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『鳥取県の民家』を訪ねて(24)

190808福田菊蔵家住宅02空撮01 190808福田菊蔵家住宅01


日南町の民家を訪ねて

 8月8日(木)。会長、教授、わたしの3人で日野郡日南町・日野町を訪問しました。もちろん『鳥取県の民家』(1974)掲載の民家を調査するためです。日野郡には鉄板被覆の茅葺き民家が数多く確認され、驚きました。

 №086㉝福田家:  福田家は日南町上萩山の山間部にあります。いまでも住居として機能していましたが、この日はご不在でした。報告書によると、上萩山は古くは「たたら」製鉄の盛んだった場所であり、福田家はもともとたたら師頭を務めた家柄と伝えられています。


190808福田菊蔵家住宅02空撮02 190808福田家報告書01配置図


 当初は間口8.5間×奥行4.5間の「四間取」であり、構造形式は寄棟造茅葺平屋建平入です。建築年代は関係資料から江戸中期の初めごろとされています。報告書の配置図では主屋の周りには納屋・物置ともう一軒の小屋が確認できます。ドローンの空撮写真をみると、改修はされているものの、現在もその配置を留めていることがわかります。当初は主屋だけでなく、主屋斜め前方に建つ物置も茅葺だったようです。しかし、主屋は大幅に改修されており、切妻造鉄板葺中二階建に変わっています。民家変容のパターンでいうとC類(未指定のまま平屋建茅葺きから中二階和風住宅への改修)にあたります。福田家周辺には鉄板被覆の茅葺農家が多く存在しており、対照的に映りました。


0808福田家01 190808福田家報告書01復元平面図
↑外観と復原平面図(1974)  ↓現状(2019)
190808福田菊蔵家住宅03 



190808長谷家01 
↑現状(2019) ↓報告書(1974)
№082㉜長谷家住宅1974外観


 №082㉜長谷家住宅: 上萩山から少し下流に移動し、萩山の長谷家へ(↑)。報告書当時(1974)の構造形式は寄棟造茅葺平屋建平入で広間型三間取の素朴な原型を残していました。建築年代は推定ですが、江戸中期の初期ごろとなっています。藩政時代から明治の廃藩置県まで「鉢屋」と呼ばれる罪人の警戒検挙を生業とする人の住まいであり、「鉢屋あづけ」と呼ばれる罪人を留置する役割も担っていたようです。
 現在は、入母屋造桟瓦葺高二階の新しい建物にかわっています。改修ではなく新築です。やはり住人が不在でしたが、近所の方からのヒアリングによると、現在の所有者はK家に変わっているものの、今は空き家であり、管理のため年に数回親戚が戻ってくるそうです。
 教授の見立てでは、腰壁のタイルなどからみて、昭和50年代の新築の可能性が高いとのことでした。未指定のまま撤去した後、新しい建物を新築しているためD類(未指定のまま撤去)に新しいサブ・パターンを設定する必要がでてきました。


190808長谷家02空撮01 180808長谷家報告書01復元図と配置図


 №088㉞石川家住宅: 続いて笠木の石川家へ。石川家と後に訪問する日野の3件は、会長が日野町教委から資料を提供いただいていたおかげでスムーズに建物を見つけることができました。本当にありがとうございます!
 笠木はもともとは畜産が盛んで、石川家にも家畜の飼育に関する資料が残されています。報告書刊行時は広間型五間取であり、当初は広間型三間取にできるようです。建築年代は江戸時代初期と推定されています。
 現在の所有者は調査時の世帯主の息子さんで、奥さんと息子夫婦、孫3人の7人で暮らされている。私たちが訪ねたときは、70代の奥様が丁寧にご対応くださり、お孫さん3人はドローンに興味津津の様子で、とても活力を感じました。


180808石川孫一郎家01外観01 
石川家主屋背面 ↑現状(2019)  ↓報告書(1974)
№088㉞石川家住宅1974


 現在の主屋の構造形式は入母屋造茅葺き鉄板被覆平屋建です。変容パターンはB-2類。奥様の言によると、建築年代は元禄にまでさかのぼるとのことで、報告書の推定年代と一致します。昭和42頃に結婚され、嫁入りしたころはもちろん茅葺きの屋根でした。昭和50~60年代に大改装がなされ、茅葺きを鉄板被覆するとともに、内部は大変わりしたのですが、ケヤキの大黒柱と玄関の板戸3枚は意図的に残したそうです。先にも述べたように、現在は息子夫婦と同居されていますが、夫婦は将来的に米子に移住する構想があり、そう遠くない招来には空き家になる可能性が高いそうです。


190808石川孫一郎家02空撮01 180808石川家報告書01配置図

190808石川孫一郎家03内部01 190808石川孫一郎家03内部02大黒柱 
↑玄関と大黒柱  ↓お孫さんたちはiPadに興じつつ、ドローンに興味深々
190808石川孫一郎家02空撮03 


ホームセンター多里

 昼食はホームセンター多里で蕎麦をいただきました。会長さんは蕎麦アレルギーなので、焼きそばにされましたが、団子汁を追加。日南町の蕎麦屋は県内でも有名であり、蕎麦通の教授はようやく手打ちの日南蕎麦を食べることができて嬉しそうでした。とても美味しかったです。(ザキオ) 【続】


180808ホームランド多里01蕎麦 180808ホームランド多里01


【連載情報】
(01)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2042.html
(02)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2044.html
   №016④三百田家(若桜吉川・県指定)  №012③矢部家(八頭用呂・国重文)
(03)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2046.html
(04)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2050.html
(05)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2051.html
(06)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2052.html
(07)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2053.html
(08)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2054.html
(09)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2055.html
   №027⑦福田家(紙子谷・国重文)  №025⑥西尾家(八頭万代寺)
(10)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2056.html
   №021⑤谷上家(佐治余戸)
(11)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2059.html
   No.011②木下家(布袋・県指定)  No.006①米山家(岩美外邑)
(12)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2060.html
   №023⑧西尾家(赤子田)  №030⑩奥田家(猪子・県指定)
(13)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2061.html
   №029⑨松本家(江津)
(14)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2069.html
   №040⑯小椋家(木地山)
(15)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2070.html
   №029⑨松本家(江津)2回目
(16)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2071.html
(17)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2075.html
(18)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2076.html
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(20)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2078.html
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(22)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2080.html
(23)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2081.html
   №023⑧西尾家(赤子田)2回目
(24)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2082.html
   №086㉝福田家(日南上萩山)  №082㉜長谷家(日南萩山)  №088㉞石川家(日南笠木)
(25)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2083.html
   No.104㊲乃木家(日野黒坂)  №103㊱細木家(日野黒坂)  №097㊱内藤家(日野板井原)
(26)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2084.html
(27)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2085.html
(28)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2086.html
   №.051㉑小木家(東伯赤碕)  №052㉒門脇家(東伯赤碕)
(29)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2087.html
(30)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2088.html
   No.044⑱牧野家(関金町郡家)  No.041⑰鳥飼家(関金町大鳥居・県)
(31)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2089.html
   No.033⑫前家家(青谷奥崎)  №031⑪小谷家(鹿野町鹿野)
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   No.076㉚下原家(江府町俣野)  No.081㉛車家(江府町貝田)
(33)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2105.html
   No.106㊳生田家(伯耆町三部)  No.107㊴足羽家(伯耆町二部)
(34)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2106.html
   No.071㉗森田家(淀江町西尾)  No.070㉖田山家(淀江町淀江)
(35)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2096.html
   No.039⑮原田家(湯梨浜方面)  No.037⑫正木家(湯梨浜橋津)
(36)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2097.html
   新聞No.25中島家(岩美大谷)  新聞No.10福田家(鳥取市国安)
(37)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2098.html
   新聞No.22吉村家(鳥取市立川)  新聞No.11岩田家(鳥取市立川)
(38)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2116.html
   新聞No.20岡本家(国府町木原)  新聞No.18 山本家(国府町神護)
(39)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2117.html
   新聞No.16奥本家(用瀬町)  新聞No.17徳永家(用瀬町)
(40)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2122.html
   No.045⑲河本家(琴浦町箆津)  No.046⑳河本家(琴浦町箆津) 

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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