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『鳥取県の民家』(39)

0916 新聞№16 奥本家右側から


失われゆく古民家(4)-用瀬編

 新聞No.16奥本博家  国府町から用瀬町へ向かいました。二件調査をしたのですが、両家とも家の方とお会いできませんでした。代わって近くの正覚寺に向かい、住職さんがヒアリングに応じてくださいました。用瀬のまちなかに位置する奥本家は新聞掲載時と変わらないたたずまいをみせています。外観の保存状態があまりにもよく、45年前から時間が止まったようです。今でも奥本さんが住んでおられるようなので、今度またアポを取りお会いできたらと思います。


0916 新聞№16 奥本家 当時写真
↑新聞(1974)↓現在(2019)
0916 新聞№16 奥本家 現状民家


 用瀬は上方往来(参勤交代路)の宿場町として繁盛した町で、旧道全体の町並みに往時の面影を残していたと新聞には記載されており、現在でも、そう大きな変化はないように思います。農村の民家では土間と部屋の境に板戸を建てますが、商家では土間を広くして、境の板戸を建てない場合もあったようです。この家も例外ではなく、大戸口の開口を広く、また土間庭も広くとっていました。奥座敷は書院造の標準型であり、座して眺める庭園と一体化しています。明治時代の建築で、十畳の間に似つかわしい空間をとるため二階を犠牲にし、天井を高くとったと新聞に記されています。民家変容パターンはE-3と考えられます。



0916 新聞№17 徳永家 現状民家


 新聞No.17徳永稔子家  奥本家から歩いて5分もないところに徳永家は屋敷を構えています。正覚寺の住職さんにお話をうかがったところ、徳永さんは市内に引っ越されたそうです。たまに用瀬に帰ってきてはいるそうですが、基本は空き家となっていいます。徳永姓の家は用瀬に複数あるようですが、この家は特に「大徳永」と呼ばれて尊敬を集めています。
 この家は藩政期、智頭郡の大庄屋の役宅であったと新聞に記されています。奥本家同様、格子の目立つ典型的な大型町家です。二階建ではあるものの、二階は狭いため居住スペースとしての利用は困難だったとされています。本建ちとは別に大きな庇が組まれており、旧態がのこされています。若桜民家の特徴とされる「かりや」はこの庇部分を通り路とし、用瀬ではこれを部屋にしたようです。新聞には木島氏が述べる中で「年代を経て、たん念な手入れの行き届いた柱」という表現がありました。建築当初から新聞掲載時、そして現在にいたるまで丁寧に扱われていた民家であることがうかがえ、往時とほぼ変わらぬ姿を残していました。民家変容パターンはE-4です。用瀬の二件がなぜここまで保存状態が良いのか、また調査していこうと思います。
 夏休みの調査はこれで終了しました。後期からは夏休みの調査データを整理し、残りの民家を再訪していく予定です。様々な民家を通して家族や村の歴史をうかがい、データの数の分だけ新しい価値観に出会えました。調査にご協力いただいた方々に御礼申し上げます。(八木部長)


0916 新聞№17 徳永家 当時写真 
↑新聞(1974)↓現状(2019)
0916 新聞№17 徳永家 現状民家 正面

【連載情報】
(01)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2042.html
(02)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2044.html
   №016④三百田家(若桜吉川・県指定)  №012③矢部家(八頭用呂・国重文)
(03)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2046.html
(04)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2050.html
(05)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2051.html
(06)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2052.html
(07)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2053.html
(08)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2054.html
(09)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2055.html
   №027⑦福田家(紙子谷・国重文)  №025⑥西尾家(八頭万代寺)
(10)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2056.html
   №021⑤谷上家(佐治余戸)
(11)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2059.html
   No.011②木下家(布袋・県指定)  No.006①米山家(岩美外邑)
(12)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2060.html
   №023⑧西尾家(赤子田)  №030⑩奥田家(猪子・県指定)
(13)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2061.html
   №029⑨松本家(江津)
(14)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2069.html
   №040⑯小椋家(木地山)
(15)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2070.html
   №029⑨松本家(江津)2回目
(16)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2071.html
(17)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2075.html
(18)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2076.html
(19)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2077.html
(20)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2078.html
(21)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2079.html
(22)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2080.html
(23)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2081.html
   №023⑧西尾家(赤子田)2回目
(24)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2082.html
   №086㉝福田家(日南上萩山)  №082㉜長谷家(日南萩山)  №088㉞石川家(日南笠木)
(25)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2083.html
   No.104㊲乃木家(日野黒坂)  №103㊱細木家(日野黒坂)  №097㊱内藤家(日野板井原)
(26)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2084.html
(27)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2085.html
(28)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2086.html
   №.051㉑小木家(東伯赤碕)  №052㉒門脇家(東伯赤碕)
(29)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2087.html
(30)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2088.html
   No.044⑱牧野家(関金町郡家)  No.041⑰鳥飼家(関金町大鳥居・県)
(31)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2089.html
   No.033⑫前家家(青谷奥崎)  №031⑪小谷家(鹿野町鹿野)
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   No.076㉚下原家(江府町俣野)  No.081㉛車家(江府町貝田)
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   No.106㊳生田家(伯耆町三部)  No.107㊴足羽家(伯耆町二部)
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   No.071㉗森田家(淀江町西尾)  No.070㉖田山家(淀江町淀江)
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   No.039⑮原田家(湯梨浜方面)  No.037⑫正木家(湯梨浜橋津)
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   新聞No.25中島家(岩美大谷)  新聞No.10福田家(鳥取市国安)
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   新聞No.22吉村家(鳥取市立川)  新聞No.11岩田家(鳥取市立川)
(38)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2116.html
   新聞No.20岡本家(国府町木原)  新聞No.18 山本家(国府町神護)
(39)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2117.html
   新聞No.16奥本家(用瀬町)  新聞No.17徳永家(用瀬町)
(40)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2122.html
   No.045⑲河本家(琴浦町箆津)  No.046⑳河本家(琴浦町箆津) 
(41)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2127.html
   №074㉙門脇家(大山町所子)
(42)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2128.html
   №072㉘山本家(大山町長田) №062㉕吉持家(南部町田住)
(43)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2129.html
   №038⑭尾崎家(湯梨浜町宇野)
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   №060㉔高田家(米子市福万) №058㉓後藤家(米子市内町)
(45)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2138.html
   旧森家住宅-浜坂先人記念館 以命亭(新温泉町浜坂)
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   新温泉町民家調査(新温泉町浜坂)
(47)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2144.html
   新聞No.15小島家(八頭町石田百井) 新聞No.22今嶋家(八頭町西御門)
(48)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2145.html
   新聞No.21保木本家(八頭町小別府) 新聞No.07大村家(八頭町富枝)
(49)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2147.html
   新聞No.06山陰合同銀行若桜支店(若桜町若桜) 新聞No.12中尾家(若桜町中町)

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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