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復元検討web会議(第6回)

回廊と北建物の取り合い 210913-2_page-0003


 夏期休暇・休業も17日で終わり、最後の復元検討会議を開催した。参加者は4名。薬師寺玄奘三蔵院の情報が入ってきたことと円形建物の副案の方針が固まったので最後の検討会議を開くことになった。

1.囲繞施設
 前回の検討会議から以下の修正をおこなった。
(1)北建物と回廊の取り合い
・回廊の復元にあたって、山田寺回廊を参考としており、軒下の組物は平三斗としていたが、これを大斗肘木として軒高を下げる一方で、北建物の軒高をわずかに高くすると、回廊の棟木端が北建物妻壁の頭貫と虹梁の間におさまる(↑)。
・北建物妻柱は頭貫上部までとする。

(2)掘立塀柱と棟門
・東側の棟門(10尺×2間)については、掘立柱の頂部に肘木を前後にのばして短い屋根を受け、檜皮葺きとした。掘立柱塀よりも棟門の棟を3尺ばかり高くした。
・北建物東脇の柱間が立面図で板塀になっているが、ここは脇門とする。
・棟門のケラバの出が3枝になっているが、2枝でとどめるか。(社長)


東の塀と棟門 210913-2_page-0005



0824玄奘三蔵10 玄奘三蔵院八角円堂


2.円形建物

 円形建物については、主案のバリエーション8種が完成している。八角屋根と裳階(土庇)が近接する案である。ところが、8月下旬に薬師寺玄奘三蔵院を訪問して八角円堂を見学したところ、裳階付の円堂で構造が頗る類似し、非常に洗練されたデザインであることが分かった。とりわけ側柱が裳階よりかなり高くなっている点は、代表者が当初抱いていた菅原遺跡円形建物のイメージに近く(↑)、玄奘三蔵院を意識した復元案を一つは考えたいと思うようになった。
 一方、興福寺北円堂を意識した副案については、内側の構造にまとまりがなかったが、諸々の類例を参考にしてなんとか図面を描きあげた。以下のような特徴がある(↓右)。
 ①平面は夢殿に倣い、入側筋も正八角形に柱を並べる。
 ②組物は二手先とする。その細部は、薬師寺東塔・唐招提寺金堂の三手先の尾垂木から上を消去して複合化させるとともに、代表者が研究所時代に係わった平城宮第一次大極殿院1/100模型のうち、閤門(南門)の二手先を参考にした。もとより、奈良時代の遺構に二手先の遺存例はないが、中国西安の慈恩寺大雁塔マグサ石に刻まれた大殿図が二手先となっており、これを参考に設計されたものであり、今回もおおいに参考にした。但し、円形建物では手先にひろがりをつけない。
 ③天井を多用して屋根構造はみえないようにした。天平時代の小屋組は不明だが、夢殿修理工事報告書の復元案に近い構造とした。

【A-1 線画】web桧皮葺き、十六角形、建具なし_page-0001 ①【小屋組:唐招提寺金堂参考】20210914_page-0001
(左)A案のCGラフ (右)C案の検討図:クリックすると拡大します


 以下が会議でのコメントとリプライ。

・出桁を135度角に開いた平三斗で支える「二手先」とする方針であるのに対し、断面図では隅木を支えるための肘木が描写されており、誤解を受ける。忠実に描写しない方が良い。
・構造的にみると、二手目にのる力肘木を繋梁にして入側柱まで持っていきたいところだが、鎌倉期以降の架構方法となるため、天平期の建物の脆弱性を鑑み当案のままとする。
・裳階(土庇)に登梁を採用しているが、江戸期の構法ではないか。登梁を採用したのは土庇内の空間を広く確保するためでもあるが、むしろ貧相な掘立柱に整合する構法と考えたからである。繋梁の構法は他案で示しているので、副案(C案)にまで採用する必要はないと思われる。ちなみに、南方中国の歴史的建造物に多用される穿斗式構法はさほど古いものではなく、以前はベトナム・ラオスなどの近隣地域で普及している登梁が用いられていたと推定される。大仏様の遊離尾垂木もルーツを探れば登梁の圧縮形と代表者は考えている。

 これまで復元案は主案と副案に分けてきたが、玄奘三蔵院八角円堂などの類例に鑑み、以下A・B・Cの三案に分けてCG化する。(Mr.エアポート)

【A案】栄山寺八角堂をベースとする比較的棟高の低い案。
 基壇:十六角形  軸組:入側四本柱、側八本柱
 土庇(裳階):檜皮葺、繋虹梁・間斗束、吹き放ち(建具なし)

【B案】玄奘三蔵院八角堂を意識した案
 基壇:八角形  軸組:A案と同配列だが、側柱を2~3尺高くする
 土庇(裳階):檜皮葺、繋虹梁・間斗束
     玄奘三蔵院と差別化するため建具を入れるか(無しでもよい)。
 
【C案】興福寺北円堂などを意識し、裳階上の側柱に二手先を組む。
 基壇:十六角形  軸組:入側・側とも八本柱(夢殿に倣う)
 土庇(裳階):檜皮葺、登梁、吹き放ち(建具なし)

3.その他
 CGについては、現段階では未完成ではあるが、以下の点を修正し作成する(↑左)。瓦の表現、隅鬼をやや大きく、軒先方向に移動。
茅負と垂木、隅木の納まりの表現について修正を行う。(社長)


【関係サイト】
復元検討web会議(第1回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2415.html
復元検討web会議(第2回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2419.html
復元検討web会議(第3回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2428.html
復元検討web会議(第4回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2439.html
復元検討web会議(第5回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2440.html
復元検討web会議(第6回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2443.html

行基の長岡院-菅原遺跡訪問記
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2414.html
栄山寺八角堂
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2417.html
広隆寺から興福寺へ
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2423.html
奈良新聞の報道(菅原遺跡)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2429.html
法隆寺西円堂・夢殿と喜光寺
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2436.html


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Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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