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トクタミシェワの誘惑




 最近感心したものに内田也哉子の謝辞(内田裕也葬儀)と上野千鶴子の祝辞(東大入学式)があるが、それらを雲散させてしまうほどの魔力をふりまいたのがフィギュアスケート国別対抗戦におけるトクタミシェワ(ロシア)の演技であった。
 まず第一に、トクタミシェワはショートとフリーの両演技において、3アクセルを完璧に決めてみせた。わが紀平はショートではそれを成功させ世界最高点を叩きだしたものの、フリーではあえなく転倒し、総合5位にまで順位を落としたのに対して、トクタミシェワは女子総合1位であり、2015-16シーズン世界チャンピオンの力量を存分に誇示したのである。
 トクタミシェワは、浅田真央の一度目の引退直後のシーズンから3アクセルに挑みはじめ、それを成功させた世界大会で優勝したのだが、あとからあとからうようよ湧いてくるメドベージェワやザギトワなどの新人の後塵を拝するようになり、まもなく世界の舞台からいちどは消えてしまった。平昌にも大阪にもトクタミシェワの姿はなかったが、このたびの国別対抗(福岡)で世界2位にあたる高得点を獲得し、日本代表の二人を寄せつけなかった。





 トクタミシェワはソチ五輪で優勝したソトニコワの同級で、今年22歳になる。フィギュアの世界では「熟女」にあたる年齢と言ってもさほど非難をあびないかもしれない。ロシアのフィギュア界では、すでにザギトワやメドベージェワすら引退勧告がなされているという噂がある。彼女たちは女の子から大人の女性への成長期にあり、難度の高いジャンプが不安定になって、より高度な離れ技を望めない。日本の浅田にしても、少女のころは楽々飛べた3アクセルが大人になって失敗するパーセンテージが高くなっていった。紀平もこれからその途に踏み込んでいかざるをえない年齢になっている。一方、ジュニア世代の13~15歳の少女選手たちは4回転の着氷に成功しつつある。来たる北京五輪は、3アクセルから4回転の戦いになること間違いない状況にあって、ザギトワやメドベージェワは間に合わない、というのがロシア指導者たちの判断になりつつあるのかもしれない。
 そんななか、トクタミシェワの座標は異次元の不気味さを放ち始めている。少女時代には飛べなかった3アクセルが18歳をすぎて飛べるようになり、グラマラスな肢体を保ちながらジャンプの安定度が増してきている。3アクセル(以上)が飛べるなら、引退などする必要はない。今後も、すなわち北京五輪においても、若手たちと対等に戦う潜在力があるということだ。



 おまけに、あのお色気。黒いコスチュームを纏ったCAのエキシビションは、これを下品などという男がいるのなら、それは馬呆だとしかいいようがなかろう。風貌だけみれば、夜のバーを渡り歩く遊び人のようにもみえるが、グッディのインタビューで答えているように、暇なときの遊びは「スケートリンクに行くこと」だそうであり、このあたりのストイックさは現役時代の浅田真央を彷彿とさせる。そうでなければ、世界チャンピオンになどなれるはずはないであろう。

 トクタミシェワには「胡姫」の匂いがする。北京五輪での活躍を願ってやまない。




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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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