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「毘沙門天」展の宝塔

0215奈良博毘沙門天01看板01 0215奈良博毘沙門天01看板01doc


コロナ禍と展示とゼミ活動

 2月15日(土)、奈良公園を訪れ、奈良国立博物館の特別展「毘沙門天-北方鎮護のカミ」展を患者とみた。二人で行くと無料になる。高速代やJR乗車券は半額だが、国立博物館は無料だと聞いて、日本もわるくないと思った。
 コロナはすでに奈良に及んでいた。中国が想像を超えた混沌に陥り、横浜のクルーズ船が第二の武漢になったと国内外から非難されていたころである。奈良では、観光バスの運転手が武漢のツアー客からウィルスを感染されており、感染者は県内でこの1名にすぎなかったが、奈良公園は閑散としている。それでもまだ東南アジアやら欧米の旅客は登大路を歩いていた。
 わたしたち二人は無事、奈良博で毘沙門天展をみて、おおいに感激し、立派な図録を購入することができた。週明けに図録を手土産にして研究室に戻り、院生に鼻高々で手渡し修士論文に反映させるよう指示した。本来、修論完成までに院生にも「毘沙門天」展をみせておかなければならなかったが、なにぶん発表会が18日に迫っていた。奈良博まで足を運ぶ余裕はない状態だったのである。3月になってから修論の副査を務める会長と院生の二人を奈良に招こうと出張の申請はしていた。しかしコロナ禍は日に日に深刻になり、まもなく国立博物館は一斉休館、大学側からも「ゼミ合宿」に類する活動を自粛するよう指示があった。
 ここにいうゼミ合宿とは、教員と学生が複合的に出張したり集合したりすることだそうで、たとえば奈良に院生と私(主査)と会長(副査)が集まることも「ゼミ合宿」に相当する。そういう出張を控えるよう伝達があったのだ。時期が時期だけに仕方ないとは思う。結果、いったん3月後半まで様子をみることになったのだが、博物館の休館は延長され、不要不急の出張回避という指示に変化はなかった。ただし、学生や教員が別々に単独行動するのはよい、ということで、その結果は次報でお知らせする。


0215奈良博毘沙門天01看板02宝塔01web 毘沙門天展パンフレット_001表紙02web


毘沙門天の宝塔

 結果として、「毘沙門天」展をみたのは私だけである。二人にはわるいが、法隆寺金堂多聞天像(7世紀)をのぞく重要な毘沙門天(多聞天)像のほとんどを目の当たりにできたのだから、幸運だったというほかない。素晴らしい展示であった。もちろん展示室内の写真撮影は禁止されている。ただし、1階ロビーの内外に設置された看板類は撮影を許された。わたしたちのターゲットは毘沙門天像そのものではなく、毘沙門天が掌にのせる小さな宝塔である。この宝塔の、密教伝来前後の変化を読み取りたいわけだが、じつは宝塔だけ失われて新品に代わっているものも珍しくない(↑左の写真=道成寺)。その場合、仏像と宝塔の色調・材質感ははっきり異なってみえる。以下の3作も非常に有名な毘沙門天像だが、宝塔は新しいように思われる。


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ロサンゼルス・カウンティ美術館所蔵の毘沙門天立像。連弁座の上に膨らみのある壁をたちあげ宝形屋根で覆う金色の宝塔(舎利容器)。


0215奈良博毘沙門天01看板06東寺宝塔02web 毘沙門天展パンフレット_002東寺01
東寺の兜跋毘沙門天立像。中唐~晩唐期の作品とされるが、鎧などからみて西域系。毘沙門天の掌に宝塔がのるようになったのは南北朝以前のホータン国あたりかららしい。つまりこの立像が原型に近い?


奈良国立博物館だより_003如法寺02webweb 奈良国立博物館だより_003如法寺02web
愛媛如法寺毘沙門天立像(8世紀)。奈良時代唯一の毘沙門天像だが、元の宝塔は欠失、明らかに新しい。


 以下の宝塔は古いものである可能性が高いものを含む。古式の宝塔は五輪塔にも似て石塔っぽい? 固有名称等の詳細は、研究室に戻ってから図録と対照して追記します。


0215奈良博毘沙門天01看板04奈良博宝塔02web 毘沙門天展パンフレット_003奈良博(鎌倉)01
↑奈良博所蔵毘沙門天立像(鎌倉)

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↑道成寺  ↓岩滝山奉賛会 塔身が正方形で壁に膨らみをつけるタイプ。古いでしょうね。
奈良国立博物館だより_002岩滝山02web 奈良国立博物館だより_002道成寺01

0215奈良博毘沙門天01看板03宝塔02web 毘沙門天展パンフレット_004観世音寺01
↑観世音寺。建築的細部が精密、新しいか?

0215奈良博毘沙門天01看板07宝塔02web
↑石塔風。これ、どこだろう? 掌より大きな石塔??

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↑門前のcafeはがらがら。客はわたしたち2名のみでした。


《関係サイト》
毘沙門天の宝塔
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2167.html
中期密教の宝塔/多宝塔とチベット仏教ストゥーパの比較研究(1)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2183.html
「毘沙門天」展の宝塔
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2189.html

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Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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