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行基縁りの地を往く (4) - 土塔と八角円堂

興福寺北円堂


 12月21日(火)、年度末最後の卒論卒論のゼミ。卒論中間発表が始まりました。私は3番目でしたが、途中で終わり、後半は明日に持ち越しになりました。一晩で修正を施し、明日に臨みます。以下は、連載の続きです。(小霞)

興福寺北円堂

 藤原不比等の一周忌にあたる養老5年(721) 8月、元明・元正天皇が長屋王に命じて建立させた八角円堂。治承4年(1180)、平重衡による南都焼討で伽藍の大半が被災し、北円堂は承元4年(1210)ころに再建された。東大寺が重源の大仏様によって復興したのとは対照的に、興福寺は古代の和様を継承した中世新和様で再建が進んだ。北円堂は古代の風格をよく伝えており、日本に現存する八角円堂のうち最も美しいと賞賛されることがしばしばある。柱上の組物は手先にひろがりのない三手先で尾垂木もない。軒は三軒で、地垂木を円とする。基壇は低く、高さ2尺余りか。


北円堂細部(2) 興福寺北円堂細部


 以下に北円堂の建築年代・構造形式・細部を示す。

〈構造形式〉 八角円堂一重本瓦葺
〈年代〉 創建:養老5年(721) 8月 再建:承元4年(1210)頃
〈基礎〉 基壇:壇上積 礎石建 
〈軸部〉円柱、八本の側柱を3重の地長押・腰長押・内法長押で固める。 
     柱間装置:板扉、連子窓
〈軒〉 三手先(尾垂木なし) 中備:平三斗上に通肘木を渡し、その上にさらに平三斗を
    おいて桁を受ける。三軒(地円飛角) 
〈内部〉 未見


北円堂細部(3) 北円堂調書


南円堂(2) 向拝南円堂


興福寺南円堂

 弘仁4年(813)、藤原冬嗣が父の内麻呂の追善のために建立した供養堂。平安期の鎮壇には空海が関わったと伝承される。興福寺は藤原氏の氏寺(法相宗)である。創建以後、四度の再建が繰り返され、現在の建物は寛保元年(1741)に立柱、寛政元年(1789)に竣工したものである。正面(東)には間口1間・奥行2間の「拝所」があり、唐破風の向拝と本体の繋ぎとなる部分の上に短い裳階を掛けている。江戸時代の建物だけに丈が高い。唐破風と裳階を設けるためにはこれぐらいの高さが必要であり、土庇状の裳階を有する菅原遺跡円堂の復元にとっても参考になる。向拝上の正面裳階は楣上の長押の位置にかけている。八角円堂に裳階をめぐらせるとすれば、楣位置の内法長押に掛けるのが無難と思われる。柱頭の組物は隅が北円堂と同じ手先にひろがりのない三手先(尾垂木なし)、軒は三軒とする。基壇高は5尺以上ある。
 江戸時代の八角堂ではあるが、正面の向拝・裳階の位置は、菅原遺跡復元建物の参考になる。


南円堂細部 南円堂細部(2)


 以下に南円堂の建築年代・構造形式・細部を示す。

〈構造形式〉 八角円堂一重本瓦葺
〈年代〉 創建:弘仁4年(813) 創建以後、四度の再建。
 現在の建物は寛保元年(1741)に立柱、寛政元年(1789)に竣工。
〈基礎〉 基壇:壇上積 礎石建 
〈軸部〉 八角柱 地長押・腰長押・内法長押  
〈軒〉 三軒角垂木 三手先(尾垂木なし) 柱間装置:板扉、連子窓
   中備:頭貫上に平三斗を組み、その上を通肘木・三斗を2回重ねる。
〈内部〉 未見
〈向拝〉 礎石建 角柱 出三斗 
〈裳階〉 向拝と本体の間を片流れの裳階で覆う。


興福寺南円堂 南円堂調書


【関係サイト】
行基縁りの地を往く-土塔と八角円堂
(1) 法隆寺東院夢殿
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2468.html
(2) 栄山寺八角堂 
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2473.html
(3) 法隆寺西円堂
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2474.html
(4) 興福寺北円堂・南円堂
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2475.html
(5) 薬師寺玄奘三蔵院玄奘塔
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2477.html

復元検討web会議(第1回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2415.html
復元検討web会議(第2回)
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復元検討web会議(第3回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2428.html
復元検討web会議(第4回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2439.html

行基の長岡院-菅原遺跡訪問記
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2414.html
栄山寺八角堂
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2417.html
広隆寺から興福寺へ
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2423.html
奈良新聞の報道(菅原遺跡)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2429.html
法隆寺西円堂・夢殿と喜光寺
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2436.html

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Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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