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アムール




愛で殺して

 サーカスにすっかり嵌ってしまいました。もちろん西洋雑技のサーカスではなく、親族的合唱集団のサーカスです。
 サーカスのデビューは昭和53年(1978)であり、その年がピークでもありました。デビュー2曲めの「Mr.サマータイム」が大ヒットしてあっさり紅白出場を果たします。続く「愛で殺したい」と「アムール」もなかなかの名曲です。「愛で殺したい」は「Mr.サマータイム」と同じミシェル・フュガンの作品ですが、訳詞家がちがう。後者は竜真知子、前者はなかにし礼です。なかにし礼の詞は刺激的すぎる。

  離れないで 躰をはなさないで
  コーヒーなんか沸かしに行かないで
  毛布の中で 愛がからまりあって
  息をひそめているから 動かないで
  あなたを愛で 殺したいほどよ
  悪そうな目も すばやい手も 嘘つく口も 好きなの

 ウソかホントか知らないけれども、NHKはこの曲を「放送禁止」にしたとか??・・・こういう性愛の描写はフランス的とも言えるんでしょうが、昭和の歌謡曲では普通でありまして・・・我らが青江美奈の「伊勢佐木町ブルース」「恍惚のブルース」などは今なら確実にセクハラでアウトしょうし、奥村チヨとか辺見マリとか山本リンダも、みな同じ系列です。
 一方、「愛で殺す」という表現は、ネスカフェCMでお馴染みのロバータ・フラック「やさしく歌って」を思いおこしますね。原題は、

Killing Me Softly with His Song


 これを直訳すると、「(彼の歌で私を)やさしく殺して」となります。この場合「殺」=「逝」ともとれるわけですが、kill という動詞は結構やっかいでして、「殺す」という原義から「鎮静する」とか「うっとりさせる(悩殺する)」などの意味が派生しているようです。だから、原題は(彼の歌で私を)「穏やかな気持ちさせて」か、「うっとりさせて」という感じなんでしょうね。つまりネスカフェの場合、「やさしく殺して」ではなく「やさしく歌って」で正解なんでしょう。一方、サーカスの方は「逝」の直截な表現だとみればよかろうと思うのですが、異論のある方はお知らせください。





アムール

 「愛で殺したい」に続くシングルが「アムール」。黒龍江じゃありませんよ、フランス語の「愛」を意味する言葉です。ロシア語のアムールにも「情愛」の意味があるというから驚きですが、サーカスの「アムール」はフランス人(やロシア人)の作品ではありません。作詞:竜真知子、作曲:滝沢洋一。曲調・歌詞ともに「Mr.サマータイム」を意識したものでしょうが、不倫なのか、ただの三角関係なのか、ちょと分かりづらい。


 デビューアルバム「サーカス・ブティック」(入手困難) A面。
1曲目「愛で殺したい」のバックで流れているギターのアドリブが冴えてます。B面は↓
https://www.youtube.com/watch?v=et4ZL4JDQp0





アメリカン・フィーリング

 年が変わって1979年の大ヒット曲(紅白再出場)。題名どおりのアメリカン・ポップスです。作詞:竜真知子、作曲:小田裕一郎。驚いたことに編曲は坂本龍一で、レコード大賞編曲賞を受賞している。1979年といえば、YMOデビューの年であり、教授は未だ無名に近かったはず。健康的な西海岸風のサウンドです。デビューアルバム『サーカス・ブティック』(1979)を聴くと、艶っぽいシャンソン歌謡風と明るく爽やかな米ポップス系が交互に配列されていますが、シングルでの売れ行きとなれば、昭和の歌謡界では前者が強く、サーカス自身も高子さんの歌唱力と卯月さんの色香を最大限発揮するには前者に賭けるほうに自ずと傾いていったんでしょうね(あくまでシングルの場合です)。





去りゆく夏

 1980年になって、本家戻りした作品。フランスの楽曲を竜真知子が訳してます。あまりヒットしなかったようですが、マニアの間では「Mr.サマータイム」の続編風と評価されているようです。ただし、不倫の背徳も性愛の描写もない。もう少しきわどいところまで行っていいんだ、このグループは。

 さてさて、くどいようですが、サーカス初期の成功をみるにつけ、シャンソン系(あるいはラテン系)の楽曲と日本の歌謡界は相性がいいと改めて思いました。スケールが似ているから、演歌好きの聞き手でも受け入れやすい。おまけに歌詞は艶く、美人が踊って歌って、隠し味のハーモニーは抜群。流行歌手の仲間入りできたゆえんでしょう。それでいて、シャンソンはジャズとも相性がよく、少しコード進行に手を加えればかなり現代的なハーモニーに成長するわけですが、調子にのって、そっちの方向に進みすぎると、こんどは一般聴衆が離れてしまう。結局、サーカスの分裂はそこにあるんじゃないのかな。オリジナルのシャンソン歌謡ムードを尊重するか、テンションの効いた現代ジャズコーラスをめざすか。みなさんの予想に反して??・・・わたしは、どっちかというと前者のほうが好きです。新生サーカスの成功の鍵を握るのは叶ありささんにかかっていますね、いろんな意味で。



↑この歌もシャンソンのカバーですね。 こちら に和訳があったのですが、いつもの悪い癖で改訂を試みました。

If you go away on this summer day  この夏の日にあなたが去っていくのなら
Then you might as well take the sun away  おひさまも、夏空に飛ぶ鳥たちも
All the birds that flew in the summer sky  連れていってしまうのかしら
When our love was new and our hearts were high  恋が始まり、ときめいていたころ
And the day was young and the night was long  昼は短く、夜が長かった
And the moon stood still for the night bird's song  月は夜空に浮いたまま鳥のさえずりを聞いていた

But if you stay, I'll make you a day  でもあなたが居てくれるなら 昼もあなたに尽くしてあげる
Like no day has been or will be again  今までみたいな日々をくりかえすんじゃなくて
We'll ride on the rain, We'll sail on the sun  雨の日にはドライブし、晴れの日には航海するの
We'll talk to the trees and worship the wind  樹に語りかけ、風に祈るの
Then if you go, I'll understand  それでもあなたが消えてしまうのなら仕方がないわ
Leave me just enough love to hold in my hand  わたしの手でうけとめるだけの愛をのこしていって


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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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