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行基縁りの地を往く (6) -記者発表と報道

記者発表 インタビュー


復元に決定案なし

 今は昔、昨年11月8日(月)のことです。奈良県庁内文化教育記者クラブで、教授による菅原遺跡円形建物復元案についての記者発表がおこなわれました。まず教授が3案(細分すると4案)の復元についてお話しされ、その後、同席された前園先生(奈良県文化財保護審議委員)が行基と弟子の忍性の墓(竹林寺の石塔)が八角形であり、今回の復元案との一致をみるという考えをお話しされました。この発表は、同日夕刻の奈良県内のTVを皮切りに、翌11月9日(火)から全国の新聞で報道されました。




211109_奈良新聞一面   211109_産経新聞(奈良面)   211109_毎日新聞(奈良面)
11月9日朝刊報道(左から奈良新聞1面、産経、毎日)


 以下、復元3案の概略を説明します。なお、教授は遺跡から復元する建物に「決定案はない」と考えておられます。このため、複数の案を想定されています。もちろん他の研究者の復元案も許容されるそうです。

円堂3案比較 囲繞施設とA案
                                   ↑囲繞施設とA案

 《A案》 栄山寺八角堂をモデルとする案。基壇上の八角円堂は本瓦葺き屋根と土庇状の裳階の十六角形檜皮葺き屋根が近接しあう。内法長押を裳階の垂木掛けとすると、檜皮葺き屋根の上面上端は頭貫の位置におさまる。訪問者の目線からは「円」に近い裳階の造形(じつは十六角形)が目立ち、八角堂は裳階に隠れてしまい幾分印象が弱くなるが、ボリュームは回廊との整合性がある。
 《B案》 現代建築ではあるけれども、薬師寺玄奘三蔵院玄奘塔を意識し、八角堂の大屋根と裳階の屋根をやや離してみた。この場合、玄奘塔と外観は近似するが、玄奘塔の場合、裳階の柱は八角基壇上の礎石に立つ(建具無B案)。一方、菅原遺跡「円堂」の場合、裳階の柱は基壇の外側の地面上に立つ掘立柱であり、それだけ長くなる。このような長い裳階の例としては、安楽寺八重塔があり、これに倣う建具有B案も考えた。伽藍全体との関係をみると、建具無B案は許容の範囲だが、建具無B案は回廊等に対してボリュームが大きくみえる。
 《C案》 最も美しい八角堂と称賛される興福寺北円堂を意識した復元案。鎌倉初期の再建だが、興福寺の場合、東大寺とは対照的に古代の和風をよく継承しているということで、二手先(隅では実際には三手先になる)の組物とした。これを古代の構法でクリアするのは、じつは大変やっかいである。姿としてみれば、いちばん見栄えがするけれども、背が高すぎて、回廊等とのバランスは崩れてしまう。



*共同通信の記事は9日、全国に配信されました。鳥取の記事も共同通信です。山陰中央新報は1面で伽藍俯瞰CGも掲載してくれました。
1109山陰中央新報sam 20211109_0001_日本海新聞sam 

秋田さきがけ
https://www.sakigake.jp/news/article/20211108CO0087/
東京新聞
https://www.tokyo-np.co.jp/article/141599

*朝日新聞は、少し遅れて11月23日の奈良版に掲載され、その記事が12月8日の鳥取版に転載されました。
20211123朝日新聞(13面奈良版)菅原_page-0001


平城宮跡(2) 平城京跡


平城宮跡

 平城宮跡は教授が十数年働かれた国の特別史跡です。教授は私たちとは別行動で、7日午後、平城宮東院庭園を訪問されました。東院庭園西建物(ガイダンス施設)に展示されている「五角斗」の雛形や八角柱は菅原遺跡円堂復元の参考になるからです。とくに五角斗は重要です。7日、わたしたち学生は菅原寺、頭塔、東福寺等の視察をしており、平城宮の訪問は8日の記者発表後となりました。ところが残念なことに、8日は月曜日で資料館などの展示施設はすべて休館でした。平城宮東院庭園も閉館であり、「五角斗」の雛形や八角柱を観察することができませんでした。第一次大極殿や大極門まわりを散策するにとどまりました。(小霞)


2021東院庭園00五角斗02アップweb
↑↓東院庭園西建物に展示された五角斗と八角柱
2021東院庭園00五角斗01全景01 2021東院庭園00五角斗02アップ 2021東院庭園00八角柱01 2021東院庭園01築山01中央建物01
↑↓東院庭園の復元
2021東院庭園01築山02反橋02 2021東院庭園03曲水01 2021東院庭園10隅楼01 2021東院庭園10隅楼02


【関係サイト】
行基縁りの地を往く-土塔と八角円堂
(1) 法隆寺東院夢殿
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2468.html
(2) 栄山寺八角堂 
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2473.html
(3) 法隆寺西円堂
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2474.html
(4) 興福寺北円堂・南円堂
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2475.html
(5) 薬師寺玄奘三蔵院玄奘塔
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2477.html
(6)記者発表と報道
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2491.html

復元検討web会議(第1回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2415.html
復元検討web会議(第2回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2419.html
復元検討web会議(第3回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2428.html
復元検討web会議(第4回)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2439.html

行基の長岡院-菅原遺跡訪問記
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2414.html
栄山寺八角堂
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2417.html
広隆寺から興福寺へ
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2423.html
奈良新聞の報道(菅原遺跡)
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2429.html
法隆寺西円堂・夢殿と喜光寺
http://asaxlablog.blog.fc2.com/blog-entry-2436.html

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Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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