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祭礼の持続可能性(1)

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倉吉市河原町地蔵盆に係わるヒアリング

 11月17日(火)、会長に率いられ、4年生全員で倉吉市河原町地蔵盆のヒアリングに臨みました。いま私は地元静岡の赤尾渋垂郡辺(あかお・しぶたれ・こうりべ)神社の「袋井祭り」の持続可能性について卒業研究に取り組んでいます。当初は袋井祭りのみを主題とする予定でしたが、過疎地における祭礼の持続可能性ということなら、鳥取の例も取り上げて比較すべきだという指導があり、このたびのヒアリングが実現することになりました。
 倉吉市河原町の地蔵盆については、ASALABが2016年前後に調査をおこなっています。ヒアリングの対象は、我らがマッド・トリオのリーダー、マッド・アマノさん(河原町の文化を守る会)です。大変有益なお話を聞かせていただきました。


ヒアリング中ブログ


 地蔵盆は、地蔵菩薩の縁日であり、一般的にはお盆の1週間後にあたる旧暦7月24日を軸にして、その前日(新暦8月23日)の宵縁日を中心とした3日間開催されます。文字通り、地蔵菩薩の祭りをさしますが、子供が主役の祭りであることもよく知られています。河原町の場合、過疎の影響を受け、中学校1年生以下の子供たちの数が著しく減って存続が危ぶまれており、様々な対策を講じています。以下はアマノさんの発言を箇条書きします。
 
 ①地蔵盆の現状は、ASALABが『地蔵盆を未来へ』(報告書2016)を刊行した当時の状況(数名)と大差ない。しかし、地蔵盆の主役となる6~13歳の子供の数はこれからどんどん減っていくのではないか。
 ②帰省して地蔵盆に参加する家族・子供・孫は少なく、仮にいたとしても地蔵盆を手伝うのではなく、楽しむ側にだけ回ってしまう。
 ③人を呼び込むため、東京巣鴨の「とげぬき地蔵」を参考にして、春・秋・冬にも季節に即した地蔵盆を催し、町を盛り上げようという試みを続けている。たとえば春の地蔵盆では餅つきをする。子供だけではなく大人の参加も促している。周辺の町からも参加したいという声があがるなど、地蔵盆への関心を持ってもらうことに成功している思う。

 このように、地元住民や地元出身の子供たちや孫だけでは祭礼を維持できないので、過疎地において祭礼文化を持続させていくためには、人を引き込むような形態や行事に取り組むなど、外部の力の取り込みは必要不可欠になっているという印象を受けました。もともと子供の祭りだったのが、人口減少・少子化・高齢化のあおりを受けて、地域の祭りに変化していきつつある。祭りの在り方や形態を変化させる必要があるということです。

河原町の文化を守るため-外部と内部とバランス

 祭礼を持続させるには担い手だけではなく、「文化」の継承も大きな問題である。その点についても、河原町はしっかり対策をとっておられる。河原町には地蔵盆の実行委員会や「文化を守る会」がすでにあり、昔の写真を集めるなどの活動に励んでおられる。祭礼を持続させるためには、祭りの記録を残すことが重要である。祭事としての本来の意味や歴史的変化を理解することは、次世代の担い手に興味を持ってもらうきっかけになります。 
 「地蔵盆は多感な少年少女時代に体験した楽しい思い出、ほかの町の人では体験できない貴重な体験としてかけがえのないものになっていると思うからからこそ、まだまだ続けていきたいという思いがある」とアマノさんはおっしゃいました。このような根強い意識こそが祭礼を持続させる意欲の根源にあるのではないか思いました。
 地蔵盆に係わるコミュニティの範囲にも変化が認められます。河原町だけでは手におえないということで、明倫地区や倉吉市を巻き込んでの活動が必要になるのです。より大きな自治組織を動かすためにも、河原町住民の「やる気」が大切であり、人口減少を先の問題として楽観視するのではなく、直近の切実な問題としてとらえ議論しつつ、住民全体の「やろうじゃない」という心意気を露わにしていく必要がある。「表面的な伝統」だけでは言い表せられない思いがある祭りを今後も続けていきたいとアマノさんはおっしゃいました。今後ますます過疎が加速していく地方において、祭礼を持続させていくためにはそうした自治体をも動かす心意気が必要だと思いました。
 ヒアリング後、倉吉の歴史的市街地を散策しました。白壁土蔵群などの文化財を活用し、観光に力を入れている町であるのならば、祭りの情報も広く発信し、人を集めることで、外部の多くの人に求められる祭りにしていくことも大切ではないかと考えました。しかしながら、人を集めるための「イベント」にしてしまうと、伝統も威厳もないエンタメに堕してしまいかねません。外部と内部の兼ね合いが難しいですが、これから祭礼を維持していくうえでの鍵を握ることは間違いないと思いました。(沼の鰻)

《関係サイト》
冬の地蔵祭
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-1167.html
『地蔵盆を未来へ―倉吉の歴史まちづくり(Ⅱ)―』刊行!
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-1218.html




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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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