研究表現としての麻雀警察(1)
昨年度の実績報告を2本書き、オンラインゼミの準備に時間を割いたおかげで、「蘇州古典園林」連載は中断を余儀なくされました。今日は4年の第3回ゼミで、いま話題の「教育機関の9月開校」をとりあげたんですが、4年生は全員賛成でした。大学生活が半年延長されることを卒業予定者たちは歓迎しています[追記注:翌日の3年ゼミでは賛否が半々に分かれた]。ネット上のアンケートでも7割方の回答者が賛同している。これこそパラダイム・シフトの最たるものなんですが、慎重論の言い分も理解できます。社会制度全体に及ぶ大変革だから、どさくさに紛れてそこまでやるか、という反論です。感染拡散の防止と医療制度の整備をなにより優先すべきであって、その他のことは後回しで構わない。教育分野では優れたオンライン授業の構築こそ重要だという主張です(嗚呼パワポの録音まだやってない【泣)。禍転じて彼岸に足を踏み入れるか此岸にとどまるか、まさに重要な政治的判断の局面を迎えつつある。このさいだから、また余計なことを書いておきましょう。わたしは以下の3つの改革に期待しています。
〈1〉オリンピック村のコロナ感染者・濃厚接触者への全面開放(オリンピックは4年延期)
〈2〉公共事業等「不要不急」の予算を1年以上延期し、その経費を医療・学業・休業補償等へ
転回。回向の思想です。
〈3〉アカデミックイヤーを欧米基準に変更するか。議論は慎重であるべきだが、来秋からなら
やらないほうがいい。いま困っているのは、小中高大の最終学年であり、かれらには来年
4月と同時に9月卒業・入学の権利を与えたい。ためしにJリーグを欧米型に移行してみるか。
まずは隗より始めよ。
さて、みなさんにとってはどうでもいいことでしょうが、最近わたしは「麻雀警察」というyoutube動画にショックを受けています。感嘆し唸っていると言ったほうがいい。いちばん有名な動画は「誰も教えてくれないMリーガーの本当の強さ」です。これはすでに「黒い砂の器」の最後に貼り付けています。
秋田生まれの麻雀警察ひろーさんは、高校時代からパチスロ中毒になり、悲喜こもごも紆余曲折のギャンブル人生を歩んできた見た目チャラチャラの若者で、斜に構えて口の悪いヤフコメニートのような印象を受けるのですが、なんのなんの、彼の分析力と表現力は恐るべき水準にあり、そこいらの三流研究者(俺もそうだけど)はひっくり返っても敵わないでしょう。上の「麻雀女流プロはなぜ弱いのか」など、ただもう納得するしかない。女性を差別するつもりはさらさらありませんが、麻雀好きならだれでも女流プロ(の大半)が強くないというイメージをもっている。サッカーやラグビーなどのスポーツで女性が男性に劣るのは理にかなっているけれども、麻雀などの頭脳ゲームにおいてなぜ女は男に勝てないのか(魚谷・瑞原等例外あり)。それに呆れたプロまがいの観戦者たちは、女流の試合運びをみて、下手だの馬呆だの不倫火山だの「おうちでMリーグ」だの、お下劣なコメントを連発するわけですが、麻雀警察の視方はもっと俯瞰的で業界全体から女流の存在意義をとらえている。じつに的確かつ肯定的にとらえているのです。いま大切なことは麻雀というゲームの裾野をひろげることであり、そのために女流雀士は不可欠だと結論づけています(カーリングに似ている?)。見事というほかありません。
下の「ノーレート麻雀はなぜつまらないのか」も非常に優れた考察だと思います。麻雀の根本は不確実性に基づくギャンブル性にあり、ギャンブルだからこそ通貨が動くことに意味がある。しかし、天鳳に代表されるオンライン麻雀の段位制度は通貨の代替になりうるものであって、麻雀から賭博性を消去できるだけでなく、きわめて多くの参加者を集めることができる。すなわち、麻雀というゲームの裾野をひろげうるのはオンライン麻雀であって、そこから朝倉や瑞原のようなmリーガが誕生していく道筋を作っていくことが望ましいと結んでいる。こちらも見事なパースペクティブと言うほかありません。この場合のオンラインはコロナ禍とはなんの関係もありませんが、コロナ禍であろうとなかろうと対戦可能であり、延期になったmリーグファイナルもオンラインで配信したらどうでしょうか。ひろーさんは、こうした分析力だけでなく、プレゼンが上手いよね。こういうセンスを、なんとかオンライン授業に取り入れられないものか。羨望の眼差しをもって、毎夜「麻雀警察」の新着動画を探す今日このごろ。
今夜も探すぞ・・・あれっ、堀内正人がでてきた。
↑パラダイム・シフトだ!
《連載情報》
素人の独り言
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研究表現としての麻雀警察
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