中国道蕎麦競べ(16)-伊とう


昨年12月18日(金)~19日(土)、三度目の但馬入りをした。週明けからの初雪が結構な大雪になったものの、週末の鳥取では雪融けの兆しがあり、予定どおり車を西に走らせた。但馬に入り、新温泉町から豊岡までは根雪が多く残り、屋根の上にはいまだ数十センチの積雪があった。さらに南へ向かう。目的地は朝来市和田山町の竹田。「日本のマチュピチュ」だの、「天空の城」などで過剰な評価を得ている国史跡「竹田城跡」の山下、JR竹田駅の近くに登録文化財「旧木村酒造場」を再生活用したホテルenがある。ここに宿泊すると同時に、但馬から丹波にかけて、3軒の蕎麦屋を梯子することが旅の目的である。これは調査研究です。
そば処「伊とう」
兵庫県朝来市和田山町竹田517-1 https://www.sobadokoro-ito.jp/
新型木造建築(市街地型) 民芸キッチュ系 椅子座+小上げ
創業:2014年 営業11:00~16:00(水曜・第3火曜定休) ★3.5


昼下がりに竹田に着いてただちに蕎麦屋をめざす。14時で午後の部は終わりだと聞いていたので少々焦った。旧木村酒造場の北半分はホテルen、南半分は観光案内所(情報館 天空の城)になっている。案内所に酒造場の旧裏門が残っていて、そこを抜けるとJR播但線の踏切があり、踏切をわたったところにある広場と小路の接する角地に「伊とう」の新しい店舗が建っている。町家の改造ではなく、新築と思われるが、店内に入って椅子座の天井をみあげると、大きな梁が露出してみえる。また、奥に広めの小あげ座を設けており、この畳座敷と梁によって、店内は和の匂いを発しているのだと思う。どうして蕎麦屋はかくも木造の建築部材や和風の内装に拘るのであろうか。蕎麦屋と同類の麺類店であるうどん屋はどうなのか。丸亀製麺のようなチェーン店でも木造に拘っているのかどうか、少々気になるところである。


店は確実に新しい。六年前の創業時に新築したものだという。おもしろいことに、近隣の食堂・ホテル・土産物屋の開業は6~8年前に集中している。竹田城跡が「天空の城」として脚光を浴びた時期にこうした商業系施設が続々と開店したのである。ASALABはそのころ私学最終学年(ケントの世代)が4年生だったころで、たしかに彼らは早朝の竹田城に遠征していました。
当時から、JR竹田駅周辺には竹田城跡の「門前町」が再形成され始めたと言えるかもしれません。
長い移動の後で腹が減っており、二人の食事であったが、雲海そば(温)、梅だしつけそば(冷)、もりそば大盛(冷)の3品を注文した。低カロリーの蕎麦ならば、これぐらい軽いものである。まずは付だし(ゴマ豆腐)から食事は始まった。ゴマ豆腐には「精進」の匂いがする。この店は精進に特化しているわけではないけれども、やはり蕎麦には精進が似合うように思った。




雲海そば(温): とろろ蕎麦の豪華版バリエーションである。雲海が、竹田城跡の雲海を意識したものであるのは間違いないでしょう。出汁の味が洗練されていて美味しい。

梅だしつけそば(冷): 薄味の出汁に梅干しのタタキ、葱、胡麻、大根おろしなどの薬味を混ぜて,蕎麦をさらりとつけてたくる。夏向きの蕎麦だと思う。もちろん美味しいが、やはり普通の「盛り」を食べたくなる。ということで、大盛りを注文した。

もりそば大盛(冷): 新潟の片木(へぎ)蕎麦を彷彿させるような器に清涼感溢れる蕎麦を盛っている。やはり、蕎麦は盛りだと痛感。もう1枚いけるがとどめることにした。ちなみに、ソバ粉は富山産だそうである。

腹が減っていたこともあったかもしれないが、蕎麦の味は大変美味しく感じた。大衆的蕎麦屋さんの王道を行く味覚だと思う。午前、竹田城に登山し、空きっ腹に「伊とう」の蕎麦ってのは最高ですね。いつか学生を連れて登山に来たいと思った。
店の特徴としてもうひとつあげておきたいのは、とろろ、じゃなかった、トトロのフィギュアや絵が多数展示したあったことである。これもまた、竹田城と無縁なわけではないだろう。要するに、家族連れの観光客を喜ばせようという演出なのではないか、と。じつは店の前を流れる小川にも、ドラえもん、ゴジラ、ミッキーマウスなどのフィギュアが水中に居並んでいる。たぶん、鬼太郎ロードを意識しての演出ではないか、と。







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《連載情報》中国道蕎麦競べ
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