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『鳥取県の民家』を訪ねて(40)

1015河本1005こうえん01 1015河本1001大勢


古民家「終活」の時代

 10月2日(水)に予報したとおり、10月23日(水)に重文「河本家住宅」秋の公開にともなう講演会をおこなった。以下のように、発表の内容と分担には若干の変更があった。

 1.序-昭和49年刊『鳥取県の民家』を訪ねて
  1-1 報告書『鳥取県の民家』について(井上)
  1-2 新聞連載「失われゆく民家」(藤井)  
  1-3 COC麒麟マイスター研究採択(野口)
  1-4 昭和40年代後半の日本と鳥取(蔵田)             2.河本家と倉長家の幕末家相図を読み解く
  2-1 河本家住宅の幕末家相図とその復原(浅川)
  2-2 倉長家住宅の幕末家相図とその復原(岡崎)
 3.『鳥取県の民家』その後-中間報告
  3-1 在方農家の変容パターン(沼野)
  3-2 町方町家・武家の変容パターン(岡崎)
 4.民家から見通す鳥取県の変動
  4-1 過疎と指定解除(佐藤)
  4-2 指定文化財民家と公開・活用(浅川)
  4-3 民家終活の時代-反「空き家活用」論(浅川)


河本講演様子DSCN9371 1015河本1001


 平日の午後に開催した講演会であり、当然のことながら、人は集まりにくい。それでも保存会のメンバーや、江津の松本さん兄妹、さらに研究室OBの社長さんとタクヲさんなどが駆けつけてくださって、総勢約30名の会になった。こじんまりとはしているが、続き間のハナレにふさわしい人数であったと思う。そして、思いのほか反響は大きかった。以下に保存会のメンバーから会長さんのところに届いたメールを転載する。

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Subject: 講演会の反響
 (略)昨日の講演を聞かれた保存会の方から、次のような電話がありましたのでお伝えいたします。 「学生さんの発表態度、講演の内容は非常に良かった。話の内容がよく分かり、民家が置かれている現状と問題点が把握できたと思う。奥さんも講演の内容に強い関心を示され、民家の終活についてのシンポジウム的なことが出来ないだろうかと言っておられました。」  反響がかなりあったと思われます。
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1015河本1005コメント01 客席からのコメント


 このメールにみるように、「民家の終活」に最も注目が集まったようで、現場でコメントされた№029⑨松本家(鳥取市江津)の方も「うちは重文ではないけれど茅葺き民家に住む身として、民家の終活についてのお話がとくに興味深かった」とコメントされた。講演後、「今度はお宅でやりましょう」と先生が提案されると、「はい、やりましょう」とのことであり、もしその種の会が東部で実現するなら、空き家対策の専門家などとのセッションにするのがよいのではないか、と先生は構想されているようです。
 学生は院生の先輩をのぞくと、初めての対外的な発表会であり、みな大変緊張したが、それぞれ力を尽くすことができたと思う。「緊張したけど見ている人が反応をくれたり、資料にメモをしているのを見て嬉しくなった」、「調査に行った民家の方が来てくださって嬉しかった。半年間学んでいたが聞きに来てくれた人の方が詳しかったりして気づかされることも多かった」、「練習通りにできた。聴講者が興味を持ってくださって嬉しかった」などの感想があがった。


1015河本1010公開展示01 1015河本1010公開展示02
客間の公開展示



1015河本1005ヒアリング01 ヒアリングメンバー


№045⑲と№046⑳の調査

 いまは重要文化財の河本雅道家も『鳥取県の民家』掲載の第3次調査対象(№045⑲)であり、道路を挟んで対面に建つ分家筋の№046⑳河本敏蔵家も連続して報告書に掲載されている。№045⑲河本家については、あらためて紹介する必要のない研究室のメインフィールドであり、公開・活用という面でも県下随一の民家と認めてよいであろう。現在、17世紀末の棟札を残す主屋の茅葺き屋根を葺き替え中である。


河本家外観2CIMG3048
↑2019  ↓1974
45の19過去河本雅道家 鳥取県の民家 _1974_59 (2)


 №046⑳河本家の奥様も保存会のメンバーであり、重文「河本家」でヒアリングに応じてくださった。道路を挟んた
瓦葺きの広大な屋敷はすでに撤去され、駐車場と空き地になっており、敷地の奥にプレハブ式の新しい住まいを構えておられる。「更地にするのも大変だったが、古い建物を持ち続ける気にもなれなかった」という発言は、現在の古民家の在り方や民家の終活について考える際の重要な情報だと思われた。


河本家駐車場にCIMG3039
↑2019  ↓1974
46の20過去河本敏蔵家 鳥取県の民家 _1974_59 (1)


塩谷定好写真記念館

 二つの民家の調査後に、同じ琴浦町の赤崎にある塩谷定好写真記念館を全員で視察した。ここは平成27年(2015)に国登録有形文化財になり、その前後に経産省の補助金で修復・改修がなされ、やはり保存会によって運営されている。先生が2度ギターを演奏された場所でもある。


塩谷記念館外観CIMG1434


 塩谷定好は赤崎生まれの突出した写真家で、「ベス単のフードはずし」といわれる軟調描写が作品の特徴であり、ギャラリーの写真を拝見すると、まるで絵のように柔らかく優しい印象を受ける。定好の生家は赤崎で代々回船問屋を生業としており、その本宅兼事務所として明治39年に建てられた。木造2階建の町家と土蔵では、作品だけでなく、回船問屋時代から受け継がれた品々もみることができた。晩年は二階の窓から海を見て過ごすことが多かったそうだ。実際にその位置に立ってみると、家々の重なりの向こうに日本海が望め、穏やかな気持ちになれた(↓右)。ちなみに、来たる11月19日(火)~12月15日(日)に県立博物館で塩谷定好の写真展が開催されるという。


1015河本1003塩谷01 塩谷記念館海の見える窓辺CIMG1421


サテンドールのムニエル
 
 その後、約1時間かけて関金まで移動し、フランス料理店「サテンドール」で打ち上げとなった。メニューはニジマスのムニエル。みな珍しさと美味しさに感動した。会食にはOBのタクヲさんと社長さんも参加され、いろいろなお話をうかがうことができた。とても楽しく貴重な時間を過ごすことができた。活躍する先輩を間近に見て、自分たちも頑張らなくてはという気持ちになった。
 デザートにはビールを使ったシャーベットをいただいた。アルコールは飛ばしているそうだが、しっかりと「お酒」を感じ、人性酒を嗜む(後漢書倭伝)私にとっては嬉しいサプライズとあった。(いちご)


講演のち会食風景DSCN9560


【連載情報】
(01)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2042.html
(02)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2044.html
   №016④三百田家(若桜吉川・県指定)  №012③矢部家(八頭用呂・国重文)
(03)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2046.html
(04)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2050.html
(05)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2051.html
(06)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2052.html
(07)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2053.html
(08)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2054.html
(09)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2055.html
   №027⑦福田家(紙子谷・国重文)  №025⑥西尾家(八頭万代寺)
(10)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2056.html
   №021⑤谷上家(佐治余戸)
(11)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2059.html
   No.011②木下家(布袋・県指定)  No.006①米山家(岩美外邑)
(12)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2060.html
   №023⑧西尾家(赤子田)  №030⑩奥田家(猪子・県指定)
(13)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2061.html
   №029⑨松本家(江津)
(14)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2069.html
   №040⑯小椋家(木地山)
(15)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2070.html
   №029⑨松本家(江津)2回目
(16)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2071.html
(17)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2075.html
(18)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2076.html
(19)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2077.html
(20)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2078.html
(21)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2079.html
(22)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2080.html
(23)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2081.html
   №023⑧西尾家(赤子田)2回目
(24)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2082.html
   №086㉝福田家(日南上萩山)  №082㉜長谷家(日南萩山)  №088㉞石川家(日南笠木)
(25)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2083.html
   No.104㊲乃木家(日野黒坂)  №103㊱細木家(日野黒坂)  №097㊱内藤家(日野板井原)
(26)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2084.html
(27)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2085.html
(28)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2086.html
   №.051㉑小木家(東伯赤碕)  №052㉒門脇家(東伯赤碕)
(29)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2087.html
(30)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2088.html
   No.044⑱牧野家(関金町郡家)  No.041⑰鳥飼家(関金町大鳥居・県)
(31)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2089.html
   No.033⑫前家家(青谷奥崎)  №031⑪小谷家(鹿野町鹿野)
(32)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2102.html
   No.076㉚下原家(江府町俣野)  No.081㉛車家(江府町貝田)
(33)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2105.html
   No.106㊳生田家(伯耆町三部)  No.107㊴足羽家(伯耆町二部)
(34)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2106.html
   No.071㉗森田家(淀江町西尾)  No.070㉖田山家(淀江町淀江)
(35)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2096.html
   No.039⑮原田家(湯梨浜方面)  No.037⑫正木家(湯梨浜橋津)
(36)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2097.html
   新聞No.25中島家(岩美大谷)  新聞No.10福田家(鳥取市国安)
(37)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2098.html
   新聞No.22吉村家(鳥取市立川)  新聞No.11岩田家(鳥取市立川)
(38)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2116.html
   新聞No.20岡本家(国府町木原)  新聞No.18 山本家(国府町神護)
(39)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2117.html
   新聞No.16奥本家(用瀬町)  新聞No.17徳永家(用瀬町)
(40)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2122.html
   No.045⑲河本家(琴浦町箆津)  No.046⑳河本家(琴浦町箆津) 
(41)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2127.html
   №074㉙門脇家(大山町所子)
(42)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2128.html
   №072㉘山本家(大山町長田) №062㉕吉持家(南部町田住)
(43)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2129.html
   №038⑭尾崎家(湯梨浜町宇野)
(44)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2130.html
   №060㉔高田家(米子市福万) №058㉓後藤家(米子市内町)
(45)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2138.html
   旧森家住宅-浜坂先人記念館 以命亭(新温泉町浜坂)
(46)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2133.html
   新温泉町民家調査(新温泉町浜坂)
(47)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2144.html
   新聞No.15小島家(八頭町石田百井) 新聞No.22今嶋家(八頭町西御門)
(48)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2145.html
   新聞No.21保木本家(八頭町小別府) 新聞No.07大村家(八頭町富枝)
(49)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2147.html
   新聞No.06山陰合同銀行若桜支店(若桜町若桜) 新聞No.12中尾家(若桜町中町)

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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