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『鳥取県の民家』を訪ねて(4)

2019年度人間環境実習・演習B中間報告会(1)

1 本研究の目的

 5月29日(水)5限、人間環境実習・演習Bの中間報告会が開催されました。ASALABは3班中の2番目の発表でした。これから5回に分けて発表内容を連載します。


0529(最終校正)鳥取県の民家ブログpdf用改変_01  図1


 まず本研究の目的について述べる。図1(↑)左が昭和49年(1974)に刊行された『鳥取県の民家』という報告書の表紙である。私たちは『鳥取県の民家』報告書に掲載された古民家に係わる調査研究を進めている。以下、現在の進捗状況を説明する。本書の構成は以下のとおり。

  1. 本研究の目的(井上)
  2. 昭和49年の日本(藏田)
  3. 『鳥取県の民家』データ化(沼野・藤井)
  4. 今後の課題(佐藤)


0529(最終校正)鳥取県の民家ブログpdf用改変_02  図2


 図2の左側に報告書の奥付を貼り付けている。奥付によると、報告書の正式な書名は『鳥取県の民家-鳥取県民家緊急調査-」である。なぜか表紙は『鳥取県の民家 鳥取県文化財調査報告書 第10集』となっており、奥付と一致しない。報告書の発行年は昭和49年(1974)3月。編集・発行者は鳥取県教育委員会になっている。印刷は今はなき地元の株式会社矢谷印刷所である。ASALABの報告書でも何度か矢谷印刷所のお世話になっている。


0529(最終校正)鳥取県の民家ブログpdf用改変_03   図3


 鳥取県民家緊急調査の主任調査員は、大阪市立大学家政学部住居学科教授で工学博士の白木小三郎先生であった。ネットで検索するも、白木先生の情報はほとんどなく、なんとか大正3年(1914)、秋田生まれであることまでは突き止めたが、没年は不詳である。『日本の民家』『住まいの歴史』など古民家に関する多くの著書を出版されている。


0529(最終校正)鳥取県の民家ブログpdf用改変_04 図4


 報告書は以下のように、序文のあと全4章で構成されている。

  序文
  第1章 民家の緊急調査について
  第2章 鳥取県下の民家形式の概要
  第3章 民家に関する史料
  第4章 主要民家解説
  参考文献

 第1章で調査の概要と方法を述べ、最後に調査対象民家の一覧を示す。第2章では鳥取県民家の地域性や時代性、間取形式などの特質を説明する。第3章では普請帳や棟札、古絵図などの史料を掲載している。第4章では、調査対象のうち特に重要な第3次調査民家を個別解説している。


0529井上05 図5



0529(最終校正)鳥取県の民家ブログpdf用改変_05 図6


 図6(↑)右側は県教委教育長の序文である。序文から報告書の趣旨を探ってみよう。
 民家という物質文化は、庶民の歴史を知るうえで貴重な資料である。しかし、この報告書が刊行された頃、現存する貴重な民家はやがて消滅するであろうと予想されていた。当時の日本は、高度経済成長期を迎えていた。特に昭和40~50年代は成長のクライマックスにあたり、全国各地で国土開発が急速に進められていた。それに伴い、人びとの生活も変容し、伝統的な民家は激減しつつあった。このような状況に文化庁は危機感を抱き、全国的な緊急調査を実施することとしたのである。こうした緊急調査によって、貴重な文化遺産の所在を把握して代表的なものを保存し、同時に人々の関心を高めるねらいがあった。鳥取県でも昭和47年度に民家緊急調査を実施し、翌48年度、『鳥取県の民家』が刊行された。


0529(最終校正)鳥取県の民家ブログpdf用改変_06 図7


 『鳥取県の民家』が刊行されてから45年が経過した。この報告書を読んでいくうちに自ずと疑問がわいてくる。『鳥取県の民家』に記載された民家はその後どうなったのか。記載された民家のうち文化財として保護されたものはどのくらいあるのか。逆に、文化財にならなかった民家はいまどうなっているのか、などである。
 以上を明らかにするため、図7右側のような活動に取り組んでいる。現地調査に取り組む下準備として、まずは報告書のデジタル・データ化を進めている。こうしてデータを整理しつつ、報告書掲載民家を実際に訪問して、45年後の現状を把握しようというのが最終的な目的である。ただし、対象民家は県内全域に及んでいるので、前期は大学に近い東部の状況を中心に調査しようと考えている。(3年I.Y)


0529井上08 図8


【連載情報】
(01)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2042.html
(02)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2044.html
   №016④三百田家(若桜吉川・県指定)  №012③矢部家(八頭用呂・国重文)
(03)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2046.html
(04)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2050.html
(05)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2051.html
(06)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2052.html
(07)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2053.html
(08)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2054.html
(09)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2055.html
   №027⑦福田家(紙子谷・国重文)  №025⑥西尾家(八頭万代寺)
(10)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2056.html
   №021⑤谷上家(佐治余戸)
(11)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2059.html
   No.011②木下家(布袋・県指定)  No.006①米山家(岩美外邑)
(12)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2060.html
   №023⑧西尾家(赤子田)  №030⑩奥田家(猪子・県指定)
(13)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2061.html
   №029⑨松本家(江津)
(14)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2069.html
   №040⑯小椋家(木地山)
(15)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2070.html
   №029⑨松本家(江津)2回目
(16)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2071.html
(17)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2075.html
(18)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2076.html
(19)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2077.html
(20)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2078.html
(21)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2079.html
(22)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2080.html
(23)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2081.html
   №023⑧西尾家(赤子田)2回目
(24)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2082.html
   №086㉝福田家(日南上萩山)  №082㉜長谷家(日南萩山)  №088㉞石川家(日南笠木)
(25)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2083.html
   No.104㊲乃木家(日野黒坂)  №103㊱細木家(日野黒坂)  №097㊱内藤家(日野板井原)
(26)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2084.html
(27)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2085.html
(28)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2086.html
   №.051㉑小木家(東伯赤碕)  №052㉒門脇家(東伯赤碕)
(29)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2087.html
(30)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2088.html
   No.044⑱牧野家(関金町郡家)  No.041⑰鳥飼家(関金町大鳥居・県)
(31)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2089.html
   No.033⑫前家家(青谷奥崎)  №031⑪小谷家(鹿野町鹿野)
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   No.076㉚下原家(江府町俣野)  No.081㉛車家(江府町貝田)
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   No.106㊳生田家(伯耆町三部)  No.107㊴足羽家(伯耆町二部)
(34)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2106.html
   No.071㉗森田家(淀江町西尾)  No.070㉖田山家(淀江町淀江)
(35)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2096.html
   No.039⑮原田家(湯梨浜方面)  No.037⑫正木家(湯梨浜橋津)
(36)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2097.html
   新聞No.25中島家(岩美大谷)  新聞No.10福田家(鳥取市国安)
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   新聞No.22吉村家(鳥取市立川)  新聞No.11岩田家(鳥取市立川)
(38)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2116.html
   新聞No.20岡本家(国府町木原)  新聞No.18 山本家(国府町神護)
(39)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2117.html
   新聞No.16奥本家(用瀬町)  新聞No.17徳永家(用瀬町)
(40)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2122.html
   No.045⑲河本家(琴浦町箆津)  No.046⑳河本家(琴浦町箆津) 

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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