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魏志倭人伝を読む(10)

0123倭人伝02イントロ01 0123倭人伝00挨拶01


P2&P4発表会の報告

 1月23日(水)10時から13講義室で発表会が開催され、無難に終えることができました。さほど人気のないプロ研だと思っていましたが、午前10時~はとてもよい時間帯であり、ご覧のとおり聴講席はほぼ満席の状態です。
 発表は「お知らせ」で記したとおりの以下の次第で淡々と進みました。

   1)イントロ~「後漢書倭伝」口語訳抜粋(1年)
   2)「魏志倭人伝」口語訳(2年)
   3)「宋書倭国伝」口語訳と倭の五王(1年)


0123倭人伝01客席02 0123倭人伝01客席01


倭人の衣装

 唯一仕掛けを用意したのは倭人の衣装です。魏志には以下のように記されています。

【読下文】男子は皆露紒し、木緜を以て頭に招け、その衣は横幅、ただ結束して相連ね、ほぼ縫うことなし。
      婦人は被髪屈紒し、衣を作ること単被の如く、その中央を穿ち、頭を貫きてこれを衣る。
【口語訳】男子はみな(帽子などの)冠り物をかぶらず、絹布を頭にほっかむりします。衣服は幅広の布を
      結び束ねているだけでほぼ縫うことをしません。女性は髪を束ねて髷を結い、衣服をつくる
      ときは、反物の中央に穴をあけ、そこから頭を出して着ています。


0123倭人伝03衣装01 0123倭人伝03衣装02裸足01


 男子は横幅衣で、頭にほっかむりする。女子は貫頭衣で、髪は髷を結う。さらに男女とも顔に入墨。足は徒跣(裸足)。女子の方は後漢書でこの部分を担当したKSさんが冬休み中に麻布を裁縫してきてくれたので、そのままモデルとなってもらいました。魏志の描写とほぼ同じなので、説明は2年のHK君(魏志担当)に任せることとし、KSさんはイントロを務めるとともに、HK君の説明の際、横幅衣を身に纏うKK君とホワイトボードの前に出てきてもらいました。
 ただ、KSさんの場合、イントロ・スピーチ時はただ貫頭衣を着て髷を結っているだけでして、再登場の際には顔にペイントし裸足でおでましいただきました。一方、KK君はペイントと裸足は女子と同じですが、横幅衣についてはテーブルクロスをその場で着用してもらいました。二人とも恥ずかしかったでしょうが、聴衆へのアピール力は十分あったと思います。


0123倭人伝03衣装04横幅衣01 0123倭人伝03衣装03貫頭衣01



0123倭人伝04食01


 本当に全員のスピーチが滞りなく、順調に進み、10分前に終わったので、会場にいらした二人の先生にコメントをお願いしました。Y先生からは「文献だけでなく、漫画を併読したことでどのような効果がありましたか」という質問があり、1年リーダーのKH君が「倭の五王の名前だけでなく、王位を争う兄弟殺しの描写があって理解が深まった」と答えたので、わたしが「そんな漫画なんか信じちゃいけませんよ、どこにも弟が兄を殺したなんて記載はないのだから、漫画はあくまで補足の参照資料です」と補足しました。


0123倭人伝06コメント01ヤマガ国


 もう一人のI先生からは、「邪馬台国は纒向(まきむく)遺跡で決まりなのか」という質問があり、これについてはまず私が「個人的には纒向だと思っている。(邪馬台国位置論に関わりたくないので口に出す人は必ずしも多くないが)日本の考古学者の6~7割は纒向以外に考えにくいと思っている」と答えた上で、2年のMKさんに12月14日の田中先生の新説についても説明してもらいました。つまり、大和朝廷の源流たる邪馬台国が大和にあったとしても、卑弥呼が居たのは北九州の邪馬嘉国連合だという説です。
 こうして、本当に無事無難な発表会が幕を閉じました。学生諸君はお疲れ様でした。あとは学内WEBだけだね。


0123倭人伝05記念撮影01 0123倭人伝05記念撮影02sam


《連載情報》魏志倭人伝を読む
(1)漫画と文献で読む魏志倭人伝
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2113.html
(2)後漢書倭伝(一)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2119.html
(3)魏志倭人伝(一)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2125.html
(4)後漢書倭伝(二)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2131.html
(5)魏志倭人伝(二)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2134.html
(6)魏志倭人伝(三)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2153.html
(7)宋書倭国伝(一)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2155.html
(8)「弥生の衣食」再現
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2162.html
(9)プロジェクト研究2&4発表会のお知らせ
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2168.html
(10)P2&P4発表会の報告
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2174.html

青谷上寺地遺跡を訪ねて
(1)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2157.html
(2)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2158.html

魏志倭人伝の新しい解釈-田中章介先生講演会
( 予報1 )http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2132.html
( 予報2 )http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2140.html
(レポート)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2156.html
(大学HP)http://www.kankyo-u.ac.jp/tuesreport/2019/20191223/

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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