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囍来登記(4)

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世界上最大的星巴克

 大晦日の晩餐は上海蟹のフルコース。痛風の源たるプリン体の塊だから、このシーズンは日本海の親ガニすら避けていたのだけれど、上海蟹のフルコースだからねぇ。それにしても、みんな蟹を食べるのが下手なんだ。殻ごとしゃぶりながら実を吸い尽くすという感覚が分からないんだな。その一方で、いざ食べ始めるとみな沈黙して会話は弾まないし、写真も撮らなくなる。おかげで、まともな写真は上の一枚だけでした。


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 一夜明けて元旦。まずは母校の主席を参拝し、そのまま南京西路をめざした。以前から十字路の角地にスターバックスはあったのだが、その対面に「世界最大のスターバックス」が最近誕生した。2017年12月5日のことである。その店は定型化したスターバックス(星巴克)ではなく、「リザーブ ロースタリー」という特別な名前が与えられていて、面積約2700㎡に及ぶ。内部はただのカフェではなく、珈琲豆の貯蔵場や焙煎工程を露出させているばかりか、専用のパン工房もあり、なによりグッズ売り場の充実ぶりには目を見張る。


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 わたしは、さほどスタバを愛しているわけではなく、むしろ老舗の喫茶店志向がつよい方だが、正直、この規模と設備とデザインには驚きを禁じ得なかった。いざ、注文。中国は豆乳の本場だから、ソイラテを飲む。期待にそぐわぬ味がした。苦い珈琲と濃厚な豆乳がよくマッチしている。紙コップではなく、オリジナルのマグカップを使っているところも好感がもてる。パン工房で焼いたホウレン草のピザも手作り感があって美味しい。値段は高いが、全体にファーストフード感が大きく薄れ、高級レストランのイメージを強くアピールしている。


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 飲食の後がまた大変で、カップ、ポット、バッグなどすべてのデザインが秀逸であり、5000円~9000円の品物が飛ぶように売れている。購買者は中国人よりも外国人(おもにアジア人)のほうが多い印象。自宅ではなく、職場で目立たぬよう使いたい。そういう実用品が多いのも特徴である。
 リザーブ ロースタリーは現在、本拠地シアトルのほか、ミラノと上海の3ヶ所だけにしかないが、まもなくニューヨーク、サンフランシスコ、東京(中目黒)などでも開店予定だという。東京は上海の後塵を拝した。ただの珈琲店の開店とはいえ、すでに東アジアの中心都市が上海に移っていることを暗示する出来事ではないだろうか。


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夜来香とシノワズリ

 予定より一時間ばかりオーバーして南京西路のスタバを出た。そこから衡平路へ。昨年に続き、シノワズリ陶器の売店「禅ライフストア」と「ラピスラズリ」を訪ねた。両店とも、その日、つまり元旦をもって店を閉じ、移転するのだと告白され驚いた。政府の命令だという。租界時代の建物が軒を連ねる一画であり、どうやら再開発が始まるらしく、カメラをもって界隈の写真を撮る人もちらほらいた。シノワズリとは、つまり中国趣味を吸収した欧米風のデザインということだが、その定義を受け入れるならば、租界時代の建物も、ひいては租界都市もシノワズリだと言ってよいかもしれない。
 音楽でシノワズリといえば、坂本龍一の「ラスト・エンペラー」か。その淵源は李香蘭(山口淑子)の「夜来香」(1944)あたりではないか。同じ李香蘭でも、「蘇州夜曲」(1940)の作曲は服部良一であるのに対して、「夜来香」の作詞作曲は黎錦光という中国人である。「夜来香」はあかるいチャイナポップスであり、「蘇州夜曲」と同様、カバーが少なくない。


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 夜来香(イェライシャン)とは花の名である。白または黄色い花が夜になると甘い芳香な匂いを発する。一説によると、李香蘭の歌うイエライシャンは、じつは月下香(ツベロサ)ではないか、とも言われている。いずれにせよ、そういう香花を愛でるために書かれた曲ではもちろんない。花が美女の暗喩であることはだれでもわかる。夜来香とは、夜になると匂い立つ麗人を忘れきれない、切ないラブソングさ。
 ちなみに、東海林太郎の「上海の街角で」の冒頭にでてくる「リラの花咲く・・・」のリラとはライラックのことで、ラベンダーのような紫色の花を咲かせるが、やはり強い芳香があり、花言葉は「初恋」「愛の芽生え」であるという。

 無錫と上海で3連泊したシェラトン(喜来登)は、ほとんど同じつくりになっていて、個人的な思い込みながら、夜来香がよく似合う。夜の寒気に触れるのもわずらわしかったので、黄浦江クルーズも新雑伎鑑賞にも加わらず、毎夜ラウンジでシャンパンとチリワインを飲んでは部屋に戻り、ゆったりくつろいだ。その部屋は、驚いたことに、寝室とバスルームの間が全面ガラス張りになっている。老夫婦にとっては迷惑この上なく、もっぱらジャグジーを使ったが、若いカップルにしてみれば刺激的な演出にちがいない。カーテンでガラス面を隠すことはできる。しかし、そうすれば影絵のようなシルエットが生まれ、むしろときめきは増すかもしれない。【完】


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・夜来香(李香蘭)
https://www.youtube.com/watch?v=Dt7QJ9_nY38

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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