いい加減に学ぶ中国語講座(2)
簡体字から繁体字への変換
中国の簡体字はとてもわかりにくいですが、じつは日本の漢字も日本流の簡体字であり、いま本物の繁体字を使っているのは台湾だけになってしまいました。日本人からみれば、台湾の繁体字のほうが中国の簡体字よりもかなりわかりやすいので、中国簡体字の文章を台湾繁体字に変換してみましょう。これには、以下のようなサイトが有効です。
中国語の簡体字と繁体字を相互に変換
https://dokochina.com/sim2traconv.php
上のサイトで変換すると、
我喜欢你!(中国簡体字) → 我喜歡妳!(台湾繁体字)
となりますが、これを敢えて日本の漢字に直すと、以下のようになります。
我喜歓妳!(日本簡体字)
意味は I like you. です。 I(我) like(喜歓) you(妳). 文法は英語に近いですね。「歓」という漢字に注目すると、
欢(中) = 歓(日) =歡(台)
であることがわかります。
中国語から漢文へ
さて、百度百科からペーストした「外灘」の第一パラグラフをもういちど引用します。
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外滩(英文:The Bund;上海话拼音:nga thae),位于上海市黄浦区的黄浦江畔,即外黄浦滩,为中国历史文化街区。1844年(清道光廿四年)起,外滩这一带被划为英国租界,成为上海十里洋场的真实写照,也是旧上海租界区以及整个上海近代城市开始的起点。
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上のサイトを使って、全文を繁体字に変換してみましょう。
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外灘(英文:The Bund;上海話拼音:nga thae),位于上海市黃浦區的黃浦江畔,即外黃浦灘,為中國歷史文化街區。1844年(清道光廿四年)起,外灘這一帶被劃為英國租界,成為上海十里洋場的真實寫照,也是舊上海租界區以及整個上海近代城市開始的起點。
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どうですか、ずいぶん「漢文調」になったでしょ。繁体字になったことで却って難読化した言葉については、原文と対照すれば、日本の漢字を想像できます。さらに『漢和辞典オンライン』 https://kanji.jitenon.jp/ などを参照すると、たとえば
「區」=「区」 「國」=「国」 「為」=「为」 「劃」=「画」
「舊」=「旧」 「點」=「点」 「實」=「実」 「寫」=「写」
などの対応関係を導くことができるでしょう。
中国の簡体字はとてもわかりにくいですが、じつは日本の漢字も日本流の簡体字であり、いま本物の繁体字を使っているのは台湾だけになってしまいました。日本人からみれば、台湾の繁体字のほうが中国の簡体字よりもかなりわかりやすいので、中国簡体字の文章を台湾繁体字に変換してみましょう。これには、以下のようなサイトが有効です。
中国語の簡体字と繁体字を相互に変換
https://dokochina.com/sim2traconv.php
上のサイトで変換すると、
我喜欢你!(中国簡体字) → 我喜歡妳!(台湾繁体字)
となりますが、これを敢えて日本の漢字に直すと、以下のようになります。
我喜歓妳!(日本簡体字)
意味は I like you. です。 I(我) like(喜歓) you(妳). 文法は英語に近いですね。「歓」という漢字に注目すると、
欢(中) = 歓(日) =歡(台)
であることがわかります。
中国語から漢文へ
さて、百度百科からペーストした「外灘」の第一パラグラフをもういちど引用します。
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外滩(英文:The Bund;上海话拼音:nga thae),位于上海市黄浦区的黄浦江畔,即外黄浦滩,为中国历史文化街区。1844年(清道光廿四年)起,外滩这一带被划为英国租界,成为上海十里洋场的真实写照,也是旧上海租界区以及整个上海近代城市开始的起点。
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上のサイトを使って、全文を繁体字に変換してみましょう。
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外灘(英文:The Bund;上海話拼音:nga thae),位于上海市黃浦區的黃浦江畔,即外黃浦灘,為中國歷史文化街區。1844年(清道光廿四年)起,外灘這一帶被劃為英國租界,成為上海十里洋場的真實寫照,也是舊上海租界區以及整個上海近代城市開始的起點。
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どうですか、ずいぶん「漢文調」になったでしょ。繁体字になったことで却って難読化した言葉については、原文と対照すれば、日本の漢字を想像できます。さらに『漢和辞典オンライン』 https://kanji.jitenon.jp/ などを参照すると、たとえば
「區」=「区」 「國」=「国」 「為」=「为」 「劃」=「画」
「舊」=「旧」 「點」=「点」 「實」=「実」 「寫」=「写」
などの対応関係を導くことができるでしょう。
では、これらの繁体字を日本の簡体字に変えて全文を書き直してみます。
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外灘(英文:The Bund;上海話拼音:nga thae)、位于上海市黄浦区的黄浦江畔、即外黄浦灘、為中国歴史文化街区。1844年(清道光廿四年)起、外灘這一帯被画為英国租界、成為上海十里洋場的真実写照、也是旧上海租界区以及整個上海近代城市開始的起点。
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どうですか、ずいぶん意味が取りやすくなってきたのではありませんか?
ただし、日本語の漢字にはない特殊な中国語を含んでいますね。これについては、再び「weblio中日日中辞典 https://translate.weblio.jp/chinese/」を頼りましょう。このサイトのいちばん上に「項目を検索」のブランクがあります。ここに意味不明の中国語の単語をいれてクリックすると、日本語に翻訳してくれます。たとえば、
(中)城市 → (日)都市
(中)的 → (日)の
(中)寫照 → (日)複製、コピー、模倣
(中)以及 → (日)ならびに、および
(中)整个 → (日)丸ごとの、全体の.
ここまで分かれば、パラグラフ全体の意味がかなりみえてきます。少しだけ補足すると、「這」「是」は「この」とか「これ」と読みますが、前者は英語の this 、後者は英語の be にあたります。「起」は「~から」つまり、英語の from にあたる後置詞です。前置詞の場合は「従」を使います。「被」は受動態をあらわす助動詞です。
さて、上にみるように、読みにくかった中国語の原文は高校で学んだ「漢文」に変わってきています。漢文であるならば、読み下し文にできないわけはありません。試しにやってみます。
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外灘(英文:The Bund;上海話ピンイン:nga thae)は上海市黄浦区黄浦江の畔、即ち外黄浦灘に位し、中国歴史文化街区と為す。1844年(清の道光二十四年)起(よ)り,外灘(これ)一帯は画されて英国租界と為し、上海(における)「十里洋場」の真実写照(そっくりの複製)と成(す為)し,またこれ旧上海租界区および整個(まるごと)上海近代城市(都市)の開始の起点なり。
--
ここまでできれば、もう現代語訳したようなものです。意味のとれない学生はまずいないと想像します。ただし、「十里洋場」がよく分かりません。こういう特殊な固有名詞などは「weblio中日日中辞典」ではなく、グーグルやヤフーで検索するほうがよいかもしれません。「百度」 https://www.baidu.com/ で検索するのがいちばんよいですが、説明は中国語になるので面倒です。今回はグーグルで検索してみました。たとえば、以下のサイトはとてもわかりやすくて参考になります。
十里洋場−上海の李香蘭
https://cosmopolitan.hatenadiary.org/entry/20080521/1211359441
李香蘭(山口淑子)のヒット曲「十里洋場」を紹介しています。「十里洋場」とは外灘にあった上海租界の別名であり、その美しさを讃えた流行歌を李香蘭が流行らせていたのです(↓)。十里の「里」は現代中国では500m(清代では約570m)を示す長さの単位ですから、十里は約5km。「洋場」とは「(西)洋化した場所」であり、外灘には長さ5kmに及ぶ欧風の街区「十里洋場」があって、そこには「犬と中国人 入るべからず」の看板が立っていました。中国人の側からみれば、これ以上の侮辱はありませんが、その一方で羨望の眼差しを集める場所になっていたのです。今夜はこんなところで。【続】
【連載情報】いい加減に学ぶ中国語講座
(1)簡体字から繁体字へ http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2213.html
(2)繁体字から漢文読み下しへ http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2214.html
(3)陳大尉宮を読む〈一〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2215.html
(4)陳大尉宮を読む〈二〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2216.html
(5)陳大尉宮を読む〈三〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2217.html
(6)上海外灘-和平飯店 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2219.html
(7)豫園周辺の茶館 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2221.html
(8)同済大学(1) http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2220.html
(9)浦東の高層ビル http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2222.html
(10)朱家角の粽 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2224.html
(11)関口欣也博士に贈る詩 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2227.html
(12)上海蟹 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2230.html
(13)田子坊 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2232.html
(14)紹興酒 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2231.html
(15)上海のキリスト教(1) http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2233.html
(16)新天地 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2235.html
(17)周荘 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2237.html
(18)南翔 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2236.html
(19)日清ビル http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2238.html
(20)同済大学(2)建築与都市計画学院 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2234.html
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外灘(英文:The Bund;上海話拼音:nga thae)、位于上海市黄浦区的黄浦江畔、即外黄浦灘、為中国歴史文化街区。1844年(清道光廿四年)起、外灘這一帯被画為英国租界、成為上海十里洋場的真実写照、也是旧上海租界区以及整個上海近代城市開始的起点。
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どうですか、ずいぶん意味が取りやすくなってきたのではありませんか?
ただし、日本語の漢字にはない特殊な中国語を含んでいますね。これについては、再び「weblio中日日中辞典 https://translate.weblio.jp/chinese/」を頼りましょう。このサイトのいちばん上に「項目を検索」のブランクがあります。ここに意味不明の中国語の単語をいれてクリックすると、日本語に翻訳してくれます。たとえば、
(中)城市 → (日)都市
(中)的 → (日)の
(中)寫照 → (日)複製、コピー、模倣
(中)以及 → (日)ならびに、および
(中)整个 → (日)丸ごとの、全体の.
ここまで分かれば、パラグラフ全体の意味がかなりみえてきます。少しだけ補足すると、「這」「是」は「この」とか「これ」と読みますが、前者は英語の this 、後者は英語の be にあたります。「起」は「~から」つまり、英語の from にあたる後置詞です。前置詞の場合は「従」を使います。「被」は受動態をあらわす助動詞です。
さて、上にみるように、読みにくかった中国語の原文は高校で学んだ「漢文」に変わってきています。漢文であるならば、読み下し文にできないわけはありません。試しにやってみます。
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外灘(英文:The Bund;上海話ピンイン:nga thae)は上海市黄浦区黄浦江の畔、即ち外黄浦灘に位し、中国歴史文化街区と為す。1844年(清の道光二十四年)起(よ)り,外灘(これ)一帯は画されて英国租界と為し、上海(における)「十里洋場」の真実写照(そっくりの複製)と成(す為)し,またこれ旧上海租界区および整個(まるごと)上海近代城市(都市)の開始の起点なり。
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ここまでできれば、もう現代語訳したようなものです。意味のとれない学生はまずいないと想像します。ただし、「十里洋場」がよく分かりません。こういう特殊な固有名詞などは「weblio中日日中辞典」ではなく、グーグルやヤフーで検索するほうがよいかもしれません。「百度」 https://www.baidu.com/ で検索するのがいちばんよいですが、説明は中国語になるので面倒です。今回はグーグルで検索してみました。たとえば、以下のサイトはとてもわかりやすくて参考になります。
十里洋場−上海の李香蘭
https://cosmopolitan.hatenadiary.org/entry/20080521/1211359441
李香蘭(山口淑子)のヒット曲「十里洋場」を紹介しています。「十里洋場」とは外灘にあった上海租界の別名であり、その美しさを讃えた流行歌を李香蘭が流行らせていたのです(↓)。十里の「里」は現代中国では500m(清代では約570m)を示す長さの単位ですから、十里は約5km。「洋場」とは「(西)洋化した場所」であり、外灘には長さ5kmに及ぶ欧風の街区「十里洋場」があって、そこには「犬と中国人 入るべからず」の看板が立っていました。中国人の側からみれば、これ以上の侮辱はありませんが、その一方で羨望の眼差しを集める場所になっていたのです。今夜はこんなところで。【続】
【連載情報】いい加減に学ぶ中国語講座
(1)簡体字から繁体字へ http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2213.html
(2)繁体字から漢文読み下しへ http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2214.html
(3)陳大尉宮を読む〈一〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2215.html
(4)陳大尉宮を読む〈二〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2216.html
(5)陳大尉宮を読む〈三〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2217.html
(6)上海外灘-和平飯店 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2219.html
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(8)同済大学(1) http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2220.html
(9)浦東の高層ビル http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2222.html
(10)朱家角の粽 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2224.html
(11)関口欣也博士に贈る詩 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2227.html
(12)上海蟹 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2230.html
(13)田子坊 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2232.html
(14)紹興酒 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2231.html
(15)上海のキリスト教(1) http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2233.html
(16)新天地 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2235.html
(17)周荘 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2237.html
(18)南翔 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2236.html
(19)日清ビル http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2238.html
(20)同済大学(2)建築与都市計画学院 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2234.html