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蒼空への旅立ち(2)




指弾とは何か

 人間にはもって生まれたタイム(時間)感覚がある。おなじ4拍子の曲を奏でても、ある人は遅めに入り、ある人は早めに入る。要するにノリ(グルーブ)がちがうということなのだが、中川イサトさんの場合、これがなかなか独特で、盟友たる高田渡さんのバッキングを例にとると、イサトさんの入りが遅かったり早かったりして、正直、渡さんは少し歌いにくそうにみえるときがある。高田渡の伴奏という点に限るならば、佐久間順平や高田漣のほうが歌い手にあっているように思うのは私だけであろうか。
 こうしたタイムのずれは、上のソロ「蒼空」でも認められる。テンポが速くなっているところで、イサトさんは1小節を待ちきれないでいるようだ。この点、幾多のカバーの方が正確な時を刻んでいる。逆に言えば、イサトさんのそうしたテンポの揺らぎが唯一無二の「味」となるのであろう。これに加えて、絶妙な加減の音響とミュートが独特の世界観をつくりあげている。





 フィンガーピッキングスタイルのソロギターは台湾でたいそうな人気だと聞いていたが、上二つの演奏会場は北京である。中国でこのような音楽文化が理解されるようになったこと、40年前の留学生にしてみれば驚きでしかない。一つ教えられたことがあります。フィンガーピッキングスタイルは中国語で「指弾」というのですね。

指弾式吉他独奏  zhi3 dan4 shi4 ji2 ta1 du2 zou4

 私の趣味はフィンガーピッキングのソロギター演奏です(我的愛好是指弾式吉他独奏)。今度使ってみます。

 下のイサトさんは若い。「オープン・ストリングス1998」という海外の催しで、ジョン・レンボーン(元ペンタングル)とピーター・フィンガーが名を連ねている。巨匠レンボーンはさておき、ピーター・フィンガーっていう人は音楽を聴いたことありません。それにしても、フィンガーって、上の中国語に従うなら「指弾者」ってことでしょうから、芸名じゃありませんかね?





 



オレンジ'06

 良い曲ですね。「第3の男」とか「ボルサリーノ」に比肩しうる作品だな。スマップの「オレンジ」も好きで、よくカラオケで歌ってましたが、こちらの「オレンジ」は完成度が異常に高くて、ちょっとマネしようという気になりませんね。イサトさんの曲はだいたい「これはいける」という印象があって聴衆にやる気をおこさせるのですが、実際やってみると難しい。これはもうみるからに難敵です。やめとこ・・・
 ちなみに、この曲はずれが生じていません。奏者二人の相性がいいというよりも、ラグタイム式の反復ベースによって、リズムやタイムの狂いが起こり難いんでしょう。逆にバラードはずれが生じやすく、フリーフォームに近くなる。
 若い世代のギタリストは、みんな上手いけど、オープン・チューニングのシャリシャリ感ばかり目立って、こういう古典的な曲を書けなくなってしまったのではないかな。人間国宝を失った心境です。


 レギュラー・チューニングですね


【連載情報】蒼空への旅立ち
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魯班13世

Author:魯班13世
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魯班(ルパン)は大工の神様や棟梁を表す中国語。魯搬とも書く。古代の日本は百済から「露盤博士」を迎えて本格的な寺院の造営に着手した。魯班=露盤です。研究室は保存修復スタジオと自称してますが、OBを含む別働隊「魯班営造学社(アトリエ・ド・ルパン)」を緩やかに組織しています。13は謎の数字、、、ぐふふ。

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