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ホテルen (1)-登録文化財「旧木村酒造場」

2020竹田城ホテルen_圧縮


VMG と NIPPONIA の健全な野心

 因幡にはなくて、但馬~丹波にあるのが VMG HOTELS & UNIQUE VENUES のホテル群である。ただのホテルではない。大型の歴史的建造物を活用したホテルである。学者が声高に主張してきた文化遺産の活用構想は、机上の空論にすぎないものばかりだが、VMGは壮大なアイデアを実践し続けている。VMGの取り組みを目の当たりにして、ときに mリーグ の出現(2018)と比較したくなる。プロという肩書きはもっているが、雀荘での活動以外にほぼ収入源のなかった雀士の世界を、サイバーエージェント代表の藤田晋氏が統合して、賭博性を排除し、「オリンピック競技をめざ」す知的スポーツとして再編成したのが mリーグ であり、朝日放送系のABEMA TV で連日対局が放送されている。麻雀界はおおいなる飛躍の時代を迎えようとしているのである。


1218en竹田城10町並み02本館01up


 歴史的建造物活用の革命を、文化庁や国交省などのお役所ではなく、VMGという民間企業が実践し、利益を上げ、各地に施設を増殖させているという事実は「驚異」以外の何物でもない。ひとつわからないことがある。NIPPONIAという組織が別にあって、やはり多くの歴史的建造物をホテル化しており、VMGのなかにNIPPONIAも含まれているのだが、両者の関係が不透明なのである。実際、但馬~丹波でも、VMGのサイトでは紹介されていないが、NIPPONIAの暖簾をかけた民家/町家をいくつかみた。大杉や篠山などの重伝建で NIPPONIA の暖簾を確認している。


1218en竹田城10町並み01 分館(町家)が点在する表通り


 いずれにしても、わたしが「古民家終活の時代」の遺産と呼ぶところの対象を、VMGは見事に再生している。文化遺産全体からみれば、「終活」の見方は決して間違ってはいないであろうが、その盲点をつくように、VMGは突出した物件を探しだし、文化的価値を大きく損なうことなく、ホテルに改修して利益を生んでいるのである。藤田晋レベルの人物が背後にいない限り、このような変動がおこりうるはずはない。それはいったい誰なのか、どのような人物なのか?
 わたしが竹田城の山下で、登録文化財「旧木村酒造場」を活用した ホテルen に出会ったのは9月下旬のことである。あのときも、そば処「伊とう」を探していたのだが、開店時間を過ぎていたこともあり、結局みつけられないまま、ホテルenに遭遇した。その後、ネットで予約を試みたが、大変な人気を博しており、12月18日にようやく1泊の予約を確保できた。9月のことである。

en本館・別館の建築年代

 明治34~35年の再建とされる登録文化財「旧木村酒造場」はすべてがホテルになったわけではない。南半は市営の観光案内所(情報館 天空の城)であり、北半はホテルの管理部門等。客室(分館)となるのは、表通りに面して近接する3~4軒の小型町家である。ホテルの係員によると、周辺の町家は江戸時代後期にまで遡るという。これを研究室の町家編年成果に照らしてみると、本館は虫籠窓ツシ2階形式であり、案内板にある明治35年前後は妥当な年代であるのに対して、わたしたちの宿泊した分館は、本館よりもやや丈の高い中2階形式となっており、しかも2階部分に格子を使っていない(↓)。こうした中2階は明治後期~大正初期の様式であって、江戸時代後期の建立という年代が正しいとすれば、1階のみがそれに相当すると考えるしかなかろう。おそらく1階は幕末ころの茅葺き建物であり、明治後期以降に中2階を増設し、同時に1階の屋根も桟瓦葺きに変更したのではないか、と思われる。


1218en竹田城04桜02外観01web 分館SAKURA



1218en竹田城04桜01寝室01web 1218en竹田城04桜01寝室02ソファ01web


杉板フロアと荒壁仕上げ

 わたしたちは分館SAKURAの離れに滞在した。平屋の建物であり、全面に天井を張っている。心配した段差もさほどではなく、居室は居間(リビング)と寝室の2室構成。畳はすべて剥がして杉板新材のフロアに変えており、その上にソファやベッドを置いている。建築的に関心したのは、杉板フロアと古い敷居の面をきっちりあわせている点である。畳敷の場合でも、敷居が若干高く、躓きやすくなっているが、その難点はほぼ完璧にクリアされている。


1218en竹田城04桜01寝室03フロア02敷居01web 1218en竹田城04桜01寝室03フロア01


 畳を剥がす改修は、指定文化財ならばあまり歓迎されないかもしれないが、分館は未指定・未登録であり、この程度の改修ならばなんの問題もないであろう。むしろ室内は古風な趣きをよく残している。畳以外にあまり手を加えていないからであろうが、とくに間仕切り壁の以外の外側の壁を荒壁塗りでとどめている点が大きく影響している。新しく上塗りして綺麗にすればよいものではなく、まるで利休の茶室のように荒壁残しにすることで、わびた風情、すなわち骨董品の風貌を表現することに成功している。但し、壁を荒壁にすることで断熱が機能しない(杉板フロアの下は断熱できているだろう)。たしかに少々寒いことは寒いが、居間のエアコンに加えて、寝室に石油ファンヒーターを置いているので、両方使えば、暖かい夜を過ごすことはできる(炭素排除至上主義者は怒るかもしれないが、我が家も空調とファンヒータを併用している)。


1218en竹田城04桜01寝室02ソファ02荒壁01web


檜風呂で柚の香りに

 バス・トイレは、土間をおりて3mぐらいのところに新装されている。全面改修というべきか。移動履の下駄が用意されている。下駄には風情がある。バスは檜風呂である。これはよろしい。あの夜は柚風呂を所望した。ネットにいれた柚を2個、緩い湯に漬けておくと、少しずつ冬の柑橘の香りがしてくる。【続】


1218en竹田城04桜03檜風呂01web

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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