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日本のなかのブータン(2)

ブータンとのリモート


ブータンとのリモート面談

 その後、ティンプー在住の中島事務所長の方からズームで面談しないか、というお誘いがあり、zoom か webex かで少々迷ったのだが、大学の公式webexだと時間無制限なので、中島さんに webex の使用法を学んでいただくことで、1月14日(木)、ブータンとのリモート面談が実現した。研究室活動史上、画期的な出来事だと思う。
 面談は一時間半以上に及んだが、今回は私の卒論と係わる「蕎麦」の栽培と食文化に係わる問題に焦点を絞り、成果を報告する。

ブータンの蕎麦食について
 基本的には米を主食としているブータンであるが、中央ブータンの高地、ブンタン地区で米より蕎麦を食べる習慣があると聞いている。そのブンタンの代表的な蕎麦料理が、ケプタン(ソバ粉のパンケーキ;西ブータンの標準語ではクレという)やプタ(蕎麦の押し出し麺)である。クレは粉にするときに蕎麦の実をそのまま使うのでザラザラとした食感になり、プタは蕎麦粉のみを使っているので長さが短くパサパサとした麺になる。また、プタは野菜や唐辛子と一緒に食べる。それが伝統的なブンタン流の食べ方である。
 他の代表的な蕎麦料理としては、西ブータン・ハ地区のヒュンテ(ソバ粉皮の餃子)がある。ハ地区だけがブータン式餃子の皮に蕎麦粉を使用する伝統がある。中島さんは、これらの地域以外では蕎麦料理を聞いたことがないと仰った。
 しかし、ブータンでも最近では健康志向が高まってきており、甘蕎を使った蕎麦クッキーやプタやクレを改良品を首都ティンプーで売り出すための企業が立ち上げられるなど、数は多くないが新たな動きも出てきているというお話もあわせて聞かせていただいた。



ブータンの蕎麦栽培について
 ブータンでは苦蕎(にがそば)も甘蕎(あまそば)も栽培されている。
 甘蕎は、イノシシなどの獣害にあいやすく、夜通し見張り番をする必要があることから、最近まであまり栽培されてこなかった。一方、苦蕎は甘蕎に比べて獣害が少なく、栽培も簡単であることから栽培している農家も多い。しかし、そのほとんどが自家消費を目的とした生産であるため、全体の生産量はそう多くないだろうとのことであった。
 また、甘蕎麦栽培地域について中島さんの調べでは、ブンタン地区だけでなく、ダガナ地区、ツィラン地区、モンガル地区などブータン東部地域にも及ぶという。これらの栽培地域の中でもブンタン地区は標高が高く、ブータン国内では最も蕎麦が美味しいとされる。

ブータン蕎麦事業について
 佛子園では、ブータンで栽培されている甘蕎を日本に輸出している。蕎麦の質は日本のそれに近く、ルチンの含量は日本のものと同等かそれ以上であるという研究結果も聞いている。蕎麦はブータンから石川県の佛子園本部へ輸出され、そこで製粉をおこない各地の拠点に分配されている。製粉やレストランでの販売などの場では障がいのある方が働いており、ブータン蕎麦の事業は国際協力だけでなく、国内の障がい者雇用の提供という面でも貢献している。
 ブータンは日本のメディアなどに「世界一幸せな国」と呼ばれているが、実際は「世界一の幸せを目指している国」である。そういった国から来た蕎麦ということで、ブータン蕎麦が食べられるお店に足を運ぶお客さんもいるようだ。
 中国地方の場合、鳥取県西部の南部町、広島県安芸太田町にブータン蕎麦事業に参加している拠点があるということも教えていただきました。近く広島県安芸太田町にある月ヶ瀬温泉の関係者の方と連絡をとり、お話を聞かせていただきたいと思います。 (月市)


《連載情報》日本のなかのブータン
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Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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