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復元検討web会議(第2回)

 6月9日(水)夕刻、第2回の復元検討web会議を開催した。参加者は4名。まずは遺構配置の復元検討から。1尺=29.65㎝として遺構にできるだけ忠実に柱位置を復元した。

 1)中央の円形建物と周辺の回廊等囲繞施設は3°ばかり方位軸のずれがあり、建設の時期差を反映するものと推定した。たとえば、以下のような遺構変遷が考えられる。

750~760年ころ(行基没:749年、出土軒瓦の上限:760年)
 円形建物を建立(土庇は基壇上の八角円堂よりやや遅れる)
760~770年ころ
 掘立柱の回廊等囲繞施設が完成
(円形建物の土庇はこの時期にくいこむかも?)
800~850年ころ
 廃絶

 2)北側と西側を画する回廊(掘立柱単廊)の柱間には、7.5尺、8尺、10尺、12尺の4種類が確認された。地形に対応するものか。北側の5間×2間の建物の東脇の柱間は12尺と広く、脇門が存在した可能性がある。
 3)北東と東側の掘立塀も7尺、10尺など柱間は各種ある。円形建物の真東で東大寺を遠望できる位置には20尺の柱間があり、西側に雨落溝を伴う。この柱間の中間で小さなピットも発見されているようであり、10尺×2間として、柱間2間の棟門を想定する。法隆寺西院中門は4間2戸の偶数間であり、菅原遺跡の東塀に取り付けられた棟門が2間門であっても不自然ではない。2間門の場合、「一方から入り、他方から出る」。ただし、推定「棟門」の外側は急傾斜地であったとも思われるので、この門は東大寺を遙拝する際の飾り(荘厳)のような施設だったのかもしれない。

 次に、栄山寺八角堂をモデルとした円形建物の平面図・見上げ・断面図の叩き台を全員で検討した。

 4)平面は入側4本柱の柱間10尺として、その外側に正八角形の側柱列を並べる場合、入側-側の柱間は10/√2≓7尺となる。また、側柱から土庇の出は12.5尺となった。栄山寺八角堂に倣うこの案をA案とする。一方、四本柱の柱から放射状にのびる位置に八角柱のうちの4本を立てる平面図も作成している。この案をB案とする。B案の復元は今後、検討する。
 5)A案を栄山寺の矩計で再現したところ、側柱の窓の下側の長押から繋虹梁を土庇の柱にわたすと構造が安定するが、繋ぎのない案も今後検討すべきではないか。土庇の垂木上端は側柱頭貫の下に垂木掛け(長押)に掛ける。こうすると土庇屋根の勾配は1.5/10程度になり、板葺き以外ありえない。しかし、その葺板は4m以上になる。法隆寺金堂裳階の大和葺は短く、平城宮出土の大和葺板も長さ2m前後であり、4mは長すぎるかもしれない。これを檜皮葺きとするには、柱高をさらに高くとる必要があり、そうした案も作図してみることになった。中近世の宝塔/多宝塔のように、飛貫から上で2~3重に長押をまわし、高くて不安定な軸部を固めながら、八角円堂の高さを確保してはどうか。
 6)土庇の見上げは、前回提案のあった四角形と三角形を交互に入れ込むことで16角形になり、円形そのものではないが円形に近くできる。基壇もまた、この16角形とすれば、円形に近づけることができる。出土遺構をみても、2~3箇所の地覆抜取が直線を呈しており、16角形案に整合すると考えたい。

 以上がこの日の討議事項である。いちばん熱が入ったのは八角円堂の高さと長押の数、また土庇の葺材であるが、A案についても柱高をさらに2尺ばかり高くした案を作図していただくことになった。回廊等囲繞施設についても、これまでの復元例からラフを作成する。


復元配置図(修正03)_page-0001web 行基10-23尺_page-0001web


【関係サイト】
復元検討web会議(第1回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2415.html
復元検討web会議(第2回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2419.html
復元検討web会議(第3回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2428.html
復元検討web会議(第4回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2439.html

行基の長岡院-菅原遺跡訪問記
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2414.html
栄山寺八角堂
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2417.html
広隆寺から興福寺へ
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2423.html
奈良新聞の報道(菅原遺跡)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2429.html
法隆寺西円堂・夢殿と喜光寺
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2436.html

 

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Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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