四川高原-ストゥーパの旅(2)


見成塔
8月22日(木)、康定のホテルを出発し、丹巴をめざします。この日は午前に標高4300mの折多山を通過したため、やや高山病気味ではありましたが、多くのストゥーパやマニタイを見ることができました。
13時ころ、昼食をとったレストランのとなりで見成塔という大型ストゥーパに出会いました。標高は3400m。周りに寺院はなく、独立してたつストゥーパです。上円下方の多宝塔型で、下方部分は3段に分節されていますが、戒壇状というほどではなく、わずかに逓減する台形に近い印象です。周りには多数の小振りなストゥーパが取り囲んでいます。
見成塔は上円下方の多宝塔が立体マンダラに展開していく直前の状態を示す遺例として注目されるべきでしょう。


康定上柏桑村のマニタイ
15時ころ、標高3450mの道中にある上柏桑村で、多くのマニタイを発見しました。まず初めに理曲という川のほとりの地で、山積みになったマニタイ4基とストゥーパ1基を発見しました。 ストゥーパ近くにあるマニタイは、最下段が2.9m×1.5mを測り、3段積みになっています。
村の方の話では、人が亡くなるとその子供がまず近くの山に旗をたてて死者を弔います。その後マニタイを自分で彫り、この場所に積んでいくそうです。そのためチベット仏教を信仰する人たちは、子供のころからマニタイの板石に真言を彫る訓練をするそうです。実際にドライバーのマニさんは13歳から訓練し、今でも自分で彫ることができるそうです。かつては手彫りでしたが、現在は機械彫りが多いそうです。真言は「オン マニ ペメホン シュ」というチベット文字です。どうやら「観音菩薩はわが心に」という意味らしいですが、じつはもっと深い意味もあるようです。


↑(左)マニタイ (左)ツァーツァ ↓インフォーマント



渓流岩崖の真言と磨崖仏
理曲から少し奥に入った、渓流沿いの岩崖には「オン マニ ペメホン シュ」の真言を無数の自然石に刻み込んだ風景がみられます。よくみとり、磨崖仏もごく一部に含まれている。こられはすべて村人たちが刻み、作ったそうです。大きなサイズのマニタイは、手彫りで大体3~4日ほどかかるというので、相当な年月を費やしたとしか言いようがありません。
さきほどのマニタイ群は、死者を弔うためのものでしたが、ここにあるマニタイは墓標というわけではありません。日本の「賽の河原」の石積みのように、「徳を積む」行為の表現と感じました。


塔公寺
16時ころ、康定の塔公寺に到着しました。塔公寺はシャキャ派の古刹であり、1000年以上の歴史があります。詳細は以下のサイトを参照してください。
https://baike.baidu.com/item/%E5%A1%94%E5%85%AC%E5%AF%BA
塔公寺の境外、門前から450メートル離れたところに別の聖域を確認しました。ドライバーによれば、こちらも塔公寺の一部であり、仏殿風の建物の上に金色のストゥーパが置かれ、それ取り囲む壁が2段に分かれており、上部に無数の小さなストゥーパが置かれています。時間がなく、内部は見れなかったのが残念でしたが、これも境外正面側の群集ストゥーパと理解できるでしょう。


↑塔公寺本堂 ↓境外の群集ストゥーパ


【連載情報】四川高原-ストゥーパの旅
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