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日本のなかのブータン(1)

西日本初のブータン料理店 charocharo 長期休業

 ブータンに行くことが叶わなくなった2020年、なんとか日本のなかのブータン人とブータン文化を探ろうと努力をした。宗教的なアプローチはなかなか難しいところがあるけれども、蕎麦とか食文化は一つの手がかりになると思って情報を集めていたところ、京都にチャロチャロ(charocharo)というブータン・レストランがあることを知り、昨秋、ネットで得た番号に電話をかけてみた。
 https://www.facebook.com/charocharobhutanjapan/

 電話に出た女性にお話を伺ったところ、日曜日の午後だけテナントビルの一室をレンタルして営業しているとのこと。コロナは小康状態にあった。ただし、奈良経由で京都のレストランを訪れ、食事をし、少しばかりのヒアリングするには少々の覚悟が要る。しばらく時間をおくことにした。
 年末の冬休みになり、再度電話をした。マダムと10分ばかりお話をすることができた。結論から述べると、チャロチャロは長期休業に入るのだという。コロナのせいというよりも、産休だとマダムは仰る。お目出たいことですね。
 チャロチャロを運営しているのは、ブータン人の夫と日本人のマダムのお二人で、平日は別の仕事をされており、日曜の午後だけの営業を続けてこられたのだという。マダムのKさんは大阪出身で、2010~13年、国際青年協力隊の一員としてブータンで活動し、夫のNさんと知り合った。2014年に結婚し、Nさんは来日。以来7年、日曜の午後だけブータン料理店を営業してきたが、年末12月20日をもって長期休業となった。
 大阪や京都なら、ブータン料理の店はいくらでもあると思われがちだが、ネパール料理やインド料理とはわけがちがう。チャロチャロは西日本で初めてのブータン料理レストランであった。無理をしても秋に訪れておくべきだったとひどく後悔した。
 料理について少々うかがった。もちろん蕎麦食がいちばん気になる。ところが、常連のお客さんに(会長のような)蕎麦アレルギーの人がいるので、蕎麦料理はいっさい提供しなかったという。しかし、石川の佛子園(http://www.bussien.com/#/)がブータン支援(障害者支援・貧民救済等)の一環として、ブータンからソバの実を輸入し続けている、という情報を教えてくださった。

佛子園ブータン事務所長ブログ

 これは大変なことだと思い、ネット上で情報を集めたところ、「(佛子園)事務所長 民樹のつぶやき」と題するブログを発見し、12月25日付けの「ロックダウン5日め」と題する記事に対して、12月30日に私はコメントを投稿した。そのコメントを要約して転載しておく。

  はじめまして。私共は2012年から2019年まで8年連続でブータンを訪問し、おもにブータンの
  崖寺、瞑想洞穴、民家仏間、各地の護法尊などを調査してまいりました。今年(2020)、
  ブータンに行くことができず、本当に残念でした。京都のブータン料理チャロチャロさんから
  仏子園のことをお聞きし、サイトを巡っていたところ、このブログを発見し、驚いております。
  ブータンのコロナ感染者の状況が手にとるようにわかり、学生にもサイトを周知したところです。
  仏子園とブータンの関わりについて、いろいろお教えいただければ幸いです。今年の4年生は、
  一人が「仏教とボン教の関係」、もう一人は「ブータンの蕎麦食」で卒論を書いております。
  とくに後者については、仏子園さんがブータンの蕎麦を輸入されていると聞いております。
  どのような支援活動をおこなわれているのか、大変興味をもっております。今後ともよろしく
  お願い申し上げます。



 1月4日、事務所長の中島さんからメールが入った。こちらも圧縮して紹介させていただきます。

  佛子園は数年に一度有志職員に対して海外研修を世界各国で実施しています。海外研修では
  その国の幸せや生き方などを学び、国内拠点で実践もしています。2009年にブータンでも海外
  研修を実施し、2012年にはブータン国内で主に農村部の弱者救済や生活向上に従事している
  現地法人タラヤナ財団と障がい者支援のために提携を結びました。2014年から2017年の3年間、
  障がい者や障がいに関する啓蒙活動や実態調査、就労支援などをJICA草の根事業でタラヤナ
  財団や障がい者支援をしている現地NGO、関係省庁と共に実施しました。実態調査結果は、
  ブータン政府が国連障がい者人権条約の批准に大きく前進するきっかけにもなりました(まだ批准
  はされておりません)。
  2019年にはタラヤナ財団よりも更に障がい者支援に特化している現地法人セルワと提携を結び、
  2020年2月より障がい者の就労に焦点を当てた4年間のJICA草の根事業を実施する予定でしたが、
  新型コロナウイルスの影響で現在実施の見通しが立っておりません。

 以上みたように、佛子園の根本活動は「障害者支援」および「貧民救済」なのだが、それが蕎麦と大きな関わりをもっている。メールの要約を続けよう。

  佛子園はまた2013年よりこれまでブータン産の蕎麦の実を佛子園本部に輸出し、佛子園の
  いくつかの拠点でブータンそばを提供しており、多くの方々に好評を頂いております。2018年
  には20トン、今年は10トンを輸出する予定です。蕎麦輸出を通じて地方の貧困層への継続的
  な収入にも貢献しております。

鳥取は第二の故郷

 聞くところによれば、蕎麦の製粉などの工程も障害者の業務なのだという。そうして製品化された蕎麦の加工品が日本に流通し始めているということに驚きを禁じえなかった。さらに、プライベートの面でも、恐るべき事実が発覚した。

  私事ですが、私の母が鳥取県郡家の出身で、私は鳥取県生まれの神戸育ちです。日本では
  鳥取が私の第二の故郷と思っている自分がいます。私の初ブータン訪問は1996年で、それ以来
  旅行やインターンなどでブータンを多々訪問し継続的に仕事ができる道筋を探っていました。
  その間、203年から2009年まではカナダで語学留学、短期大学と大学を卒業し、森林関連の仕事
  をしていましたが、ブータンの夢を諦められず帰国しました。2010年に短期青年海外協力隊で
  ブータンに環境教育隊で派遣され、その後2年間ティンプー市役所の環境課でゴミ関連の仕事を
  して以来、現在まで佛子園ブータン事務所長をしております。ブータンで生活し仕事をして10年
  になります。

 中島さんは八頭郡郡家の生まれで、一歳半のとき神戸に引っ越したが、中島さんの母上は河原町中井の出身だという。河原町は私の故郷であるばかりか、私の母は八頭郡で小中学校の教師をしており、西郷小学校にもたしか3年ばかり赴任していたから、私の母と中島さんの母上はニアミスしていた可能性がある。
 この情報を知ったとき、信じがたい「縁」だと感じ入り、その後さらに情報交換を深めることになる。【続】


《連載情報》日本のなかのブータン
(1)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2342.html
(2)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2341.html
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(6)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2356.html
(7)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2367.html

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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