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みちくさの駅 ゼミナール(3)

みちくさ森01


落ち着きながら新しい体験ができる店

*経営者: 藤原さん
*店主経歴: 智頭町福原出身。34年間建築の現場監督に加え、土木関係の仕事をしていた。53歳の時に会社を中途退職し、十数年前に福原にUターン。戻ってきた年から蕎麦、野菜の栽培を休耕田で行うようになった。趣味で始めた農業だったが、仕事である木工作業よりも力が入ってきたため、野菜やそばを無駄にしないようにするため「みちくさの駅」を経営し始めた。人が集まる場所、農作物を販売する場所という目的で設立した。5年前(2016年8月)に田んぼを買い取り建てる。
*建物構造: 「みちくさの駅」のデザインは山小屋風(日本建築を意識していない)。以前、農林水産省の推進で智頭杉が智頭町に植えられるようになっていた。このブランド杉である智頭杉を利用して建てた。冬の間、多い積雪に対応した造りになっている。藤原さんの意向で、はりぼてよりも素材を活かした構造になっている。
*店のコンセプト: おいしい蕎麦が食べられるカフェをコンセプトにしている。蕎麦の横で地産の紅茶やスイーツを食べてもおかしくない空間を目指す。
*経営状況: コロナが流行した当初(2020年)、6~8月は経営難に陥った。最近では、都会の人が訪れるようになった。また、鳥取市内に住む県内の客も増えた。1~3月は雪の影響を考え閉店している。
*立地: 山間部に立地しており、近くには渓水が流れている。
*内装: 骨組の杉や松が見えており、吹き抜け。建物全体が木造であるのが内装から確認できる。
*蕎麦: 地産の蕎麦粉を利用している(一部は那岐産で補う)。17~18%をつなぎとして小麦粉を使用している。蕎麦と小麦粉は10:2の割合。


みちくさ森02


 今回、「みちくさの駅」を訪れて、第一に感じたのは「落ち着く」ということだ。窓から見える山林の景色と、内装、蕎麦が非常によくマッチしている。藤原さんは、一級建築士の資格を持っており、「みちくさの駅」の設計も藤原さん自身の仕事だ。蕎麦をのせる皿も藤原さんのこだわりが見える。愛媛県の砥部焼を使っている。皿も藤原さん自らがデザインしている。絵付けはしない。料理よりお皿が目立ってしまうからだと言う。カフェというコンセプトでありながらも統一感があるため、落ち着くのだと分かった。しかし、カフェという洋のコンセプトでありながら違和感がなく、紅茶やワッフルといった洋食と和食の蕎麦がマッチしているのは不思議に思った。


みちくさ森03


みちくさ森04


 蕎麦は私が今まで食べた蕎麦の中でも上位に来るほどコシがあった。藤原さんがつなぎの小麦粉を通常の蕎麦よりも少なくしているとおっしゃっていた。だから、蕎麦本来の味がとても出ていると感じた。ざるそばの後にいただいた蕎麦がきは今まで食べたことがなかった。最初は少し抵抗があったが、非常に美味しかった。食感は里芋に近かった。味は、最初はあまり感じられないが、噛めば噛むほど蕎麦の風味になる。ガレットはクレープ生地の上に目玉焼きがのっていた。クレープはスイーツのイメージがあったが、食事として食べられることに驚いた。ガレットも蕎麦の味がしっかりして美味しかった。私の中で落ち着きのある空間とは、「いつも慣れ親しんだものがある」ということを感じたときに形成される空間だと思った。しかし、「みちくさの駅」は、落ち着きのある空間だったが、新しい体験をたくさんできた。新しい体験をするときは少しばかり緊張するものだが、みちくさの駅では緊張を感じなかった。これは藤原さんの、たくさんの人の集いの場所として利用してほしいという気持ちが表れているため、新しい体験をできるにも関わらず、落ち着きのある空間を作れているのだと感じた。蕎麦が美味しいだけでは、繁盛しない、外装や内装が美しいだけでは繁盛しない。どちらものバランスが取れたときに人は魅力を感じるのだと実感した。(2年MH)


みちくさ森05

みちくさ和田01 みちくさ和田02 みちくさ和田03

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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