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『鳥取県の民家』を訪ねて(41)

1101 ㉙№074 門脇家正面


門脇家住宅 秋の一般公開

 国の重要文化財に指定されている大山町門脇家住宅が4日間の一般公開を行うという情報を聞き、11月1日、大山町へ向かいました。まず所子にある㉙No.074 門脇家住宅から。ちょうど昼時で一般のお客様が居られないタイミングであったため、ご主人にお時間を頂戴し、門脇家住宅を案内していただきました。


1101 ㉙№074 門脇家 報告書写真 1101 ㉙№074 門脇家 復元図
↑報告書写真と復原図


 主屋の建築年代は江戸時代中期と推定され、茅葺寄棟造で整型九間取に復原されます。『鳥取県の民家が刊行された』昭和49年(1974)、門脇家住宅は国の重要文化財に指定され、所子の集落は平成25年(2013)、大山町所子重要伝統的建造物群保存地区に選定されます。重伝建の範囲には県指定・登録文化財の門脇家分家などが含まれます。門脇家の歴史については、初代当主と2代目が財力を付け、3代目から6代目まで大庄屋を務めたそうです。地主をしつつ役人もしており、今でも家の至るところに火消し道具の鳶口や泥棒を捉える袖絡などが置かれております。しかし、農地改革により10代目で農地を没収され、門脇家は経済的な基盤を失うこととなります。そこから大庄屋としてではなく、門脇家独自の道を歩んでいきました。


1101 ㉙№074 門脇家 案内の様子 1101 ㉙№074 門脇家 鳶口等役人道具
↑案内の様子 鳶口等当時の道具


 11代目は各地に出向いて古い民家を数多くまわり、利活用の方法を参考にすべく視察を続けてきたそうです。愛知県明治村など移築保存の例も見に行ったそうなのですが、あまり賛成ではなかった様子。「家は人が住んでこそのもの、住める限り住みたい」と述べておられたそうです。12代目の現当主も同じ意見でした。現在の生活スタイルは庭にある建物と主屋の2つの家を行き来し、奥様と二人暮らしで生活スペースとしながら保全しているようです。重要文化財に指定され国、県、町の補助を受けてはいるものの、補助はあくまで補助であり、自己負担の額は小さくないようです。茅葺屋根は最近だと2015年に葺き替えたようで、ご主人が茅葺文化協会に所属しておられ、この手伝いがないと葺き替えの職人さんや葺き材などは見つけることができなかった、とのことです。庭は年に一度植木屋さんに剪定してもらう、とおっしゃっていました。茶室もきれいにされており、今回は入れませんでしたが、庭園と調和してあり一体感がありました。


1101 ㉙№074 門脇家中庭3 1101 ㉙№074 門脇家茶室


 前半はご主人に案内していただきましたが、後半は奥様に案内してもらい、奥様の博識ぶりに驚くばかりでした。奥様は「嫁に来たからには民家について勉強しない」という考えを持っておられ、専門家ばかりの県のヘリテージ講座を受けに行くなど民家の保全に対して積極的に学んでおられます。一般公開に伴い、土間のテレビでは「門脇家住宅2015年茅葺屋根葺き替え工事
」のドキュメンタリービデオが流れていたのですが、それもすべて奥様が編集作業をされたとのことです。20分ほどのビデオでしたが、私はてっきり業者委託の作品だと見間違うほど完成度の高いものでした。
 今年3月に退職されたご主人は「先代と同じよう、これからを考えていかなければならない」とおっしゃっておりました。門脇家保存協会の会員数は現段階で60数人、近所の人から親族の方々、米子あたりから来られる方もいるそうです。今の時点で大切にしていることは、色々な人に門脇家を見てもらい、門脇家住宅を知ってもらうこと、とおっしゃっておりました。
 門脇家調査後には所子重伝建の町並みをフォトスキャン用に撮影しました。会長さんが事前にアポとドローンの許可を取ってくださり、非常にスムーズに調査を進めることができました、ありがとうございます。
 民家変容パターンはA類:指定による民家の保全のA-1 現地保存に分類されます。


1101 ㉙№074 門脇家と重伝建の町並み ←所子重伝建の町並み


【連載情報】
(01)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2042.html
(02)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2044.html
   №016④三百田家(若桜吉川・県指定)  №012③矢部家(八頭用呂・国重文)
(03)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2046.html
(04)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2050.html
(05)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2051.html
(06)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2052.html
(07)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2053.html
(08)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2054.html
(09)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2055.html
   №027⑦福田家(紙子谷・国重文)  №025⑥西尾家(八頭万代寺)
(10)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2056.html
   №021⑤谷上家(佐治余戸)
(11)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2059.html
   No.011②木下家(布袋・県指定)  No.006①米山家(岩美外邑)
(12)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2060.html
   №023⑧西尾家(赤子田)  №030⑩奥田家(猪子・県指定)
(13)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2061.html
   №029⑨松本家(江津)
(14)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2069.html
   №040⑯小椋家(木地山)
(15)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2070.html
   №029⑨松本家(江津)2回目
(16)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2071.html
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(23)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2081.html
   №023⑧西尾家(赤子田)2回目
(24)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2082.html
   №086㉝福田家(日南上萩山)  №082㉜長谷家(日南萩山)  №088㉞石川家(日南笠木)
(25)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2083.html
   No.104㊲乃木家(日野黒坂)  №103㊱細木家(日野黒坂)  №097㊱内藤家(日野板井原)
(26)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2084.html
(27)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2085.html
(28)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2086.html
   №.051㉑小木家(東伯赤碕)  №052㉒門脇家(東伯赤碕)
(29)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2087.html
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   No.044⑱牧野家(関金町郡家)  No.041⑰鳥飼家(関金町大鳥居・県)
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   No.033⑫前家家(青谷奥崎)  №031⑪小谷家(鹿野町鹿野)
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   No.076㉚下原家(江府町俣野)  No.081㉛車家(江府町貝田)
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   No.106㊳生田家(伯耆町三部)  No.107㊴足羽家(伯耆町二部)
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   No.071㉗森田家(淀江町西尾)  No.070㉖田山家(淀江町淀江)
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   No.039⑮原田家(湯梨浜方面)  No.037⑫正木家(湯梨浜橋津)
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   新聞No.20岡本家(国府町木原)  新聞No.18 山本家(国府町神護)
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   新聞No.16奥本家(用瀬町)  新聞No.17徳永家(用瀬町)
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   No.045⑲河本家(琴浦町箆津)  No.046⑳河本家(琴浦町箆津) 
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   №074㉙門脇家(大山町所子)
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   №072㉘山本家(大山町長田) №062㉕吉持家(南部町田住)
(43)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2129.html
   №038⑭尾崎家(湯梨浜町宇野)
(44)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2130.html
   №060㉔高田家(米子市福万) №058㉓後藤家(米子市内町)
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   旧森家住宅-浜坂先人記念館 以命亭(新温泉町浜坂)
(46)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2133.html
   新温泉町民家調査(新温泉町浜坂)
(47)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2144.html
   新聞No.15小島家(八頭町石田百井) 新聞No.22今嶋家(八頭町西御門)
(48)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2145.html
   新聞No.21保木本家(八頭町小別府) 新聞No.07大村家(八頭町富枝)
(49)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2147.html
   新聞No.06山陰合同銀行若桜支店(若桜町若桜) 新聞No.12中尾家(若桜町中町)

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Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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