実績報告(2)-科学研究費
研究題目: ブータン仏教の調伏と黒壁の瞑想洞穴-ポン教神霊の浄化と祭場-
2018年度~2021年度基盤研究(C)
課題番号 18K04543 機関番号 25101
研究実績の概要: コロナ禍のため海外渡航が叶わなくなり、日本国内での文献研究を余儀なくされた。主に、これまで漠然と捉えていたボン教に対する理解を深めるべく、日本語・中国語・英語の文献を読み込んでいった。ブータンの場合、仏教以前から浸透していた非仏教系の信仰をおしなべてボン教系と理解しがちだが、ボンとボン以外の土着信仰を識別すべきであり、これまでの研究成果を修正する必要に迫られている。
ボンは西チベットのカイラス山周辺で紀元前から存在した自然崇拝的な宗教だが、7~8世紀の仏教受容期からしばらくはニンマ派(古派)仏教と相互影響しあう段階があり、11世紀以降の諸派林立・群雄割拠時代には仏教諸派の覇権争いにボン教も加わる。結果として、ボン教は仏教四大宗派との争いに敗れ、チベット本拠地では弾圧されて東遷せざるをえなくなり、拠点を四川高原のギャロン地区に移す。その際の移動経路と終点の周辺に著しく仏教化した「白ボン」の寺院が少なからず姿をとどめている。
一方、ブータンでは、中世期にあって、隠された古いボン教経典を探し出すテルトンの称号をもつボンポ(高僧)は活躍したが、ボン教の拠点的な寺院は存在しなかった。2019年夏に調査したポプジカのクブン寺は、縁起が7世紀にまで遡る。表向きニンマ派の仏教寺院を装いながら、2階奥にある二室をボン教の偶像を隠し祀る秘奥の部屋としており、現本堂の前には石積壁の前身遺構も残っている。ここがブータンに残る唯一のボン教寺院であり、中国側の「白ボン」以前の段階、すなわちニンマ派(後期密教)とボン教が融合した「黒ボン」の名残を残す寺院であると認識し直した。このほかリモートで社会福祉法人「佛子園」ブータン事務所と情報交換し、日本の平家落人集落のようなボン教徒の隠れ里(ボンジ)がわずかながら存在することが分かってきている。今後の重要なフィールドになると考えられる。経費の多くは繰り越しとなった。
2018年度~2021年度基盤研究(C)
課題番号 18K04543 機関番号 25101
研究実績の概要: コロナ禍のため海外渡航が叶わなくなり、日本国内での文献研究を余儀なくされた。主に、これまで漠然と捉えていたボン教に対する理解を深めるべく、日本語・中国語・英語の文献を読み込んでいった。ブータンの場合、仏教以前から浸透していた非仏教系の信仰をおしなべてボン教系と理解しがちだが、ボンとボン以外の土着信仰を識別すべきであり、これまでの研究成果を修正する必要に迫られている。
ボンは西チベットのカイラス山周辺で紀元前から存在した自然崇拝的な宗教だが、7~8世紀の仏教受容期からしばらくはニンマ派(古派)仏教と相互影響しあう段階があり、11世紀以降の諸派林立・群雄割拠時代には仏教諸派の覇権争いにボン教も加わる。結果として、ボン教は仏教四大宗派との争いに敗れ、チベット本拠地では弾圧されて東遷せざるをえなくなり、拠点を四川高原のギャロン地区に移す。その際の移動経路と終点の周辺に著しく仏教化した「白ボン」の寺院が少なからず姿をとどめている。
一方、ブータンでは、中世期にあって、隠された古いボン教経典を探し出すテルトンの称号をもつボンポ(高僧)は活躍したが、ボン教の拠点的な寺院は存在しなかった。2019年夏に調査したポプジカのクブン寺は、縁起が7世紀にまで遡る。表向きニンマ派の仏教寺院を装いながら、2階奥にある二室をボン教の偶像を隠し祀る秘奥の部屋としており、現本堂の前には石積壁の前身遺構も残っている。ここがブータンに残る唯一のボン教寺院であり、中国側の「白ボン」以前の段階、すなわちニンマ派(後期密教)とボン教が融合した「黒ボン」の名残を残す寺院であると認識し直した。このほかリモートで社会福祉法人「佛子園」ブータン事務所と情報交換し、日本の平家落人集落のようなボン教徒の隠れ里(ボンジ)がわずかながら存在することが分かってきている。今後の重要なフィールドになると考えられる。経費の多くは繰り越しとなった。
研究業績
浅川編(2021)『能海寛と宇内一統宗教 -明治の国粋とグローバリズム-』
同成社:386p.
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2381.html
浅川・森編(2020)『能海寛を読む-「世界に於ける仏教徒」の口語訳と批評-』
公立鳥取環境大学(ASALAB報告書 第38輯):118p.
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2191.html
ボン教-百度百科とウィキペディアの比較
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2292.html
ボン教(笨教)中国語論文リスト
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2293.html
ボン教の時期区分
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2294.html
いい加減に学ぶ中国語講座
(33)笨教〈1〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2289.html
(34)笨教〈2〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2290.html
(35)笨教〈3〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2291.html
(37)ボン教論文摘要〈1〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2303.html
(38)ボン教論文摘要〈2〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2306.html
(39)ボン教論文摘要〈3〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2309.html
(40)ボン教論文摘要〈4〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2310.html
(41)ボン教論文摘要〈5〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-date-202011.html
日本のなかのブータン
(2)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2341.html
(卒論)ブータン仏教の調伏と護法尊に関する基礎的研究
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2185.html
《卒論》チベット・ブータン仏教とボン教の歴史的相関性に関する予備的考察
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2364.html
浅川編(2021)『能海寛と宇内一統宗教 -明治の国粋とグローバリズム-』
同成社:386p.
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2381.html
浅川・森編(2020)『能海寛を読む-「世界に於ける仏教徒」の口語訳と批評-』
公立鳥取環境大学(ASALAB報告書 第38輯):118p.
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2191.html
ボン教-百度百科とウィキペディアの比較
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2292.html
ボン教(笨教)中国語論文リスト
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2293.html
ボン教の時期区分
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2294.html
いい加減に学ぶ中国語講座
(33)笨教〈1〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2289.html
(34)笨教〈2〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2290.html
(35)笨教〈3〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2291.html
(37)ボン教論文摘要〈1〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2303.html
(38)ボン教論文摘要〈2〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2306.html
(39)ボン教論文摘要〈3〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2309.html
(40)ボン教論文摘要〈4〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2310.html
(41)ボン教論文摘要〈5〉 http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-date-202011.html
日本のなかのブータン
(2)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2341.html
(卒論)ブータン仏教の調伏と護法尊に関する基礎的研究
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2185.html
《卒論》チベット・ブータン仏教とボン教の歴史的相関性に関する予備的考察
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2364.html