魏志倭人伝の新しい解釈-田中章介先生講演会(予報1)


税制から読み解く邪馬台国の国家観
来たる12月14日(土)、田中章介先生(1935-)の講演会を開催します。先生は2001年度鳥取環境大学開学時から4年間、環境政策学科の重鎮として大学の運営に指導的役割を果たし、その後も客員教授として大学院生の指導にあたられました。このたびは先生がご専門とされる税制論の立場から、邪馬台国の時代の国家観を語っていただきます。みなさまのご来場をお待ち申し上げます。
魏志倭人伝の新しい解釈
-田中章介先生講演会-
日時: 2019年12月14日(土)13:00~
会場: 公立鳥取環境大学 100講義室(定員200名 先着順)
主催: 公立鳥取環境大学
後援: 鳥取県・中国税理士会鳥取県支部連合会・新日本海新聞社
次第: 13:00 開会挨拶(小林朋道)・趣旨説明(浅川滋男)
13:15 田中章介先生講演(1)
魏志倭人伝「収租賦有邸閣」の解釈
14:00 コメント: 茶谷 満(鳥取県立博物館・中国考古学)
中国考古学からみた邸閣のイメージ
14:30 休憩
14:50 田中章介先生講演(2)
魏志倭人伝に係る、もう一つの解釈-邪馬台国位置論に関連して-
15:40 コメント: 中原 斉(鳥取県文化財局長・考古学)
倭人伝にみえる投馬(つま)国と山陰の関係遺跡
16:10 質疑応答
16:30 閉会
司 会:浅川滋男(建築史)
副司会:眞田廣幸(考古学)・政田孝(税制論)
事務局・お問い合わせ先: 公立鳥取環境大学保存修復スタジオ
*できるだけメールでお問い合わせください。連絡先はチラシを参照。
田中章介先生と魏志倭人伝
田中章介博士(1935-)は大阪大学大学院法学研究科博士課程修了、弘前大学、和歌山大学、鳥取環境大学、大阪学院大学で教授を歴任された税制論の大家である(2004年黄綬褒章受賞)。主著に『判例と租税法律主義』(中央経済社1994・日本公認会計士協会学術賞)、『商法貸借対照表論』(清文社2003)、『実習簿記・会計』(清文社・2006)などがある。本学では2001年度開学から4年間環境政策学科の教授を務められ(その後7年間客員教授として大学院生を指導)、開学当初の運営に指導的役割を果たされた。田中先生は税制の専門家であって歴史の専門家ではないが、わが国税制の起源を求めて古代史の関係文献を渉猟し、税制に係わる最古の記載が魏志倭人伝(正確には『三国志』魏書・東夷伝倭人条)に含まれることに注目され、2012年に連続して以下の論考を発表された。
「魏志倭人伝『収租賦有邸閣』の解釈」『税』67巻3号:pp.156-180、2012a
「邪馬台国における『租』税と『賦』税」『阪大法学』62巻3号:pp.976-1004、2012b
従来、「租賦を収むに邸閣あり(物品税を納める大倉庫がある)」と読み下されることの多かった「収租賦有邸閣」六文字は「収租賦。有邸閣。」の三文字二句に分けて読むべきであり、とりわけ「租賦」の二語については、租が物品税、賦は労役・兵役などの人頭税として区別すべきであるという解釈を示されたのである。倭国連合の盟主たる邪馬台国が諸国からの徴用をおこなっていた可能性を示唆する斬新な論考と評価できる。こうした税制の問題を契機にして、田中先生の興味は魏志倭人伝そのものに傾斜していき、2019年3月、
「『魏志』倭人伝に係る、もう一つの解釈-邪馬台国位置論に関連して-」
『大阪学院大学 人文自然論叢』第77-78号:pp.1-23、2019
という新しい論考を発表された。ここでも田中先生の発想は異彩を放っている。魏志倭人伝に先行し、その記述に影響を与えた『広志』『魏略』『太平御覧』等の漢籍を精査し、三世紀前半~中葉の日本は、3つの地域的王権の鼎立状態にあったことを推定されている。邪馬台国に係わる書籍は1000冊に及ぶといい、今なお百花繚乱の状態なきにしもあらずだが、税制学からみた3世紀の日本の国家観に耳を傾けたい。
《連載情報》魏志倭人伝を読む
(1)漫画と文献で読む魏志倭人伝
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2113.html
(2)後漢書倭伝(一)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2119.html
(3)魏志倭人伝(一)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2125.html
(4)後漢書倭伝(二)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2131.html
(5)魏志倭人伝(二)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2134.html
(6)魏志倭人伝(三)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2153.html
魏志倭人伝の新しい解釈-田中章介先生講演会
(予報1)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2132.html
(予報2)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2140.html
田中章介博士(1935-)は大阪大学大学院法学研究科博士課程修了、弘前大学、和歌山大学、鳥取環境大学、大阪学院大学で教授を歴任された税制論の大家である(2004年黄綬褒章受賞)。主著に『判例と租税法律主義』(中央経済社1994・日本公認会計士協会学術賞)、『商法貸借対照表論』(清文社2003)、『実習簿記・会計』(清文社・2006)などがある。本学では2001年度開学から4年間環境政策学科の教授を務められ(その後7年間客員教授として大学院生を指導)、開学当初の運営に指導的役割を果たされた。田中先生は税制の専門家であって歴史の専門家ではないが、わが国税制の起源を求めて古代史の関係文献を渉猟し、税制に係わる最古の記載が魏志倭人伝(正確には『三国志』魏書・東夷伝倭人条)に含まれることに注目され、2012年に連続して以下の論考を発表された。
「魏志倭人伝『収租賦有邸閣』の解釈」『税』67巻3号:pp.156-180、2012a
「邪馬台国における『租』税と『賦』税」『阪大法学』62巻3号:pp.976-1004、2012b
従来、「租賦を収むに邸閣あり(物品税を納める大倉庫がある)」と読み下されることの多かった「収租賦有邸閣」六文字は「収租賦。有邸閣。」の三文字二句に分けて読むべきであり、とりわけ「租賦」の二語については、租が物品税、賦は労役・兵役などの人頭税として区別すべきであるという解釈を示されたのである。倭国連合の盟主たる邪馬台国が諸国からの徴用をおこなっていた可能性を示唆する斬新な論考と評価できる。こうした税制の問題を契機にして、田中先生の興味は魏志倭人伝そのものに傾斜していき、2019年3月、
「『魏志』倭人伝に係る、もう一つの解釈-邪馬台国位置論に関連して-」
『大阪学院大学 人文自然論叢』第77-78号:pp.1-23、2019
という新しい論考を発表された。ここでも田中先生の発想は異彩を放っている。魏志倭人伝に先行し、その記述に影響を与えた『広志』『魏略』『太平御覧』等の漢籍を精査し、三世紀前半~中葉の日本は、3つの地域的王権の鼎立状態にあったことを推定されている。邪馬台国に係わる書籍は1000冊に及ぶといい、今なお百花繚乱の状態なきにしもあらずだが、税制学からみた3世紀の日本の国家観に耳を傾けたい。
《連載情報》魏志倭人伝を読む
(1)漫画と文献で読む魏志倭人伝
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2113.html
(2)後漢書倭伝(一)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2119.html
(3)魏志倭人伝(一)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2125.html
(4)後漢書倭伝(二)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2131.html
(5)魏志倭人伝(二)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2134.html
(6)魏志倭人伝(三)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2153.html
魏志倭人伝の新しい解釈-田中章介先生講演会
(予報1)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2132.html
(予報2)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2140.html