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『鳥取県の民家』を訪ねて(30)

⑱№044牧野家 外観.jpg


旧東伯郡関金町へ

 前期末試験期間も終わって夏休みに入り、ようやく卒業研究の調査に本腰を入れることができるようになりました。『鳥取県の民家』(1974)掲載の第3次調査対象民家をできるだけ追跡していこうと思います。台風一過の8月16日(金)におこなった県中部調査については、一昨日に院生ザキオさんが東伯郡琴浦町赤碕の町家二例をレポートされました。今日は、わたしがまず倉吉市(旧東伯郡)関金町の二例を紹介します。

 No.044⑱牧野家住宅 関金町郡家の民家です。『鳥取県の民家』(1974)掲載の牧野家は寄棟造平屋建の茅葺きです。現在の牧野家は上の写真に示したとおり、御殿のような新しい木造建築ですが、近所の方からお聞きしたところによると、この立派な新居は30年前ほどに建てられたものだそうです。しかも、10日ばかり前にご主人がお亡くなりになられたそうで、現在は空き家になっています。また、旧主屋の跡地に新居を建てたのではなく、山側にぬける小路を歩いてすぐのところにある敷地に旧居を構えていました。跡地には旧主屋の基礎のほか蔵が残っています。さらに山側へ向かうと、牧野家の本家がありました。報告書記載の民家は分家の方で、江戸時代中期と推定され、広間型三間取りに復原されます。
 民家変容パターンの分類では、D-1類となります。


0816関金01牧野02外観01 0816関金01牧野01図面01sam
↑報告書(1974)  ↓現状(2019)跡地
⑱№044牧野家 跡地2.jpg 

⑱№044牧野家 跡地.jpg

⑱№044牧野家 空撮.jpg



⑰№041鳥飼家 外観.jpg


 No.041⑰鳥飼家  もとは関金町大鳥居にあった庄屋民家の主屋でしたが、鳥取県の保護文化財に指定された後、平成3年(1991)、関金町関金宿に移築され、倉吉市に管理を移管しています。建物を倉吉市教委の専門家に案内していただきました。構造形式は入母屋造茅葺き平屋建平入、江戸時代前期にまで遡る可能性があり、広間型三間取に復原されます。
 サシガヤは、草刈のある夏場は月に一度ほど、夏以外は三ヶ月に一度ほどおこないます。最近は茅がぱらぱら落ちてきているので、メンテの頻度を上げなければならないと、とおっしゃっていました。


⑰№041鳥飼家 空撮.jpg ⑰№041鳥飼家 空撮2.jpg


 昨年までは秋に一度一般公開をおこない、最大200人ほどの来場者があったそうですが、今年から秋の一般公開は行わないとのことです。秋の公開だけでなく、土日・祝日の見学も受け付けなくなったのは「働き方改革の影響」だから、残念です。現在は小学生の社会の授業などの見学受付、予約したお客様(年間400人ほど)の対応のみに限られます。


⑰№041鳥飼家 構造2.jpg 0816関金02鳥飼01図面sam

 
 関金の鳥飼家は、若桜屋堂羅に移築された№016④三百田家住宅(県指定保護文化財)と同じA-2類(移築保存)に分類されます。あまり比較するのはよくないかもしれませんが、三百田家のほうがはるかにうまく機能しています。平日はほぼ常時公開されており、とても清潔に管理され、だれでも民家に上がることができます。一方、鳥飼家は土埃や蜘蛛の巣が目につき、だれでも上がっていけるような雰囲気はありませんでした。史跡などで活発になっている案内ボランティアを育成し、三百田家住宅のような状態に近づけていただきたいと思いました。あるいは思い切って、打吹玉川重伝建地区の空き地に再移築することで十分な公開・活用に供することができるかもしれません。


⑰№041鳥飼家跡地 空撮2.jpg
↑主屋跡地(2019) ↓報告書(1974)
0816関金02鳥飼01外観01


鳥飼家の跡地

 その後、No.041⑰鳥飼家主屋の跡地に向かいました。今回お話を伺ったのは報告書段階の世帯主の息子さんです。鳥飼家住宅は『鳥取県の民家』が刊行された昭和49年に鳥取県の保護文化財に指定されました。しかし、ご主人は転勤族であり、維持管理が難しく、県指定の解除を要望し続けたそうですが、県から承諾を得ることはできませんでした。そんななか(旧東伯郡)関金町から移築案が呈示され、管理をすべて町(平成5年の市町村合併後は倉吉市)に任せることを条件として、主屋を倉吉市に寄付されたのです。
 主屋の跡地は庭のようにひろがっており、敷地の端の方に40年ばかり前に新居を建設されました。本当は屋敷地の近くに主屋を移築したかったそうなのですが、願いはかなわず、移築先は関金宿になりました。残念に思った先代は跡地に鳥飼家の看板をたてることにしました。親戚が来たさい、移築先の鳥飼家を案内したかったけれども、休日は移築現場が非公開のため、苦肉の策として看板を建てたとのことです。ご主人は、旧主屋をもっと自由に使えたら嬉しい、という感想を述べておられました。(八木部長)


⑰№041鳥飼家跡地 主屋跡地.jpg ⑰№041鳥飼家 看板.jpg


【連載情報】
(01)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2042.html
(02)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2044.html
   №016④三百田家(若桜吉川・県指定)  №012③矢部家(八頭用呂・国重文)
(03)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2046.html
(04)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2050.html
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(09)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2055.html
   №027⑦福田家(紙子谷・国重文)  №025⑥西尾家(八頭万代寺)
(10)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2056.html
   №021⑤谷上家(佐治余戸)
(11)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2059.html
   No.011②木下家(布袋・県指定)  No.006①米山家(岩美外邑)
(12)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2060.html
   №023⑧西尾家(赤子田)  №030⑩奥田家(猪子・県指定)
(13)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2061.html
   №029⑨松本家(江津)
(14)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2069.html
   №040⑯小椋家(木地山)
(15)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2070.html
   №029⑨松本家(江津)2回目
(16)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2071.html
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   №023⑧西尾家(赤子田)2回目
(24)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2082.html
   №086㉝福田家(日南上萩山)  №082㉜長谷家(日南萩山)  №088㉞石川家(日南笠木)
(25)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2083.html
   No.104㊲乃木家(日野黒坂)  №103㊱細木家(日野黒坂)  №097㊱内藤家(日野板井原)
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   №.051㉑小木家(東伯赤碕)  №052㉒門脇家(東伯赤碕)
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   No.044⑱牧野家(関金町郡家)  No.041⑰鳥飼家(関金町大鳥居・県)
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   No.106㊳生田家(伯耆町三部)  No.107㊴足羽家(伯耆町二部)
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   新聞No.16奥本家(用瀬町)  新聞No.17徳永家(用瀬町)
(40)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2122.html
   No.045⑲河本家(琴浦町箆津)  No.046⑳河本家(琴浦町箆津) 

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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