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五度目の大杉(2)

1218上野03いろり03正月飾り01 正月飾(いろり)


 12月18日(土)、兵庫県養父市大屋町の重伝建「大杉」を訪れました。すでに訪問経験のあるメンバーは、大杉集落と近隣の峠集落のドローン空撮に取り組みましたが、初訪問の数名は保存会長のご案内で大杉集落の町並みと拠点施設を見学させていただきました。その後、午後3時過ぎから、民宿「いろり」でブータン料理の準備に取りかかりました。


1218上野05ドローン01 ドローン準備(雪のため屋内で)


養蚕の村の歴史

 大杉は養繭の生産で栄えた但馬屈指の養蚕地区です。安価な化学繊維の普及により養蚕業は廃れましたが、大杉集落には今でも三階建ての養蚕農家が残っています。この地区の古い民家は平屋建茅葺きの形式でしたが、大杉地区の養蚕が最盛期を迎えた明治後期から昭和前期、二階、三階を蚕室として増築し、木造三階建の農家主屋が成立しました。切妻造の瓦葺屋根に抜気(ばっき)と呼ぶ換気装置があり、外壁は二階以上を大壁造として、縦長の掃き出し窓を並べています。家屋から直接蔵へと入れる特徴があります。二階・三階の窓を開けて通気性を高め、熱気を逃すために屋根に抜気が設けられています。掃き出し窓は、窓枠を床面まで下げることでゴミを簡単に外に掃き出せるようにしたもので、蚕室を清潔に保つための工夫です。蚕室は蚕棚の規模に合わせて造るため、どの建物も二階と三階の階高がほぼ同じとなります。


1218上野04見学風景01 1218上野04見学風景02記念


 大杉地区は、平成13(2001)年10月2日に兵庫県の歴史的景観形成地区、平成29(2017)年7月31日に国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)に選定されています。景観形成地区は里山を含めた約11.1ヘクタールの範囲で、その中心の約5.8ヘクタールが保存地区です。重伝建地区内の伝統的建造物として指定されている建物が23棟あり、銅板の印がつけられています。保存地区内の27棟のうち、5棟が宿泊施設や展示施設、ギャラリーとして活用されていますが、半数は空き家の状態です。


1218上野01養蚕02正面記念 1218上野01養蚕G01sam


分散ギャラリー養蚕農家

 三階建養蚕住宅を利用したギャラリーに改装されています。生活空間である一階だけでなく、蚕室として利用されていた三階まで見学することができます。建物は、江戸時代後期の茅葺き平屋建ての農家を大正2年に養蚕のために瓦葺三階建てに改修したものです。絵画や彫刻など、アートの展示、販売が行われています。コロナの影響などで休室中ですが、カフェも併設されています。


1218上野02木彫02外観01 1218上野02木彫03sam


養父市文化交流施設 木彫展示館

 築120余年の旧栃尾診療所だった二階建ての古民家を改修した木彫りの展示館です。診療所は休憩所として利用され、創作棟として講師を招いての木彫教室や作品展示のギャラリー等として利用されています。母屋は展示棟として、平成6年から始まった「公募展木彫フォークアート・おおや」の歴代の優秀作品が常設展示されています。毎年120~150点ほどの作品が集まるそうです。敷地内には、当時の面影そのままの日本庭園、池などもあり、野趣あふれる景観を見ることができます。


1218上野02木彫01内部


但馬 古民家の宿・大屋大杉

 三階建養蚕住宅を利用した宿泊施設です。「三階建養蚕農家が並ぶ歴史ある集落に溶け込むように泊まる」ことができます。正垣家は5部屋の客室とレストラン、河辺家は1棟貸しの宿です。正垣家の外観は三階建ですが、改修され内装は2階建として利用されています。この2棟はNIPPONIAが運営しています。NIPPONIAは、日本各地に点在して残されている大型の古民家を、その歴史性を尊重しながら客室や飲食店、または店舗としてリノベーションを行い、その土地の文化や歴史を実感できる複合宿泊施設として再生していく取り組みです。


1218上野06ホテル NIPPONIAの暖簾を外していた


1218上野03いろり02飲料 1218上野03いろり01記念sam


ふるさと交流の家「いろり」

 三階建養蚕住宅の1階を利用した簡易宿泊施設です。食材を持ち込んで自炊することができます。6月下旬には大屋で活躍するアーティストたちによる「うちげぇのアートおおや」の会場になります。
 今回の演習では、昨日詳報したように、ふるさと交流の家「いろり」でブータン料理の調理実験と地域の方との交流会、宿泊をしました。今回調理したブータン料理は、クレ・プタ・ヒュンテ・モモ・ケワダツィ・エマダツィ・赤米の7種類です。このブータン料理を地域の方と食べながら、3人の河辺さんからお話を聞かせていただきました。町並み保存会長、同会員(市教委教育部長)、建築家の3名から有益なお話をうかがえました。先生もカール・ベンクス氏の仕事やブータン映画「山の教室」を引き合いに出し、人間の幸福と居場所の問題などを話されました。


クレ01sam 1218ブータン料理01クレ01 1218上野12準備sam縦 1218上野12準備
左:料理本のクレ 中:ゼミ生作成のクレ 右2枚:民宿での準備風景


 伝統的建造物の保存や後継者づくりのために伝統的建造物の活用や「木彫フォークアートおおや」、「うちげぇのアートおおや」のイベントの開催が行われています。しかし、町並み保全も移住者の受け入れも村中では賛否両論があり、大杉の未来の姿に対して必ずしも共通の見通しが得られているわけではありません。NIPPONIAの活動に対しても、コロナが運営に影響を及ぼしており、否定的な見方をする人が少なくないと聞きました(批判的の意見を言う割に夕食のフランス料理を楽しんでいるそうですが)。
 空き家の利用を増やすため、空き家バンクに登録している家もあるそうです。空き家バンクとは、空き家の賃貸・売却を希望する所有者から提供された情報を集約し、空き家をこれから利用・活用したいと考えている人に紹介する制度です。購入・貸家の前後に改修が必要となる建物もあるため、リフォームや住み心地の問題として、補助金の制度や支援を行うなどの制度を考える必要があるのではないかと考えました。(カキフライ)


1218上野14会食 1218上野13バイキング


《関係サイト》
中国道蕎麦競べ
(11)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2308.html
(15)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2322.html
四度目の大杉ー学生レポート
(1)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2458.html
(2)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2459.html
(3)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2461.html
五度目の大杉
(1)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2483.html
(2)http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2484.html

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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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