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中国道蕎麦競べ(10)-大和最上級コース

0919一如庵00看板01 0919一如庵01建物01玄関01


一如庵 ★★★★★

 奈良に住んで35年以上経つが、こんなに美味いものを食べたことがない。私個人の独断ではありません。三人が口を揃えた共通見解です。誇張でもなければ、冗談でもありませんよ。
 下の写真は、宇陀の山中にある「蕎麦・菜食 一如庵」で最初に卓に置かれた茄子のお寿司です。正式なメニュー名は「大和菜寿司(季節野菜の箱寿司)」であり、訪問した19日における季節野菜(大和菜)が茄子であったということ。この茄子がいわゆる「大和丸なす」なのか別の地元種なのかはよく分からない。ともかく身が蕩けるように柔らかく、皮付きの茄子をひっくり返しているのだが、食感だけでは皮はあってなきが如し。この柔らかさは、そうだな、敢えて類似の品をあげるとすれば、バルせロナのバールで食したパプリカのお惣菜に似ている。あれも異常に美味しい前菜であった。


0919一如庵02料理05茄子寿司01 0919一如庵02料理05茄子寿司02アップ


 中国道の旅から戻った勢いで、連日奈良や木津川の街中蕎麦屋の暖簾をくぐったものの、正直、落胆の念を禁じ得なかった。そういう気持ちを我が家のシェフ、つまり息子に伝えたところ、「いや宇陀に凄い蕎麦屋があると先輩に聞いている。ミシュランの一つ星を取ったらしい」というではないか。というわけで、性凝りもなく、宇陀の蕎麦屋探訪に出かけることを即決した。もちろん予め電話をした。神鍋の床瀬そばと同じく、コースはソールドアウトだというが、単品なら可能ということで、3人の席だけとってもらい、そそくさと家を出る。奈良の場合、北から南への移動は渋滞が激しく、時間がかかる。いったん24号線に乗ったものの、これでは予約の時間に間に合わぬということで、大きく県庁方向に舵を切り、紀寺から東に折れて山道を40分ばかり走行した。


0919一如庵02料理06天ぷら01 季節野菜の天ぷら


 やはり田舎道はいい。風景麗しく、信号少なく、空気が澄んでいる。こういう場所でなければ、美味い蕎麦を食えないと経験的に分かるのである。宇陀市榛原の自明という集落に着いたのは、予約の10分前、ちょうどよい時間であった。まっさきに家内が杖歩行者であることを告げる。主屋の裏側にツノヤを新築してあり、そこを身障者用の土間・テーブル個室にしている、というので大変喜んだ。こういう配慮も、ひょっとしたらミシュランの評価対象なのかもしれない。その部屋でじっくり昼食をいただいた。


0919一如庵02料理07ざる01 もり


 一品めは茄子のお寿司、二品めは「季節野菜の天ぷら」、三品めは各自一枚ずつ「もり」をたいらげた。この店には大盛りという概念がない。大目に食べたければ一枚追加するしかないというので、そうしようとしたところ、お給仕の女性から「辛味おろし」の冷やしぶっかけにされたら如何でしょうか、と薦められた。さらに、そばがきも注文した。もりとそばがき以外の3品には共通する食材を使っている。茄子である。おろしぶっかけの中にも長めの茄子が入っていて、やはり蕩けるような柔らかさに仕上げていた。スダチしぼりの爽やかな酸味の効いたぶっかけであった。また、天ぷらには定番の海老など海鮮をいっさい含まない。正真正銘の菜食天ぷらである。「これは精進料理ですか」と訊ねたところ、給仕の女性は「お出汁に鰹節は使っています」と恥かしそうに答えられた。いいじゃないですか、動物アレルギーさえなければ、出汁ぐらい誰でも許しますよ。


0919一如庵02料理08冷やしぶっかけ茄子01 辛味おろし(半分食べてしまったところ)



0919一如庵02料理09そばがき01 0919一如庵02料理10そば湯01


 そばがき(↑左)、そば湯(↑右)ももちろん美味であり、ミシュラン一つ星の名に恥じぬ名店だと唸りました。食文化果つる奈良県にこんな処があることを知り、なんだか感傷的になってしまった。なお、本館の畳座敷も和風のテーブルと椅子を配しています。身障者や高齢者が気楽に美食を味わえる配慮が行き届いているの。そうそう、余計な音楽を流していないところもいい。近頃はジャズを聞かせていればいいと思っている節がありますからね、どんなレストランでも。FMのいい加減な垂れ流しで、音質は最悪。すでにジャズの時代は終わったとつくづく思う今日このごろです。むしろ古いフォーク(ディランとかピート・シガーとかガスリーあたり)のほうが新鮮に感じるからね。木造建築と蕎麦屋の相性はいいが、バリアフリーも重要だし、器も厳選してほしいし、駄目なBGMならかけないほうがいい。そして、水がきれいで空気が澄み切った山里にある蕎麦屋が最高ですね。
 これからもそういう店を探しますよ。 【今回はとりあえず完】


0919一如庵01建物02つのや01外観01 0919一如庵01建物02つのや02内部web01 つのや


蕎麦・菜食 一如庵
〒633-0217 奈良県宇陀市榛原自明1362
0745-82-0053
https://ichinyoan.gorp.jp/
4.5 ★★★★★

0919一如庵01建物03本館01 本館


宇陀松山-重伝建再訪

 一如庵から談山神社に至る途中、重伝建「宇陀松山」を訪れた。いまブログ内検索をしてみると、2011年3月に訪れている。あのときは酒屋で奈良漬けを買い、「本善」という大衆食堂で夕ご飯を食べたんだ。9年すぎて、カフェなどが若干増えています。今回の目的は吉野葛でしてね。店内に「宮内庁ご用達」の看板を残す黒川家で、吉野葛の汁粉を買いました。後日、談山神社の門前で仕入れた栃餅とあわせてしるこを啜りましてね。大変上品な味でしたね。甘さも加減で、かくも上品になる。
 それから、abc(アベセ)というカフェで一休み。いわゆるデリカフェですね。土間の壁と天井を真っ白に塗り上げていて少々興ざめ、アイスコーヒーの味もまぁそういうレベルでした。隣にもカフェがあって、ひやかしてみると、内部は梁組をみせるなど骨董の風貌が溢れており、選択を誤ったが、あとの祭り。なにぶん暑かったので、一刻も早く冷たいものが飲みたかったのです。


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↑↓宮内庁ご用達「吉野葛」の店
0919宇陀松山01黒川家01

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↑↓カフェabc
0919宇陀松山02abc02


《連載情報》中国道蕎麦競べ
(1)安来「まつうら」
http://asalab.blog11.fc2.com/blog-entry-3057.html
(2)新見「やな木」
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2275.html
(3)勝山「一心庵」
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2276.html
(4)津山城東とうふ茶屋
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2277.html
(5)美作滝尾駅-木楽
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2278.html
(6)床瀬そば
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2279.html
(7)高中そば-名草神社三重塔
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2280.html
(8)EN-ナマステ
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2281.html
(9)談山神社-橘-きみなみ
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2282.html
(10)宇陀「一如庵」
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2283.html
(11)再訪-ひむろ蕎麦
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2308.html
(12)そば切りたかや インタビュー
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2302.html
(13)走馬観花-平福宿の「瓜生原」
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2304.html
(14)「みちくさの駅」ゼミナール
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2305.html
(15)再訪-床瀬そば
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2322.html
(16)そば処「伊とう」
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2328.html
(17)そばの店「右衛門五郎」
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2329.html
(18)蕎麦と旬のお料理「ろあん松田」
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2333.html
(19)摩尼寺門前 門脇茶屋
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2335.html
(20)八郷の里の猫
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2366.html

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Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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