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『鳥取県の民家』を訪ねて(9)

0605⑦(27)福田家05斜前方から01 0605⑦(27)福田家01案内板01sam


№027⑦福田家住宅

 6月5日(水)、快晴猛暑。ゼミ生全員で『鳥取県の民家』を訪ねるフィールドワークにでた。はじめに鳥取市紙子谷にある№030⑦福田家住宅を訪れた。これまで研究室として何度か訪問したようだが、原則として公開されていないので、内部に入った経験があるのは教授だけらしい。今回は玄関があいており、前庭から土間が見通せる状態になっていて、教授が何度も声をかけられたが返事はなく、やはり外観からの撮影や調書取りにとどまった。
 福田家住宅は『鳥取県の民家』刊行直前の昭和49年(1974)2月5日、国の重要文化財に指定されている。案内板によると、以下のような由緒と建築上の特色がある(若干改訂)。


0605⑦(27)福田家02小屋組01 00福田家01復原平面図01


 福田家は古くからこの地に住み、江戸時代には旧津ノ井村の大庄屋を20代も務めた旧家である。江戸時代以前はこの地方の在地土豪であったが、帰農したと伝えられる。住宅の建築年代は、木柄の太さや手斧(チョウナ)はつりの加工痕跡からみて、江戸時代初期以前の建築と推定され、県内に残る住宅建築のなかで最古級の一つと考えられる。現在は改造がみられるものの、当初は四八(間口八間×奥行四間)の「広間型三間取り」であった。①側柱の間隔が不規則で、構造上無理のない位置に配されていること、②後世には省略される入側柱が残ること、③大黒柱が細く側柱のサイズとほとんど変わらないこと、など随所に古い要素を残す。製材してない曲がった部材をそのまま柱とし、そのままチョウナで削った痕が明瞭にみえるなど、主要部材に当初のものが比較的残っている。
 教授の説明によると、主屋が大壁構造になっているところも古式であり、斜め前の庭の塀は新しい真壁になっていて対照的である。構造形式は入母屋造茅葺平屋建平入。


0605⑦(27)福田家04正面01 0605⑦(27)福田家03GPS01sam



0605⑥(25)西尾家01背面01 0605⑥(25)西尾家01背面02側面


№025⑥西尾家住宅

 八頭町万代寺の小路に沿って建つ大型の和風住宅である。今は中二階型の入母屋造桟瓦葺平入だが、昭和49年の調査時は茅葺だった。『鳥取県の民家』調査時の25年前に大改修がなされ、報告書の現状平面をみると、家人用が7部屋、土間側の下人用が2部屋もある。白木小三郎先生はこれを「広間型三間取り」に復原されている。
 同じ八頭町(旧郡家町)のカフェ黒田さんのお知り合いであり、事前に連絡していただいたおかげで、内部をみせtいただいた。現在も調査時の所帯主がご健在で、ご主人は96歳、奥様は92歳を数える。その奥様によると、昭和51年(1976)10月に屋根を桟瓦葺に換えるべく、茅葺屋根を解体したところ、サスが崩れ落ちて大変なことになり、いたるところで雨漏りが発生し、「おばあちゃんと一緒に泣きながらバケツを置いてまわった」そうである。


0605⑥(25)西尾家01背面03中二階01 00西尾家(郡家)02茅葺屋根01
 茅葺から桟瓦葺中二階へ


 今は内装も大きく近代化し、新材が目立つようになっている。ただし奥様によると、屋根裏にはサスの本組が残っているとのことだったので、3年生3人が2階押入の収納物を外に出して、天井板外しに挑戦した。しかし、いくら押しても天井板は外れない。ところが、板を横に引くとあっさり屋根裏があらわれて驚いた。天井板の向こうにある小屋組は新しい材の和小屋であった。屋根裏のどこか隅のほうにでも古材が残っているのかもしれない。


0605⑥(25)西尾家01背面04小屋組01 00西尾家(郡家)01復原平面図01


 ご主人は近隣に所在する会社の社長を務めておられた時代からオーディオに凝っており、一室をオーディオルームに当てておられるのだが、奥様は「困った、こまった・・・これなんとかして」と嘆いておられたので、教授は何か方策があるのか、「廃棄が決まったらお知らせください」と返事されていた。今この家に住まわれているのは老夫婦お二人だけだが、息子さんが会社を継がれ、二人の娘さんは近隣に住んでおられるので、調査対象の住宅が近い将来取り壊される危険性は低いと思われた。
 92歳の奥様は階段の上り下りが軽快であった。また、紙や布でお花を制作されており、作品は実に素晴らしく、とてもお元気で器用な方だと思った。調査後には玄関で休憩し、水羊羹をごちそうになった。猛暑の中、大変有難かった。(いちご)


0605⑥(25)西尾家02ステレオ01 
↑オーディオ・ルーム  ↓玄関で水羊羹/調査風景
0605⑥(25)西尾家03みずようかん01  0605西尾家演習風景


【連載情報】
(01)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2042.html
(02)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2044.html
   №016④三百田家(若桜吉川・県指定)  №012③矢部家(八頭用呂・国重文)
(03)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2046.html
(04)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2050.html
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(09)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2055.html
   №027⑦福田家(紙子谷・国重文)  №025⑥西尾家(八頭万代寺)
(10)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2056.html
   №021⑤谷上家(佐治余戸)
(11)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2059.html
   No.011②木下家(布袋・県指定)  No.006①米山家(岩美外邑)
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   №023⑧西尾家(赤子田)  №030⑩奥田家(猪子・県指定)
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   №029⑨松本家(江津)
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   №040⑯小椋家(木地山)
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   №029⑨松本家(江津)2回目
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   №023⑧西尾家(赤子田)2回目
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   №086㉝福田家(日南上萩山)  №082㉜長谷家(日南萩山)  №088㉞石川家(日南笠木)
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   新聞No.20岡本家(国府町木原)  新聞No.18 山本家(国府町神護)
(39)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2117.html
   新聞No.16奥本家(用瀬町)  新聞No.17徳永家(用瀬町)
(40)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2122.html
   No.045⑲河本家(琴浦町箆津)  No.046⑳河本家(琴浦町箆津) 

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Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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