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戦争と平和(1)

戦争と平和 映画 戦争と平和 漫画


ヘップバーン > トルストイ

 トルストイの長編小説『戦争と平和』を映像化した作品は、少なくとも映画3作、大河テレビドラマ3作の計6作を数えるようだが、容易に視聴可能なものは以下の3作に限られる。

 ①映画『戦争と平和』(キング・ヴィダー監督1956 米・伊合作)
 ②映画『戦争と平和』(セルゲイ・ボンダルチュク監督1965-67 ソ連)
 ③TVドラマ『戦争と平和』(英国放送協会制作2016)

 以上のうち最も興行成績が高く、アマゾンなどのレビューで他を圧しているのが①のハリウッド版である。主演はオードリ・ヘップバーン(ナターシャ)とヘンリー・フォンダ(ピエール)。約3時間半の長作だが、②のソ連版は全4部作の7時間、③のBBC版は全6話で11時間の超大作である。数日前に宣言したように、まずはハリウッド版から視ようと考えた。アマゾン・プライムなら1泊100円。これにすれば良いのだが、年寄りには画面が小さ過ぎるので、今後教材に転用できるとも考えてDVD(980円)を取り寄せた。
 ざっと2度視た。初回は字幕版、2度目は日本語吹き替え版に変えた。前者はストーリーを掴みにくく、この映画に関しては後者をお薦めしたい。残念ながら、『ブータン 山の教室』で覚えたような感動は湧いてこなかった。そもそもこの映画はトルストイの原作を掘り下げようとしていない。西部劇でもみているような錯覚にしばしば陥る(音楽のせいか?)。これはもうヘップバーンを視るための映画である。『ローマの休日』や『ティファニーで朝食を』や『マイフェアレディ』と同じような感覚で『戦争と平和』を制作し、ヘップバーンをスクリーンに映しだす。戦争シーンは運動会のようでリアリティに乏しく(いま目の当たりにする現実の戦争との落差が大きすぎる)、ナポレオン・ボナパルトには天才的軍人としてのオーラの欠片もないが、ヘップバーンがあらわれた瞬間、画面に釘付けとなる。原作でのナターシャは、お転婆でまぁまぁ魅力的な娘が大人の女に成長していくという設定で、美貌では悪女エレンに劣るという位置づけだが、映画ではとんでもない・・・こんな美しい女優は映画史に存在しない、と唸るほどの存在感をふりまいている。男なら誰でも驚嘆して見惚れるだろうし、そういう男の言動に否定的な女でさえもヘップバーンにだけは屈してしまうだろう。当時のヘップバーンはそれだけの女優であった。だから教材にはむかない。おそらく②を学生に視せることになるだろう。


反戦と恋愛と幸福と

 おもしろいことに、小説を「漫画で読破」というシリーズがあって、漱石や芥川や太宰に混じって、トルストイの『戦争と平和』とドストエフスキーの『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』も含まれている。漫画版『戦争と平和』を注文する前のイメージは横山光輝の『三国志』であった。少なくとも8巻ぐらいはあると踏んでいたのだが、すべての小説を1巻本にまとめている。『戦争と平和』の場合、出来がよいとはいえないけれども、ストーリーの理解度はハリウッド版映画とほぼ同等であろうと思う。 だから、ためにならないわけではない。いちばん初めにこの漫画を読むのがよいかもしれない。
 視聴や読書の目的は何か。いまウクライナを侵略している国が、19世紀初にはナポレオンの侵攻に対峙し、結果として独裁者を失権・流刑に導く。それを主題にトルストイは「戦争」と「平和」と「恋愛」と「幸福」を主題とする小説を書いた。ロシア国民の多くに「反戦(平和)」と「幸福」の意識を根付かせたはずである。だからこそ、この長編から、(独裁者を除く)ロシア国民の真の平和意識を読み取りたかったのである。
 さて、春休みも終わってしまい、原作にまで手がのびるか、否か。無理かな(笑)。



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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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