アヤックス快進撃!
アヤックスがCLの16強戦でレアルを計5-3で粉砕(H1-2;A4-1)したというニュースを聞いたとき、CR7の抜けた影響はそこまで深刻かと憐れになったが、続く8強戦ではそのCR7を補強したユーベを計3-2(H1-1;A2-1)で倒したとの報に接し、これはもうレアルやユーベが弱いのではなく、今のアヤックスがとてつもなく強いチームだということに遅まきながら気がづいた。
オランダのアヤックス・アムステルダムは1971~73年、UEFAチャンピオンズカップの3連覇を成し遂げた名門である。当時のリーダーがヨハン・クライフであり、かれはアヤックスにおいてトータル・フットボールをほぼ完成させ、ベッケンバウアー率いるバイエルン・ミュンヘンなどを寄せつけぬほどの強豪に成長させた。その後、バルセロナに移籍し、アヤックスとバルセロナの両チームに対してつねに強い影響力を持ち続けた。二つのチームはクライフ流サッカー観を共通の基盤にしているが、バルサがスターを集めた銀河系高年俸集団であるのに対して、アヤックスはユースの育成に主眼をおいているところが対照的である。アヤックスはユース世代によって強いチームを作りあげ、将来性豊かな人材を欧州四大リーグに送り込む資源庫のようにして財政を潤してきたのである。
その代表例は1994-95シーズンのCLで優勝したメンバーたちである。ブリントとライカールト以外は二十歳前後の若者たちばかりであったが、ユース年代から1軍と同じサッカーを教育されており、当時世界最強と言われたミランを倒し欧州覇者となった。ファン・デル・サール、ライツィハー、デ・ブール兄弟、ダーヴィッツ、セードルフ、クライファート、オフェルマウス等は、アヤックスからユーベ、ミラン、バルサ、マンUなどのビッグクラブに買われて離散しつつ、ナショナルチームでは同窓会のようにして再会し、世界有数の強豪であり続けた。1998年のフランスW杯ではヒディンク監督に率いられて四強に進出し、準決勝ブラジル戦でPK負けしたものの、優勝したフランスより強かったのではないか、と絶賛されたチームでもある。
今年のアヤックスは1994-95シーズンの再現を成し遂げそうな勢いをみせている。その中心にいるのが、キャプテンマークを腕にまくマタイス・デ・リフトというセンターバックである。若干19歳だが、すでに世界最高レベルのディフェンダーと評価されている。破壊的な攻撃力も備えており、トリノでのユーベ戦ではコーナーキックから見事なヘディングをゴールに叩きこんだ。まぁ、大谷翔平がサッカー選手になったような逸材だと思ってもらえればいいかな。もちろん移籍の噂は絶えない。チームの同僚MF、フレンキー・デ・ヨングはすでにバルサへの移籍が確定している。デ・リフトの移籍先もバルサになるのではないか、というのがもっぱらの噂である。移籍したらしたでレギュラー争いは熾烈をきわめるだろうが、中盤よりはディフェンスのほうが定着が早いような気もする。
準決勝は、アヤックス対トッテナム、リバプール対バルセロナに決まった。ここまでバイエルン、レアル、ユーベを蹴散らしてきたアヤックスがトッテナムを下す力は十分にあると言わざるをえない。トッテナムとしては、ユーベやレアルがアウェイで善戦する一方、ホームで完敗している点に注目すべきように思われる。すなわち、ホームにおいても、アウェイと同様の守備的戦術で臨めば活路を見出しうるかもしれない。
一方のリバプール対バルセロナは微妙だ。名前だけみれば、メッシのいるバルサに分がありそうだが、リバプールは昨年のファイナリスト(準優勝)であり、今年はさらに強くなっていて、やや弱体化しているバルサの守備陣に風穴をあけそうな勢いを感じ取れる。クロップの采配にも注目したい。
決勝はアヤックス対バルサの同門対決になって、若いアヤックスが優勝し世代交代を誇示する、という筋書きがいちばんおもしろいが、アヤックス対リバプールもありえるだろう。いずれにしても、わたしはアヤックスを応援します。四半世紀ぶりに欧州チャンピオンに返り咲いてほしい。
オランダのアヤックス・アムステルダムは1971~73年、UEFAチャンピオンズカップの3連覇を成し遂げた名門である。当時のリーダーがヨハン・クライフであり、かれはアヤックスにおいてトータル・フットボールをほぼ完成させ、ベッケンバウアー率いるバイエルン・ミュンヘンなどを寄せつけぬほどの強豪に成長させた。その後、バルセロナに移籍し、アヤックスとバルセロナの両チームに対してつねに強い影響力を持ち続けた。二つのチームはクライフ流サッカー観を共通の基盤にしているが、バルサがスターを集めた銀河系高年俸集団であるのに対して、アヤックスはユースの育成に主眼をおいているところが対照的である。アヤックスはユース世代によって強いチームを作りあげ、将来性豊かな人材を欧州四大リーグに送り込む資源庫のようにして財政を潤してきたのである。
その代表例は1994-95シーズンのCLで優勝したメンバーたちである。ブリントとライカールト以外は二十歳前後の若者たちばかりであったが、ユース年代から1軍と同じサッカーを教育されており、当時世界最強と言われたミランを倒し欧州覇者となった。ファン・デル・サール、ライツィハー、デ・ブール兄弟、ダーヴィッツ、セードルフ、クライファート、オフェルマウス等は、アヤックスからユーベ、ミラン、バルサ、マンUなどのビッグクラブに買われて離散しつつ、ナショナルチームでは同窓会のようにして再会し、世界有数の強豪であり続けた。1998年のフランスW杯ではヒディンク監督に率いられて四強に進出し、準決勝ブラジル戦でPK負けしたものの、優勝したフランスより強かったのではないか、と絶賛されたチームでもある。
今年のアヤックスは1994-95シーズンの再現を成し遂げそうな勢いをみせている。その中心にいるのが、キャプテンマークを腕にまくマタイス・デ・リフトというセンターバックである。若干19歳だが、すでに世界最高レベルのディフェンダーと評価されている。破壊的な攻撃力も備えており、トリノでのユーベ戦ではコーナーキックから見事なヘディングをゴールに叩きこんだ。まぁ、大谷翔平がサッカー選手になったような逸材だと思ってもらえればいいかな。もちろん移籍の噂は絶えない。チームの同僚MF、フレンキー・デ・ヨングはすでにバルサへの移籍が確定している。デ・リフトの移籍先もバルサになるのではないか、というのがもっぱらの噂である。移籍したらしたでレギュラー争いは熾烈をきわめるだろうが、中盤よりはディフェンスのほうが定着が早いような気もする。
準決勝は、アヤックス対トッテナム、リバプール対バルセロナに決まった。ここまでバイエルン、レアル、ユーベを蹴散らしてきたアヤックスがトッテナムを下す力は十分にあると言わざるをえない。トッテナムとしては、ユーベやレアルがアウェイで善戦する一方、ホームで完敗している点に注目すべきように思われる。すなわち、ホームにおいても、アウェイと同様の守備的戦術で臨めば活路を見出しうるかもしれない。
一方のリバプール対バルセロナは微妙だ。名前だけみれば、メッシのいるバルサに分がありそうだが、リバプールは昨年のファイナリスト(準優勝)であり、今年はさらに強くなっていて、やや弱体化しているバルサの守備陣に風穴をあけそうな勢いを感じ取れる。クロップの采配にも注目したい。
決勝はアヤックス対バルサの同門対決になって、若いアヤックスが優勝し世代交代を誇示する、という筋書きがいちばんおもしろいが、アヤックス対リバプールもありえるだろう。いずれにしても、わたしはアヤックスを応援します。四半世紀ぶりに欧州チャンピオンに返り咲いてほしい。
=追記 5月13日=
バルサ、アヤックスとも、第2戦で3-0からの大逆転をくらい、決勝はリバプール対トッテナムとなりました。リバプールはさておき、トッテナムはねぇ・・・せめてマンCならプレミアリーグのリベンジ戦になってよかったのに。
さて、バルサ、アヤックスの敗退は信じがたい結果ですが、少なくともアヤックスの場合、よく考えてみると、初戦のホームで1-2(対レアル)、1-1(対ユーベ)と苦戦しており、第2戦のアウェーでそれぞれ4-1、2-1の逆転劇を演じてみせた。これを奇跡のようにとらえていたわけですが、準決勝では逆のことがおきてしまった。しかし、いずれの戦いにおいても共通しているのは、たとえアウェーと雖も、攻撃的な姿勢を強めなければ点を奪われて逆転されてしまうという現実です。
とすれば、アヤックスは初戦のアウェーで1-0の勝利を納めたことが歯車を狂わせたと言わざるをえないしょう。初戦で負けておくほうが良かったんだな。そうすれば、アヤックスはアムステルダムで攻めに攻めたでしょう。おそらく結果は逆になったような気がします。
ともかく、サッカーの最新のトレンドでは、ホームもアウェーもない。どちらも攻撃的であることが勝利への近道になる。それがCLの決勝トーナメントで実証されたかたちになります。その点、昨年のロシアW杯におけるフランスの守備的戦術(とくに準決勝のベルギー戦)とは大いに異なる。中立地での1戦のみとホーム&アウェイ戦の違いとみなせばよいのか、それとももっと根本的なサッカーの質的変化なのか、とりあえず6月1日のアゼルバイジャンでの決勝を注目しましょう。
バルサ、アヤックスとも、第2戦で3-0からの大逆転をくらい、決勝はリバプール対トッテナムとなりました。リバプールはさておき、トッテナムはねぇ・・・せめてマンCならプレミアリーグのリベンジ戦になってよかったのに。
さて、バルサ、アヤックスの敗退は信じがたい結果ですが、少なくともアヤックスの場合、よく考えてみると、初戦のホームで1-2(対レアル)、1-1(対ユーベ)と苦戦しており、第2戦のアウェーでそれぞれ4-1、2-1の逆転劇を演じてみせた。これを奇跡のようにとらえていたわけですが、準決勝では逆のことがおきてしまった。しかし、いずれの戦いにおいても共通しているのは、たとえアウェーと雖も、攻撃的な姿勢を強めなければ点を奪われて逆転されてしまうという現実です。
とすれば、アヤックスは初戦のアウェーで1-0の勝利を納めたことが歯車を狂わせたと言わざるをえないしょう。初戦で負けておくほうが良かったんだな。そうすれば、アヤックスはアムステルダムで攻めに攻めたでしょう。おそらく結果は逆になったような気がします。
ともかく、サッカーの最新のトレンドでは、ホームもアウェーもない。どちらも攻撃的であることが勝利への近道になる。それがCLの決勝トーナメントで実証されたかたちになります。その点、昨年のロシアW杯におけるフランスの守備的戦術(とくに準決勝のベルギー戦)とは大いに異なる。中立地での1戦のみとホーム&アウェイ戦の違いとみなせばよいのか、それとももっと根本的なサッカーの質的変化なのか、とりあえず6月1日のアゼルバイジャンでの決勝を注目しましょう。