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パティオで考える

奇跡の集落

 5月1日(土)、たまたまBSで「カールさんとティーナさんの古民家村だより」を視た。二回目の再放送らしい。新潟の限界集落「竹所」にドイツ人の建築家が移住して古民家を再生し、その後、移住者が増え続けて集落は活性化していく、という筋書きのドキュメンタリー番組である。最初は舐めていた。なにせ「古民家終活の時代」を声高に主張している立場でもあり、そんな上手くいくわけない、という諦めのような偏見を以て番組を視聴していたのだが、途中から、これは違う、と思い直し、急ぎ録画ボタンをおす。
 茅葺き民家の限界集落がその雰囲気を守りながら、ところどころにドイツのカントリーハウスのようなカラフルな木造住宅に生まれ変わっている。指定文化財のようにごりごりの保存では決してなく、竹田のホテルENのように、和風の趣にこだわりすぎてもいない。カールさんの場合、自分の住まいは茅葺きを残しているが、売りさばいた他の民家はブレース(筋交)を加えればハーフティンバーにみえるほどの変貌ぶりで、洋化・近代化の手法を誇示しつつ、内部には古民家の材を多く残している。
 まったくもう「古民家終活の時代」の真反対のことを実践しつつある。少々恥ずかしくなり、おおいに羨ましくなった。ただし、カールさんの手法は、わたしが提案している「安寧な終活」と重なりあうところがないでもない。各所で撤去される民家の主要部材を再利用して、新たな「民家」を設計・建設しているからだ。まぁ、しかし、口だけではなく、実践しないとね。こういう人物があらわれないと、限界集落はなにも変わりませんからね。新潟県十日町市周辺の方々はラッキーとしかいいようがない。
 よくよく考えてみると、わたしは木造建築士と二級建築士の資格をもっていて、カールさんのような仕事ができないわけじゃない。CADも使えぬ爺が戯言ほざいている、とあざ笑われそうだが、カールさんが古民家内のドラフターで作図する映像も流れた。CADがなければ仕事ができない、という考えを消し去ればよいわけだな・・・


 
ボノスDSC_0261毛虫 毛虫


 世間はGWで人出も多いらしい。本学はオンライン授業が続いている。今日(4日)は午後から卒論ゼミをwebexでおこなう。オンライン講義の準備はしんどいけれども、私だってGW気分は味わいたいので、今朝もまたボノスに行ってパティオの朝食をいただいた。雀が何羽もやってきた。多くの雀はパン切れを銜えて飛び去るが、今朝は二羽がパティオで餌を食べているのを確認した。一羽はコリドーの肩石の叢に隠れ、もう一羽はレンガ壁のバットレスの蔭に隠れてパンをつついている。私の千切ったパン切れは雀にとっては大きすぎるようで、何度も回転させながら、三口ばかり嘴でかじった後、パン切れを放置して飛び去っていった。
 今朝はもう一つの生命体を発見した。毛虫である。灌木の梢から細い糸が一尺ばかり垂れており、その先っぽでハンモックのように揺れている。毛虫は雀の餌になるのだろうか。そんなことをぼっと考えていた。


ボノスDSC_0263雀の隠れ場 雀の隠れ場

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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