて、健康志向の強さをうかがわせた。

陳さんの第二の自慢話は美貌である。中国の二大美女産地はどこか、と車内で問われた。わたしは「ハルピンと成都」が頭に浮かんだが、彼女の答えは「大連と無錫」であった。無錫美人は美白であり、43歳の陳さん自身、ほとんどすっぴんなのだと言って美肌を誇示する。それは、真珠クリーム販売の前振りであった。太湖では淡水産の真珠が採れる。海と違って核なしなので、殻をあければ10~20粒もの真珠が中に含まれている。形のよい真珠はもちろん宝石としてアクセサリーになるが、不整形のものは粉にしてクリーム(か服薬品)にする。これが美顔美白に効あり、というわけで、朝夕二種のクリームが飛ぶように売れた次第です。


↑国生小百合、永山洋子、香坂みゆきに似てると言われたことがあるそうです。悔しいけれど、否定できないな。右をクリックしてください。真珠と貝肉がアップされます。貝肉は刺身にできるとか。
↓真珠のクリームで夫婦ともども美白になれるでしょうか。
