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日本のなかのブータン(7)

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JOCA南部を訪ねて

 これまで佛子園ブータン事務所、月ヶ瀬温泉JOCA×3とのリモート面談で、鳥取県の南部町でもブータン蕎麦の事業が始まろうとしていることを知った。そこで、JOCA南部事務所に連絡をとり、事務所代表の亀山さん、児童指導員の石田さんからお話をうかがった。会場は法勝寺の旧門脇呉服店である。今回も蕎麦に関する部分を中心に成果を報告する。
 会場の旧門脇呉服店は「福祉のまちづくり」活動の拠点として、オフィス兼カフェとなっている。以前は旧西伯町の高齢者自立訓練センターの2階を事務所としていたが、来訪者が少なく「地域の方と交流しないでまちづくりはできない」ということで拠点をこの場所に移し、来年度からは正式にここを事務所とする予定だという。


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佛子園をモデルにした福祉のまちづくり

 南部町で事業が動き出したのは、前町長の働きかけがあったからだという。JOCAに対して南部町で「やってみないか」と町長から声をかけられた。事業は本部を石川におく佛子園の成功例をモデルにしている。安芸太田の月ヶ瀬温泉も佛子園をモデルにし、南部町もその動きに連動し、「温泉+蕎麦屋」の事業を展開する。なぜ温泉かと問えば、日本人で温泉が嫌いな人はいない。町民には入浴フリーとする(町外者は有料)。蕎麦については、やはり日本人が愛好している食べ物であることが理由だが、もちろんブータン高地民の農業支援という側面もある。また、機械製粉・製麺を取り入れることで障碍者の雇用にも貢献するとも考えている。健常者も障碍者も分け隔てなく皆が過ごせるまちづくりをしていくことを目標に据えている。
 青年海外協力隊JOCAはJICAの隊員として国外で支援活動を経験したメンバーが帰国後組織化されたものであり、海外で得た経験を日本国内に還元することを目的としている。その活動の一環として南部町のまちづくりが始まったということである。
 蕎麦屋を含む温泉施設は、法勝寺高校跡地(5,000㎡)をすでに購入しており、優秀な建築設計事務所が設計も終えていて、いま県や町と協力して建設費用等の国庫補助を申請し、採択待ちであるとのこと。申請が採択されれば、令和4年(2022)4月にオープンされる。


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蕎麦の味へのこだわり

 「福祉のまちづくり」を進めていく上で相当数の雇用が発生するので、一定の収益をあげなければならない。そのためには町外からの温泉の訪問者・観光客を増やして、蕎麦屋も繁盛する必要がある。蕎麦屋が賑わうためには、蕎麦をはじめとする料理の味にこだわらなければならない。素人がただ蕎麦粉を使い、蕎麦を作るだけでは就労している障碍者の賃金に反映させられるだけの利益が出ない。就労している障碍者のためにも蕎麦屋は簡単に潰れるわけにはいかないので、蕎麦のかえしなど、味への追及は佛子園監修の下、ストイックにおこなっている。
 この拠点で就労している障碍者の方は15名であり、将来的には30名まで雇用を増やす計画である。入浴や食事などは日常の中に必ず存在する。そうしたものを地域のつながりづくり及び福祉を軸にしたまちづくりと絡めていくことで、持続可能になっていくのではないかという旨を亀山さんは仰った。今後もこうした施設が日本各地に構想されており、地方創生を通じたブータンとの交流の活性化が期待される。
 亀山さん、石田さんをはじめとするJOCA南部事務所職員の皆様にはお忙しいなか時間を割いていただき、ブータン蕎麦輸出事業や蕎麦を活用した地方創生について大変丁寧にお話していただきました。深く感謝申し上げます。ありがとうございました。(月市)


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龍門寺巡礼堂の想い出と猫

 摩尼山鷲ヶ峰に存在した地蔵堂の復元図を描く参考にするため、3年ばかり前に南部町の龍門寺を訪れた。2017年のクリスマス・イブのことである。そのときお世話になったAKさんを訪ね、報告書などをお渡しした。あのとき賑やかにしていたお孫さんたち3名は登校中であり、何気に閑かになっている。お座敷でお茶をいただきながら、法勝寺で見聞きした話を伝える。高校跡地で温泉+蕎麦の事業が始まるということについては何も知らない、とのことであり、来年4月のオープンだというと、さらに驚かれた。どうやら町民全体が周知している事業ではないことが分かった。
 温泉と聞いて、AKさんは杞憂を露わにされた。竹下元総理のふるさと創生事業(1988-89)で南部町は温泉の掘削を始めたが、以来なんども失敗しており、法勝寺高校跡地で本当に出湯するのか、疑わしいと仰られる。温泉掘削の資金は莫大であり、そもそもそれだけの資金がどこから出るのか、訝しい顔をされるのである。奥様も同じ意見であり、法勝寺で聞いた話との温度差を感じた次第である。わたしたち文化財の関係者はいつも財政難に悩まされている。「文化遺産を活用したまちづくり」には補助金が出にくいのに、「福祉のまちづくり」には莫大な税金が投入されることを知った。それだけ、いまは「福祉」の時代なのであろうが、少々納得いかない気持ちが残らないわけではなかった。しかし、JOCA南部には頑張っていただきたい。温泉とブータン蕎麦で「持続可能なまちづくり」を実現できるのなら、文句の言いようはないのだから。但し、町民が開業一年前の段階で知らない、という点は気にかかる。鳥取市河原町西郷地区の風力発電事業に対する異議申し立てのようなことがおきなければよいが・・・

 AKさんのお宅には、3人のお孫さんに加えて、11匹の猫がいた。そのうち1匹が亡くなって10匹になった、淋しくなったとAKさんは仰る。3年前のブログでも書いたように、とても羨ましい一家だと思う。2月の昼下がり、猫を1匹だけみた。八郷の里の猫ほど人なつこくはない。学生が触ろうとすると逃げたという。静かに軒下にたたずむ猫を遠方からレンズで捉えた。


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《連載情報》日本のなかのブータン
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Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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