茶室の休耕畑物語-4年ぶりの収穫

冬野菜の初栽培・初収穫
皆さんこんにちは、ASALAB4年の月市です。この度、昨年8月に訪問した裏山の茶室「盃彩亭」の奥ににる菜園で、じつは秘かに水菜とジャガイモを栽培しており、このたび収穫に成功しました。
教授いわく、菜園で収穫できたのは4年ぶりということであり、今回は自然を相手にした試行錯誤の記録をご紹介させていただきます。少し長いですが、お付き合いください。


左:開始時点の菜園 右:茶室
菜園との出会い
私がこの菜園と出会ったのは、暑さ厳しい昨年の8月のことでした。ゼミ活動の一つとして、以前から噂に聞いていた茶室を訪れたのです。茶室の奥には畑があると聞いていたので、どんなもんかとワクワクしていました。そんな私の目に、飛び込んできたのが上の写真の光景です。写真中央部にある畑の囲いが、なんとか見えるくらいであとは奥行も幅もわからないくらいに雑草が生い茂っていました。
教授によると、学年(3年次)によって栽培熱意にかなり差があり、ある学年がほぼ総ての夏野菜を枯らしてしまって以来、やる気をなくしてしまったのだそうです。なかなか衝撃的な出会いでしたが、ゼミに入る前から畑のことは聞いており、諦めきれなかった私はここを耕すことに決めたのです。


翌日、100均で農具を買いそろえ、草刈りを始めました。草や笹が畑に近寄るまでの道にも生えていたのでまずは道普請から始めました。8月という時期に加え、木々に囲まれているこの環境は湿度が高く非常に暑かったです。熱中症には細心の注意を払って短時間で作業を行いましたが、皆さんはあまりマネしないようにしてください。

そのまた翌日からは、ゼミ内外の友人に声をかけ、作業を手伝ってもらいました。協力して残りの草を刈ったり、日当たりを邪魔する枝を取り除いたりした後、鍬で耕していきました。途中、先輩方が残した切り株をいくつか見つけると皆で掘り起こし、取り除きました。


水菜〇 ラディッシュ△ ネギ×
耕し終わったところで、私たちは何を植えるか話し合いました。植える作物の条件としては、「虫に強く」「暑さにつよく」「霜がおりるまでに収穫できるもの」が挙げられました。その結果、万能ネギ、水菜、ラディッシュを植えることに決まりました。
種は近くのホームセンター、黒マルチは100均で購入しました。みんなで協力して畝を立てマルチをかけ、一畝に一つずつ植え付けていきました。

およそ2~3日おきに水やりをおこない、3種すべて発芽しました。しかし、順調なのはここまででした。
私たちの予想を超える降水不足や高温、樹々に囲まれた環境による日照不足などの影響などから、まずネギが全滅しました。また、耕したとはいえ土が硬かったのか、ラディッシュもうまいこと丸くは育ちませんでした。下の写真のラディッシュは収穫されたものですが、とても辛く、あまりおいしいとは言えないものでした。
結局、最初に植えた3種で問題なく成長したのは水菜のみとなりました。


積雪を乗り越えたジャガイモと水菜
ラディッシュを収穫し終わると畝が二つ空いてしまいました。そのまましばらく放置していましたが、ひょんなことから種芋を入手する機会があり、もらったならと空いた畝に植えることにしました。時期的にギリギリ遅いのではという意見もありましたが、植えてみると生命力は侮れないもので、すべて発芽しました。
しかし、やはり日当たりの問題だと思われますが、どの株も茎が徒長してしまったので、倒れないように何度か土寄せをすることになりました。

徒長こそしたものの、簡単には枯れないところまで育ち、もう大丈夫だろうと思っていた矢先、さらに試練が待ち受けていました。植え付けが遅かったこともあり、積雪に見舞われたのです。今年の雪は昨年より多く、年末から1月上旬にかけては雪が残っているため畑に出ることができませんでした。マルチの代わりに松葉や枯葉を根元にかけてはいましたが、おそらくすべて枯れただろうとこの時は思いました。


そして先日26日、雪もなくなったので様子を見に行きました。私の予想は外れていました。ジャガイモも水菜も雪を乗り越え、たくましく生きていたのです。ジャガイモは上の部分は完全に枯れていましたが、掘り起こしてみると、小さいながらもいくつかの芋をつけていました。
半年ほどの活動期間でしたが、植物の生命力に驚かされると同時に、作物にもっと良い環境を整えてやりたかったという未練も残りました。厳しくも楽しい、充実した活動ができたのは友人や周りの人の協力があってこそだったと思うので、ここに感謝の気持ちを表します。ありがとうございました。(月市)

教師補遺-エビチリと麻婆茄子の付け合わせに
こういう活動を学生がやっていることを露も知らずに生きていました。だから、26日の夕方にポリバケツに入ったジャガイモと水菜をみたとき、驚きましてね。この4年生たちは、仄かにではありますが、茶室に息を吹き返してくれて、いろんな意味で画期的な学年だったと思います。水菜を少々分けてもらいました。間引き菜のような趣きのある水菜で、どうしようか考えたのですが、ちょうどその日の夕飯は中華だったので、エビチリと麻婆茄子の付け合わせにしました。水菜に熱湯をかけてカットしただけです。生でもないが、煮てもいない。中華の油分を中和させる爽やかな食感に、トスク閉店セールの恵比寿ビールで乾杯!

