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中国道蕎麦競べ(18)-ろあん松田

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「集落丸山」プロジェクト

 丹波篠山の市街地(旧城下町地区)から544号線を北東に数キロ進むと茅葺き民家の密集する丸山という集落に至る。ネット情報によると、「限界集落」化していた時期があったようだ。居住者は四世帯にまで落ち込み、そこから「集落丸山」というプロジェクトが始まる。空き家になっていた民家を改修し、民宿(ホテル)やレストランに再生する試みが奏効し、今は人気を博している。前者(ホテル)はNPO法人や社団法人のサポートを受けながら、ここでもまた NIPPONIA が運営している。ネット上の写真をみる限り、荒壁を残す内装の処理は竹田のホテルen に通じており、両者が無関係だとは思い難いが、VMGの名前はみえない。
 レストランについては、2009年から里山フランス料理「ひわの蔵」が経営を続けている。わたしたちがめざしたのは、「ろあん松田」という割烹蕎麦料理店であり、ミュシュランガイドに掲載されているというので、期待に胸が膨らんだ。少し調べてみたところ、「ろあん」も「ひわ」も民宿ホテルに食事を提供しており、この二つを含む「集落丸山」が2015年10月に刊行された『ミシュランガイド兵庫特別版2016』の「旅館」部門で4つ星を獲得したとのことである。


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蕎麦と旬のお料理「ろあん松田」 
兵庫県篠山市丸山154 http://www.roan-matsuda.com/
新型木造建築(山荘料亭型) 数寄屋系 畳座+椅子座+玄関待合
営業時間:昼(2部制 11:30~ 14:00~) 夜 18:00~
定休日:火・水曜日(完全予約制) ★3.0

 丸山集落からさらに奥の細道を上っていくと、ようやく「ろあん松田」に至る。探しだすのに苦労した。「集落丸山」プロジェクトの根幹に民家の再生・活用があるのだから、料亭ろあんもその類だろうと思い込んでいたのかもしれない。実際には、下に示したように、新築の数奇屋風平屋建(一部二階建)の木造建築であり、看板も暖簾も出していないので、周囲をうろうろ彷徨ってしまったのである。これだけ古民家の密集する地域であるにも拘わらず、空き家化した物件がなかったのであろうか。新しい料亭は、白木をベースにしており、聚楽壁のような洗練された仕上げをしていて、蕎麦屋らしい木造建築と言えばそうなのだが、「骨董の匂い」はしない。骨董の風貌ではないから、数奇屋の重みも薄れている。この軽さが料理の味覚にも通ずる、と書いたらまずいかねぇ・・・
 わたしたちは大きな洋室を独占して昼食のフルコースをいただいた。隣は書院風の和室で、やはり客は居なかった。ただし、お客らしいざわめきが遠くに聞こえる。駐車場に車が数輌停車していたので、反対側の二階建のエリアに他の客が集まっていたのかもしれない。ともかく、二人で「会食」はしたが、どこにも「密」は存在していない。こういうことを気にしながら紀行文を書かなければならない悲しい時期を迎えてしまいましたね。


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1219ろあん01建物04和座敷 1219ろあん01建物04和座敷sam



1219ろあん02料理01黒豆茶 1.黒豆茶


 12月18~19日のわずか2日間の旅の成果をすでに6回にわたって連載している。自らに課したホームワークではあるけれども、結構な作業量であり、少々疲れてしまった。頭が働かない。とりあえず卓上に並んだ昼食フルコースを順番に並べてみる


1219ろあん02料理02玄米soupに仕込水 1219ろあん02料理03仕込水
2.玄米スープ(右は別料金の仕込み水) 

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3.野草サラダの山椒オイルかけ(日本たんぽぽ、はこべ等のサラダ)

1219ろあん02料理05惣菜盛り合わせ
4.惣菜盛り合わせ

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5.盛りそば

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6.焼き大根の煮物

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7.粗挽き蕎麦と猪(しし)汁 *コース以外のオプション

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8.蕎麦寿司

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9.辛味大根おろし蕎麦(右は山かけとろろ蕎麦)

1219ろあん02料理11蕎麦湯と香物
10.蕎麦湯と香物

1219ろあん02料理12抹茶と芋菓子01
11.抹茶と芋菓子01


里山高級料理はリピータを再生産できるか

 どれもこれも美味でありました。量も十分。お値段だけのことはある。ただし、申し分ない、というほどではなくて、物足りなさが残らなかったわけではありません。わたしたちは蕎麦を食べにきた。少なくとも蕎麦に関しては残尿感?がありましたね。はこべや日本たんぽぽ等の野草、あるいは裏庭で採れる木の実などを駆使した創作系料理であり、里山らしい気分を味わえるのですが、すべての料理が「これはたまらぬ」というほど満足感を与えてくれたわけではないのです。工夫を凝らして創作すれば、すべての客が幸福に満たされるわけではないのでね。
 竹田の蕎麦屋さんで味わった大衆料理定番の美味しさは、やはり「鉄板」であり、それが創作系であろうとなかろうと、あるいは里山系であろうとなかろうと、さらにまた、ミシュランで星をとっていようといまいと、美味い物は美味いのであり、その現実が客を惹きつけ、リピータを生むのではないか、と思った次第です。老婆心ながら、ろあんの場合、なにぶんお値段が高く、人里離れた場所にあるので、少々心配になりました。丸山集落から城下の河原町に戻り、「花格子」で十割のかけそばを啜りたくなったゆえんです。


1219ろあん01建物03玄関待合 玄関待合


 2日間の但馬・丹波行で、多くの民家等歴史的建造物の再生・活用を目の当たりにし、宿泊を体験し、蕎麦を中心に地産地消のフードをたくさんいただきました。因幡であきれ果てるほど身に染みた「古民家終活の時代」感はさほどに強くはなかったことを正直に告白しなければなりません。ここまで再生・活用のエネルギーを感じるのは、しかし、因幡とは異なる立地の利点があるからだろうと思うのです。但馬・丹波各地の名所群は京阪神から1~2時間ばかりの場所にある。週末にドライブがてら都市部から但馬・丹波を訪れ、鄙びてはいるがお洒落な宿に泊まり、蕎麦や地元の料理に舌鼓を打つ。立地のハンディ(有利さ)があるからこそ、期待値も高まる。つまり収益を得て持続性を高める可能性があるわけです。残念ながら、因伯にはそれがない。
 とはいうものの、福住や丸山の状況が必ずしも楽観的だとは正直思えませんでした。たとえば、「集落丸山」のブログは2016年11月でストップしています。ミシュランろあんにしても、美味しい料理ではあるけれども、あの値段でリピーターを確保できるのか、少々気になりました。どの場所もがんばってほしい。しかしながら、持続性が担保されているわけではない。世界遺産や登録文化財や重伝建と同じで、同類の宿泊施設やレストランは増えすぎないほうがいいのかもしれません。以上が2日間の調査の感想であります。


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《連載情報》中国道蕎麦競べ
(1)安来「まつうら」
http://asalab.blog11.fc2.com/blog-entry-3057.html
(2)新見「やな木」
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2275.html
(3)勝山「一心庵」
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2276.html
(4)津山城東とうふ茶屋
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2277.html
(5)美作滝尾駅-木楽
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2278.html
(6)床瀬そば
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2279.html
(7)高中そば-名草神社三重塔
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2280.html
(8)EN-ナマステ
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2281.html
(9)談山神社-橘-きみなみ
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2282.html
(10)宇陀「一如庵」
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2283.html
(11)再訪-ひむろ蕎麦
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2308.html
(12)そば切りたかや インタビュー
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2302.html
(13)走馬観花-平福宿の「瓜生原」
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2304.html
(14)「みちくさの駅」ゼミナール
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2305.html
(15)再訪-床瀬そば
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2322.html
(16)そば処「伊とう」
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2328.html
(17)そばの店「右衛門五郎」
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2329.html
(18)蕎麦と旬のお料理「ろあん松田」
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2333.html
(19)摩尼寺門前 門脇茶屋
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2335.html
(20)八郷の里の猫
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2366.html
(21)そば処「井田農園」
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2377.html

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Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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