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国英神社(3)-文系受験の祈願所をめざして

100空撮01全景01


 気がつけば2月ではありませんか。ご存じのとおり、今年の節分は立春が一日早くなるため、2月2日(火)に繰り上がりだそうで、明日じゃないの。恵方巻とか予約なしで買えるんかな? 卒論ポスターセッション(PS)は10日に予定されており、感染ステージによってリモート/対面の変更あり、なんてまだ言ってんですよ。こうやって、前期からぎりぎりまで決定を遅らせ、多くの教員や学生が混乱に陥ってきたのに、まるで内閣のコピーをみているようです・・・この期に及んでまだ「対面PS」の機会をさぐるなんてね。わたしゃ、今年はPSなしでも仕方ないと思っています(一部の演習は発表会なしにしてます)。卒業に値する論文か否かは指導教員の判断に委ねればいい・・・あらら、話が横にそれちゃった。昨日の続きを書きます。


0113国英神社00社務所00


社務所
切妻造平屋建桟瓦葺平入 正面庇付 玄関 切妻造妻入 (昭和)
 平面は前後2列に別れており、前(北)側は4畳+4畳+床付六畳の続き間、後(南)側は六畳の背面に四畳半の畳間をおき、4畳2室の背面に土間のキッチンやと水洗トイレを置く。外からみればやや鄙びた感もあるが、内部はいたって健全であり、とくに改装されたキッチンとトイレは現代的になっている。もとより再建する必要はなく、部分的な補修と屋根替え・防水だけで十分機能し続けるであろう。


0127国英神社05社務所01 0127国英神社05社務所02厨房


祈祷所
切妻造平屋建桟瓦葺妻入 向拝妻庇
 前報までは、虹梁・木鼻の絵様から境内最古の建物と推定していた。ところが、内側に入ると新材ばかりで、おそらく社務所とほぼ同時期の建築であろう。となれば、正面の虹梁や木鼻・組物はなにか、ということになるわけだが、間口2間のサイズからみて、旧本殿の部材を転用した可能性があるのではないか、と思われる。いまはただ物置として使われており、撤去の可能性も示唆されているが、祭りを維持しているというので、祭礼関係の道具を納める宝庫とすればよいのではないか、と提案した。


0127国英神社04祈祷所内部 0127国英神社04祈祷所採寸
↑(左)祈祷所内部天井 (右)外まわりの実測風景


01拝殿01 拝殿の屋根に覆いかかる高木


高木の被害と枝打ち

 この日は拝殿前に立つ大樹の問題も話題になった。よく知られているように、国英神社には、市指定天然記念物の大イチョウがあるけれども、拝殿両脇の日本の大樹(樹種不詳)もなかなかの高木であり、じつはその落葉が社務所や拝殿の瓦屋根に落ちてきて堆積し、瓦を劣化させる原因になっているという。この問題をクリアするために、その二つの高木を半裁したいという意見もあるらしいが、わたしは「神社境内の高木は天上の神霊が伝わって下りてくる依代(神木)であり不敬にあたる」とコメントした。落葉を少なくしようとするならば枝打ちがふさわしく、伐採した太径の枝は裁断し乾燥させて薪とするのがよいと思っている。じつは、わたしの実家がある奈良北辺の神社では、そのような皮付きの薪を大晦日から正月三日まで境内で焚き火として燃やし続ける。焚き火のまわりには丸太の腰掛けをおいて参拝者が暖をとりながら休憩できるようにしている。 


02社務所01 0127国英神社05社務所03ケヤキ01


「文系受験者の祈願所」構想

 国英神社の管理責任者さんがにこにこお話しくださったことを軽く紹介しておきたい。国英神社の氏子はいま160名いるが、氏子以外でこの神社を訪問する人は例外的である。しかし、神社を売り出す方法がある、という。国英(くにふさ)の二文字は、それぞれ「国語」「英語」に対応する。おまけに、神社の社は「社会」の一文字でもある。つまり、英語・国語・社会で文系の学部を受験する学生たちの祈願所としたい、という構想をもっておられるのだ。じつに面白い。どの家も受験には弱い。とくに大学共通テスト(旧センター試験)では、理系の学生も国・英の二科目を受験する者が多いので、共通テストに照準をあわせれば、より参拝者を確保できるのではないか。いま空き地のようになっている境内の北半を蠟梅林に変えてしまいましょう。蠟梅は1月中旬から咲き始める。蠟梅の黄色い花が咲き乱れる境内で、共通試験の祈願をするのです。その時期に国英神社にお参りすれば、文系科目受験にご加護がある。そう宣伝すれば、必ずや受験生と父兄が参拝しに押し寄せるでしょう。


0127国英神社05社務所03ケヤキ02拝殿 01拝殿01sam


 学生の演習についてももう一度触れておきましょう。国英神社はまさに「鎮守の杜」でありまして、高木だけでなく叢林が生い茂っている。ドローン2種を境内地鳥居脇と八東川の河川敷で飛ばしたのですが、大半の建物は樹木の蔭に隠れてしまいます。帰学後、さっそくフォトスキャンに写真を入力してみたのですが、まともな2Dや3Dになるとはちょっと思えません。まぁ、成果はなくとも、演習にはなったでしょう。もう一つはインパルスの測量ですが、我らがマドンナが要領よく、シンプルな配置図を描き、そこに座標値を入れていきました。配置図は下右です。


0127国英神社10学生実習02 0127国英神社10学生実習03野帳01sam

100空撮01全景02八東川01 ← クリックして視てほしいんですが、遠方の赤い橋の手前に段差=堰堤があるんです。満男と泉ちゃんが花になぞらえて恋を語りあう「寅次郎の告白」の名場面のロケ地でしてね。この場所と国英神社を複合的に売り出せないものか、と。

《連載情報》国英神社
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(1)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2336.html
(2)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2349.html
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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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