fc2ブログ

『鳥取県の民家』を訪ねて(12)

0612赤子田01西尾家01長屋門01 0612赤子田01西尾家00大井手


№023⑧西尾家住宅

 6月12日(続)。3年生たちがNo.011②木下家住宅調査を開始した直後、私たち4年生3人は赤子田(あこだ)に向かいました。No.011②の位置する河原町布袋から1キロほど北西に進むと 赤子田(あこだ)に着きます。『鳥取県の民家』(1974)によると、赤子田は鳥取藩池田候の参勤交代の街道が通り、西尾家は大庄屋であると同時に本陣としても機能したと伝えられています。また、文政年間(1804-1831)に西尾家で火災があり、1972年に調査した主屋は火災後のものと判断されます。


西尾2web 赤子田01西尾家03長屋門写真


 赤子田ではさっそく№023⑧西尾家住宅を探しました。事前に住所が特定できなかったので、まずは集落内で出会った方へのヒアリングから始めました。一人目の方はNo.011②と同姓の西尾さんというご婦人でしたが、「知らない」とのことで、すぐに会話は終わってしまいました。二人目のご婦人はお 出かけになるご様子で、最初は「他の家のことはあまり分からないから」 と発言を躊躇されていましたが、次第に慣れてこられて、No.011②のことを思い起こされ、その位置をほぼ確定することができました。会話中に先生や3年生も赤子田に到着され、無事合流しました。二人目のご婦人は、しきりに「そこにね、今もね、いらっしゃるから」と生い茂る屋敷林を指さされます。全員で、大井手(一番上の写真右)に沿う道路の側から向かうと長屋門のあたりにご主人を発見しました。報告書に記載されている西尾さんのご子息です。


0612赤子田01西尾家02主屋跡02 0612赤子田01西尾家02主屋跡01


 残念なことですが、主屋は撤去されていました。基礎の跡がはっきり残っており、庄屋時代の建物規模の大きさを偲ばせます。撤去したのは6~7年前のことだそうです。コボチ屋がやってきて、「安くするから」と声をかけられ、その誘いにのったのだそうです。現在は主屋跡の裏側に新しい住まいを建ててお住まいになっています。。1棟だけ残る土蔵は瓦屋根が崩れかかっていて、今後の維持が難しいようにみえました。


赤子田01西尾家04主屋写真 赤子田01西尾家01復原平面図01


 入口には梅の樹があり、梅を漬けて梅酒にする話で盛り上がりました。昨日報告した岩美町外邑の米山家住宅である。No.006①でも梅の収穫は進んでいましたが、主屋を撤去した屋敷の状況も近似しています。


西尾7web 赤子田01西尾家05配置


0612猪子01奥田家01遠景01


№030⑩奥田家住宅

 猪子川最上流部に位置する猪子は、赤子田から5~6キロほど離れたところにある山村です。猪子にある『№030⑩奥田家住宅は2013年に県指定保護文化財になった古民家ですが、ネットなどで検索しても大字や電話番号をみつけることができませんでした。これは出たとこ勝負しかないので、集落についてヒアリングしたところ、「あぁ、あそこ、お城のような家だから」とおっしゃって山のほうを指さされました。たしかに、山城を思わせるような石垣が遠望でき、一目で奥田家の所在地が分かりました。


0612猪子01奥田家01中景01 0612猪子01奥田家03案内板doc


 屋敷の土塀に沿う斜路を結構急な坂になっており、まもなく大きな門と案内板がみえました。長屋門はあいていて、前庭に入ることができます。まずは先生が挨拶されようと、玄関前まで行かれて、なんどもベルを押されるのですが、お返事がありません。仕方ないので、外観の写真を撮影していたところ、斜面の下から上がってくるご婦人があり、奥田家の奥様でした。実習・演習の目的と内容をお伝えすると、ご主人に相談するとのことで、下手の方におりていかれました。ついていった学生は「アポもないのか」とお叱りを受けましたが、研究活動へのご理解を示され、調査をご承諾いただきました。


0612猪子01奥田家02主屋02 0612猪子01奥田家02主屋01


 報告書掲載の所有者のご子息が奥様・娘さんとともに、この屋敷に住んでおられます。奥様からのヒアリングと案内板・報告書によると、奥田家の主屋は幕末の建造で、完成までに11年費やしたと伝えられます。当初は六間取りの茅葺でしたが、明治になって瓦葺に葺き替えられ、現状の中二階形式となったそうです。とりわけ目を引くのは間口二間の立派な式台です。県の指定を受けるだけのことはあり、保全状態は良好で、赤い桟瓦が山の緑に 映えてとても綺麗でした。奥様によると、大庄屋には親戚・婚姻関係があり、とくに赤崎の河本家とは親しくされており、この日訪問した木下家・西尾家・松本家などのこともよくご存知でした。これを別のアングルからとらえるならば、『鳥取県の民家』(1974)に掲載されている民家は、庄屋ネットワークの報告書だとも言えることがうっすら見えてきた次第です。(八木部長)


猪子01奥田家02主屋01復原平面図 猪子01奥田家01配置図

奥田9web 奥田nagaya web


【連載情報】
(01)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2042.html
(02)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2044.html
   №016④三百田家(若桜吉川・県指定)  №012③矢部家(八頭用呂・国重文)
(03)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2046.html
(04)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2050.html
(05)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2051.html
(06)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2052.html
(07)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2053.html
(08)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2054.html
(09)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2055.html
   №027⑦福田家(紙子谷・国重文)  №025⑥西尾家(八頭万代寺)
(10)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2056.html
   №021⑤谷上家(佐治余戸)
(11)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2059.html
   No.011②木下家(布袋・県指定)  No.006①米山家(岩美外邑)
(12)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2060.html
   №023⑧西尾家(赤子田)  №030⑩奥田家(猪子・県指定)
(13)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2061.html
   №029⑨松本家(江津)
(14)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2069.html
   №040⑯小椋家(木地山)
(15)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2070.html
   №029⑨松本家(江津)2回目
(16)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2071.html
(17)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2075.html
(18)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2076.html
(19)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2077.html
(20)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2078.html
(21)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2079.html
(22)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2080.html
(23)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2081.html
   №023⑧西尾家(赤子田)2回目
(24)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2082.html
   №086㉝福田家(日南上萩山)  №082㉜長谷家(日南萩山)  №088㉞石川家(日南笠木)
(25)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2083.html
   No.104㊲乃木家(日野黒坂)  №103㊱細木家(日野黒坂)  №097㊱内藤家(日野板井原)
(26)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2084.html
(27)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2085.html
(28)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2086.html
   №.051㉑小木家(東伯赤碕)  №052㉒門脇家(東伯赤碕)
(29)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2087.html
(30)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2088.html
   No.044⑱牧野家(関金町郡家)  No.041⑰鳥飼家(関金町大鳥居・県)
(31)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2089.html
   No.033⑫前家家(青谷奥崎)  №031⑪小谷家(鹿野町鹿野)
(32)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2102.html
   No.076㉚下原家(江府町俣野)  No.081㉛車家(江府町貝田)
(33)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2105.html
   No.106㊳生田家(伯耆町三部)  No.107㊴足羽家(伯耆町二部)
(34)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2106.html
   No.071㉗森田家(淀江町西尾)  No.070㉖田山家(淀江町淀江)
(35)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2096.html
   No.039⑮原田家(湯梨浜方面)  No.037⑫正木家(湯梨浜橋津)
(36)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2097.html
   新聞No.25中島家(岩美大谷)  新聞No.10福田家(鳥取市国安)
(37)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2098.html
   新聞No.22吉村家(鳥取市立川)  新聞No.11岩田家(鳥取市立川)
(38)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2116.html
   新聞No.20岡本家(国府町木原)  新聞No.18 山本家(国府町神護)
(39)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2117.html
   新聞No.16奥本家(用瀬町)  新聞No.17徳永家(用瀬町)
(40)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2122.html
   No.045⑲河本家(琴浦町箆津)  No.046⑳河本家(琴浦町箆津) 

コメントの投稿

非公開コメント

No title

大学に入るまですぐ近くに住んでいたものですが、このような記事を拝見できて感激しております。

そうですか

コメント、ありがとうございます。
勇気づけられます。
大学っていうのは本学ではなく、
県外の大学ですよね?
プロフィール

魯班13世

Author:魯班13世
--
魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カレンダー
04 | 2024/05 | 06
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR